イロロ

Scientific Name / Ishige foliacea Okamura in Segawa 1935

イロロの形態写真

高さ12cmくらいになる。小さな円盤条の付着機から直立し扁平、上部は楔形に広がり先端で分かれる。
イロロの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
高さ12cmくらいになる。小さな円盤条の付着機から直立し扁平、上部は楔形に広がり先端で分かれる。高さ12cmくらいになる。小さな円盤条の付着機から直立し扁平、上部は楔形に広がり先端で分かれる。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    植物界褐藻植物門褐藻綱イシゲ目イシゲ科イシゲ属

    外国名

    学名

    Ishige foliacea Okamura in Segawa 1935

    漢字・学名由来

    漢字/不明 Iroro
    由来・語源/三重県志摩市波切での呼び名を標準和名としたもの。『新日本海藻誌 日本産海藻総覧』(吉田忠生 内田老鶴圃 1998)
    Okamura
    岡村 金太郎(おかむら・きんたろう、慶応3年4月2日/1867年5月5日〜昭和10年/1935年8月21日)、東京都生まれ。海藻学者。日本海藻学の基礎を築き、様々な海藻を記載する。

    地方名・市場名

    イワキ
    場所三重県鳥羽市安楽島 参考出間リカさん 
    メザコ メダコ
    場所高知県宿毛市 参考聞取、加工品ラベル 
    トリノアシ[鳥の足]
    場所大分県国東市 参考加工品ラベル 

    生息域

    海水生。潮間帯中部の岩上。
    本州太平洋岩手県以南,瀬戸内海、四国,九州,本州日本海岸中・南部。
    アメリカ太平洋岸南部、メキシコ。

    潮間帯に普通 岩やゴロタ石などに群生している。ワカメなどよりも浅い場所に普通に生育しているので見つけやすい。

    生態

    基本情報

    岩手県以南の太平洋側。外房、三浦半島などではよく見かけるもの。同じ褐藻類のワカメなどと比べると硬い。
    高知県宿毛市では春にとり乾かして年間を通して食べる。とれる量が少なく食用にする習慣のない愛媛県まで取りに行くこともあるという。三重県鳥羽市安楽島、大分県国東市国東町では採取し、乾燥させて市販されている。
    これを大分県国東では「とりのあし」という。関東では「とりのあし」はユイキリのこと。また室町時代の「毛吹草」にもこの言葉があり、この点でもイロロ=「とりのあし」というのは面白い。また、このイロロを食用としている地域はもっとありそうで、これからの課題としたい。心当たりのある方はメールをいただきたい。
    珍魚度 流通上手に入れるのはとても難しい。ただし海辺で普通に見られるものなので、探せばたやすく手に入る。

    水産基本情報

    市場での評価 流通しない。
    漁法 採取
    産地 高知県、大分県

    選び方

    味わい

    生は春が旬。
    しっかりした葉体でワカメなどと比べると硬い。ゆで干し水でもどし、熱を通すとすぐに軟らかくなる。生干しは水で戻して柔らかくなるまでゆでる。
    生はゆでてから使う。ゆで干しは水で戻して硬さをみて場合によっては少しゆでる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    イロロの料理・レシピ・食べ方/煮る(炒め煮、煮もの)、汁(みそ汁、すまし汁)、ゆでる(酢のもの、サラダ)
    イロロの佃煮 ちょうど昆布(コンブ科の海藻)とワカメの中間的なもの。ワカメよりも硬いが味がある。戻し方は基本を参照。佃煮は下ゆでを長くし柔らかい状態にしておく。鍋にみりん・酒を入れて煮立たせてアルコールを飛ばす。醤油を加えて一煮立ちした中にもどしたイロロを入れて絡めるように煮る。
    ほどよい食感で嚙むほどに海藻らしい風味が出てくる。非常にご飯に合う。

    イロロの煮つけ 使い方はヒジキと同じだと高知県宿毛市では教わった。イロロと油揚げ、薩摩揚げなどを合わせるといい。基本通りにもどす。油揚げ、薩摩揚げなどは適当に切っておく。小松菜、山東菜などの青みを加えてもいい。煮汁を作る。カツオ節出し、酒・砂糖・醤油を煮立たせた中にイロロ、薩摩揚げを加えて水分が少なくなるくらいまで煮る。
    イロロの炒め煮 ヒジキと同じように料理するということなので、炒め煮にする。合わせたのは油揚げだけど、薩摩揚げや牛・鶏・豚肉などなんでも合わせていい。イロロは基本通り煮戻す。炒め煮の場合柔らかめにもどすといい。深めのフライパンや鍋に油を入れて熱し、イロロに油を行き渡らせる。油揚げを加えて、酒・みりん・醤油で味つけする。みりんを入れると照りがでる。また砂糖を加えてもいい。
    イロロのみそ汁 ワカメよりも歯ごたえがあり、汁の中で存在感がある。基本通りにもどしてだしを煮立たせてイロロを入れる。少し煮てみそを溶く。イロロの味がだしに出て微かに磯の風味がして美味。
    イロロの中華スープ 吸物には藻体が硬く存在感がありすぎるようである。ここでは中華風スープにしてみた。中華スープの素で十分だ。適量の水に溶き、イロロとともに煮立せる。塩コショウで味つけをする。イロロが硬い場合はスープの中で少し煮るといい。思った以上に食べ応えがあっておいしい。
    イロロの酢の物/c2>イロロは基本通りにもどす。やや柔らかめに戻すといい。キュウリは薄切りにして強めの塩をして少し揉む。30分前後置き、流水の下で塩加減を見ながら洗う。イロロはもどして適当に刻み、キュウリと和えて、甘酢を加える。

    関連コラム(料理法・レシピ)

    記事のサムネイル写真イロロの戻し方
    早春に磯で採取して干して売られるのが基本である。 生のまま干すものと、ゆでてから干したものがある。 いずれも、工程は同じ。 1時間程度水につける。 塩を加えない・・・ 続きを開く

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品


    イワキ 冬から春にかけて採取し、干し上げたもの。水でもどして柔らかくなるまでゆでて料理する。[出間リカさん 三重県鳥羽市安楽島]
    とりのあし 藻体、もしくは藻体を乾かした状態が鶏の足のようだからだと思われる。生のまま干したものか、ゆでて干したものかはわからない。水で戻してみそ汁の具や煮物にする。[野木しげこさん 大分県国東市国東町]
    メダコ(メザコ) 藻体をゆでて干したものだと思われる。宿毛市周辺では春につみ、乾燥させて年間を通して食べている。[北原道治さん 高知県宿毛市]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/出間リカさん(三重県鳥羽市安楽島)、北原道治(さん高知県宿毛市)
    アドバイス/菊地則雄さん(千葉県立中央博物館海の博物館 )
    『標準原色図鑑 海藻』(千原光雄 保育社)、『日本の海藻』(解説/田中次郎 写真/中村庸夫 平凡社)
  • 主食材として「イロロ」を使用したレシピ一覧

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