ナミガイ

代表的な呼び名白ミル

ナミガイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
13cm SLを超える。貝殻はやや厚いが、もろく表面に波状の皺がある。軟体は貝殻よりも遙かに大きく、水管を伸ばすと貝殻の長さの3倍以上になる。
13cm SLを超える。貝殻はやや厚いが、もろく表面に波状の皺がある。軟体は貝殻よりも遙かに大きく、水管を伸ばすと貝殻の長さの3倍以上になる。
13cm SLを超える。貝殻はやや厚いが、もろく表面に波状の皺がある。軟体は貝殻よりも遙かに大きく、水管を伸ばすと貝殻の長さの3倍以上になる。
13cm SLを超える。貝殻はやや厚いが、もろく表面に波状の皺がある。軟体は貝殻よりも遙かに大きく、水管を伸ばすと貝殻の長さの3倍以上になる。

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱オオノガイ目キヌマトイガイ科ナミガイ属
外国名
英名/Japanese geoduck
学名
Panopea japonica A.Adams,1850
漢字・学名由来

漢字 波貝 Namigai
由来・語源 『目八譜』より。貝殻に打ち寄せる波のような皺(成長肋、しわ)があるためだと思われる。翁面貝(オキナノメンガイ)とも。

目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。
武蔵石寿
武蔵石寿(むさし・せきじゅ 玩珂停、明和3-万延元年 1766-1861)。石寿は号、本名は武蔵孫左衛門。450石取りの旗本。赭鞭会。本草学、貝類。西洋の新しい分類学も取り入れようとしていた。『目八譜』(掲載1064種)、『甲介群分品彙』(掲載605種)、『介殻稀品撰』など。現在使われている標準和名の多くがここから来ている。
地方名・市場名
シロミル[白ミル]
備考ミルクイに対しての呼び名。 参考聞取 場所全国の流通の場で。 
カモガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)) 場所北海道サロマ湖・北見・道南 
クリガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)) 場所香川県丸亀市 
シラガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)) 場所鳥取県境港市湊 
ナミゲ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)) 場所鹿児島県大隅半島肝属 
オキナノメンガイ[翁面貝]
備考別名。 

概要

生息域

海水生。潮間帯下部から水深30メートルの砂泥地。
北海道から九州、オホーツク海。
サハリン、沿海州、太平洋沿岸のメキシコからアメリカ。

生態

基本情報

日本各地の浅い砂泥地にいるもので、非常に深く砂に潜る性質がある。
代表的な産地は愛知県三河湾、瀬戸内海などが産地である。
流通上は「白ミル」と呼ばれている。オオノガイの仲間では唯一全国的な流通にのる。古くから食用とはなっていたが、ミルクイがあまりとれなくなり、代用品として盛んに利用されるようになり知られるようになった。
ミルクイと比べてまずいとされるが、明らかに間違い。実にうまい貝である。
珍しさ度 珍しい貝ではないが、一般的ではない。めったに消費地の小売店では見かけない。あくまでも料理店、すし店での食材である。

水産基本情報

市場での評価 流通漁は少なくはない。やや高値。
漁法 潜水漁
産地 山口県、愛知県、千葉県など

ミルクイ(上)と白ミル(ナミガイ・下) ナミガイ(キヌマトイガイ科)が「白ミル」と呼ばれるようになったのはミルクイ(ミルガイ、バカガイ科)が減少して高価になったため。ミルクイは歩留まりが悪い上にナミガイの二倍以上もする。味は世に言われるほど大きな違いはないが、ミルクイに軍配が上がる。

選び方・食べ方・その他

選び方

原則的に生きているもの。水管を触って張りのあるもの。

味わい

旬は春。
貝殻は薄く硬いが軽い。主に食べるのは水管。水管は大きくミルクイと比べると歩留まりは悪くない。
熱を通し過ぎると硬くなる。

食べる部分 基本的にすべて食べることができる。ただ食感がよく生食に向いているのは右の水管の部分。他の部分は軟らかいので煮たりソテーしたりする。
水管部分の歩留まりは約10%、外套膜を含めても30%くらいしかない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ナミガイ(白ミル)の料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、ぬた)、ソテー(バター焼き、中華炒め)、揚げる(天ぷら)、煮る(内臓と足の煮つけ)、焼く(干もの)
ナミガイの刺身(シロミルの刺身) 水管のみ使う。貝殻をとり、消化器、足などを切り取る。水管を開いて湯通しし、氷水に落として薄皮を剥く。水分をよく切り、縦方向に隠し包丁をして刺身状に切る。湯通しする時間が長いほど食感が強くなる。貝らしい風味は弱いが甘味があってなかなか捨てがたい味である。
ナミガイひも刺身(シロミルひも刺身) 剥いてヒモ(外套膜)を単体で取り出す。すり鉢などに入れて振り塩をしてぬめりを取る。冷水で洗って水分をよくきる。水管とはまったく別ものの味でこりっとした歯触りがあり、買いらしい風味が豊かだ。
ナミガイのぬた(シロミルぬた) ナミガイの水管、ひもなどを湯通しして氷水に落として薄皮を取り、水分をよく切り食べやすい和える素材に合わせて切る。これをねぎ、ギョウジャニンニク、うるい(オオバギボウシ)、たらの芽などと合わせて、酢みそで和える。写真は西京みそ、砂糖、酢を合わせて練り辛子を混ぜた辛子酢みそ。
ナミガイのアヒージョ(白ミルのアヒージョ) わたと足、水管の根元部分の柔らかい部分を使う。食べやすい大きさに切り、耐熱の容器にオリーブオイル、にんにく、辛い唐辛子などを加えて白ミルを入れて火にかける。油が沸き立っている内に食べ始める。貝自体もおいしいが、貝のうまみやニンニクの風味がついたオリーブオイルも美味だ。
ナミガイとチンゲンサイの炒めもの(白ミルの炒め物) ナミガイは内臓以外の部分の薄皮を剥き、適宜に切る。チンゲンサイは湯通しして適宜に切る(湯通しは必ずしもしなくていい)。中華鍋などに油を入れてタカノツメとしょうがのみじん切りで香りづけする。ここでチンゲンサイとミルガイを短時間炒める。味つけは塩コショウ、紹興酒のみ。野菜は空心菜や白菜などなんでもいい。
ナミガイのバター焼き ひもや水管の部分の薄皮を剥き、翌水分を切る。適宜に切る。フライパンにバターと白ワイン、にんにく、タカノツメを入れて泡立つほど熱したらナミガイを加えて短時間ソテー、仕上げにパセリなどで香りづけする。タカノツメは途中で取り出す。
ナミガイの煮つけ 本種は水管とひもだけを食べると、全体の10%くらいしか可食部がない。真ん中の内臓と小さな足を湯通しして、冷水に落としてぬめりなどを取る。これを酒、砂糖、しょうゆでこってりと甘辛く煮上げていく。佃煮風に煮てもいい。
ナミガイの天ぷら 小振りのナミガイは水管の部分を開いて薄皮を剥く。水分をよく切り、小麦粉をまぶして衣をつけて強火で短時間揚げる。火を通しすぎると硬くなるので要注意。揚げることで甘味が強くなり、心地よい食感も楽しめて美味。
ミルガイの酒干し(シロミルの干もの) ミルガイの水管と水管のつけねの部分を開いて皮を剥く。水分をていねいにきり、酒を振りビニール袋などに入れて密封する。これを日陰の風通しのよい場所で干し上げる。気温が高い時季は冷蔵庫で干すといい。干し上がったら軽くあぶる。火を通しすぎると硬くなる。水管は焼き上がったら縦方向に切って出す。
ミルガイのつけ焼き(シロミルのつけ焼き) 市場では生きの悪い個体は貝殻をはずして水管のみで販売している。この水管を開いて縦方向に包丁を入れる。水分をよくきり、焼く。ほぼ火が通ったら酒・醤油を合わせたものを塗りながら仕上げる。焼きすぎると硬くなる。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど