ウネナシトマヤガイ

Scientific Name / Trapezium liratum (Reeve,1843)

ウネナシトマヤガイの形態写真

40mm SL 前後になる。膨らみは弱く前後に細長い。表面に放射肋などはなく平滑。
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40mm SL 前後になる。膨らみは弱く前後に細長い。表面に放射肋などはなく平滑。40mm SL 前後になる。膨らみは弱く前後に細長い。表面に放射肋などはなく平滑。40mm SL 前後になる。膨らみは弱く前後に細長い。表面に放射肋などはなく平滑。40mm SL 前後になる。膨らみは弱く前後に細長い。表面に放射肋などはなく平滑。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    軟体動物門二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目アイスランドガイ超科フナガタガイ科フナガタガイ属タテソデガイモドキ亜属

    外国名

    学名

    Trapezium liratum (Reeve,1843)

    漢字・学名由来

    漢字 畝無苫屋貝 Unenashitomayagai
    由来・語源 平瀬與一郎(1859年〜1925年)の命名。貝殻の形はトマヤガイに似て畝(放射録)がない。
    トマヤガイはマルスダレガイ目トマヤガイ科の二枚貝。「苫」とは菅(スゲ)や茅(カヤ属の植物でススキやチガヤ)などを菰(こも 粗く織った筵)状にしたもの。「苫屋」とはこの苫で屋根を覆ったような粗末な小屋のこと。この粗末な小屋のような形の貝という意味合い。

    地方名・市場名

    生息域

    汽水域潮間帯の石やコンクリートに足糸で付着する。
    軽半島以南。台湾、中国大陸。

    生態

    基本情報

    本州以南の汽水域に生息している。汽水域ではありふれた二枚貝だが、食用とする地域は非常に限定的で有明海、山陰中海などしか確認していない。準絶滅危惧種とされていて、汽水域という汚染されやすい水域にいるで、決して資源的に安泰ではない。
    水域の状態にもよるが、とても美味な二枚貝だ。もちろん資源の保全に努めながらだが、もっと食べられていい。
    珍しさ度 流通上で手に入れられるのは非常に限られた地域で、いつもあるとは限らない。汽水域で採取するしかないかも。

    水産基本情報

    市場での評価 一般に流通することはない。鳥取県、島根県ではやや高い。
    漁法 採取
    産地 中海周辺、有明海周辺

    選び方

    殻を閉じているもの。触って反応するもの。臭わないもの。

    味わい

    旬は春〜初夏。
    貝殻は薄く、歩留まりがいい。熱を通しても軟体部は硬くならない。
    非常に濃厚でクセのないだしが出る。もっとも美味な二枚貝のひとつ。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ウネナシトマヤガイの料理・レシピ・食べ方/汁(みそ汁、澄まし汁)、煮る(酒蒸し)、ボンゴレ、炊き込みご飯
    ウネナシトマヤガイのみそ汁 もっとも基本的な料理法である。狭い範囲ながら流通している中海周辺でも、みそ汁ようとして売られている。
    泥抜きはしてあるが、流水などでざくざくとていねいに洗う。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。
    見自体は煮ても硬く締まらず甘味がある。非常に濃厚なだしが出る。うま味豊かでいながら後味がいい。ご飯にも合う。

    ウネナシトマヤガイの澄まし汁 あっさりした塩味にしてもおいしい。流水などでていねいに洗う。水分をよくきり、水から煮出して酒と塩で味つけする。軟体部分は煮ると少し硬く締まるが味があり、汁自体がやたらにうまい。水ではなく昆布だしで煮だすとより美味である。
    ウネナシトマヤガイの酒蒸し ていねいに流水などで洗う。水分をよくきり蓋の出来る鍋に入れて酒と少量の水で蒸し煮にする。味つけは不要で、貝だけの塩気で十二分にうまい。貝から出た汁も絶品である。
    ウネナシトマヤガイのボンゴレ 実に濃厚な味のジュが出るし、貝自体もおいしい。パスタなどにとても合う。表面に汚れがついているので流水でていねいに洗う。パスタをゆで始めたら、フライパンににんにく、オリーブオイルを加えて香りをだす。玉ねぎかリーキを加えて貝を入れて火を通す。ここに茹で上がったパスタを入れて和える。
    ウネナシトマヤガイの炊き込みご飯 流水で貝殻をていねいに洗う。水分をよくきり、少量の水と酒で蒸し煮にする。蒸し煮にした汁を取り分けておき、貝殻から軟体を取り出す。煮汁と水で炊飯の水加減をする。このとき味見して醤油か塩を加えるといい。炊き上がったら取り出した軟体を加えて混ぜる。

    好んで食べる地域・名物料理

    青森県尾駮沼、島根県・鳥取県中海周辺、佐賀県有明海で食用となっている。

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/清川智之さん(島根県水産技術センター)
    『日本産軟体動物分類学 二枚貝綱/掘足綱』(波部忠重 北隆館 1977)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『佐賀の隠れ味 食文化をたずねて』(貞松光男 佐賀新聞社)

    地方名・市場名

    バナマクラ
    場所岡山県下津井 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    ハサカリガイ
    場所岡山県児島郡甲浦村飽浦・倉敷市福田 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    オウジマクラ
    場所岡山県岡山市 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    イワカイ イワガイ
    場所青森県尾駮沼 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社 1988) 
    ヨコガイ[横貝]
    場所島根県・鳥取県の中海 
    ヒメガイ[姫貝]
    場所佐賀県有明海沿岸 
    カキマクラ
    場所岡山県 備考マガキによく付着するためか。 
    ワウジマクラ
    場所岡山県児島郡甲浦村飽浦・下津井 参考文献より。 
  • 主食材として「ウネナシトマヤガイ」を使用したレシピ一覧

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