チョウセンハマグリ

代表的な呼び名ジハマグリ

チョウセンハマグリの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[徳島県海部郡宍喰大手海岸 殻長11cm・254g]
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[徳島県海部郡宍喰大手海岸 殻長11cm・254g]
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[徳島県海部郡宍喰大手海岸 殻長11cm・254g]
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[徳島県海部郡宍喰大手海岸 殻長11cm・254g]
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[千葉県九十九里産ぜんな 殻長23〜35mm・4〜15g]
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[徳島県海部郡宍喰大手海岸 殻長9cm・160g]
殻長15cm前後になる。貝殻に光沢があり、非常にふくらみが強い。正三角形に近くてやや丸みを帯びる。[徳島県海部郡宍喰大手海岸 殻長9cm・160g]

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魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ超科マルスダレガイ科ハマグリ亜科ハマグリ属
外国名
英名/Common shield-clam,Asiatic hard-clam,Orient clam
学名
Meretrix lamarckii Deshayes,1798
漢字・学名由来

漢字 朝鮮蛤 Chousenhamaguri
由来・語源 『目八譜』より。江戸時代『朝鮮』という言葉は身近なところにいる(内湾の)ハマグリと似ているが、やや遠い場所(外洋に面した浜)にいる、という意味だ。
明治・大正・昭和につけられた標準和名の「朝鮮」は模式標本、標準和名をつけた標本が朝鮮半島である場合や、実際に朝鮮半島で多産するためだが、江戸時代の「朝鮮」は別の意味合いがある。例えば江戸時代の教養人、例えば武蔵石寿にとって朝鮮という地域はある種、憧れの地であった。江戸時代には朝鮮方を置き、雨森芳洲(江戸時代中期の儒者)のように朝鮮通信使なども極め丁重にもてなしたりしていた。李氏の朝鮮通信使などは鎖国時代に異国文化を感じさせるものだったのだ。要するに本種やチョウセンハマグリの「朝鮮」はエキゾチックな、という意味だと思える。
「はまぐり」の語源
■浜にあって「栗」に似ているから。「浜栗」。
■「はま」は「浜」、「くり」は「石」の意味。石が地中にあるに似ていることから。

目八譜
1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。
武蔵石寿
武蔵石寿(むさし・せきじゅ 玩珂停、明和3-万延元年 1766-1861)。石寿は号、本名は武蔵孫左衛門。450石取りの旗本。赭鞭会。本草学、貝類。西洋の新しい分類学も取り入れようとしていた。『目八譜』(掲載1064種)、『甲介群分品彙』(掲載605種)、『介殻稀品撰』など。現在使われている標準和名の多くがここから来ている。
地方名・市場名
バチ バチケー バチケ[場違貝]
備考主に戦前生まれの方が使っている。 参考聞取 場所千葉県の市場、東京の市場 
ハマグリ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社))、聞取 場所東京を始め関東の市場・一般に、千葉県銚子市、佐賀県唐津市 
ゼンナ
サイズ / 時期小型 参考スーパー、聞取 場所千葉県山武郡大網白里町・いすみ市 
ジハマ ジハマグリ[地蛤]
備考市場や流通上での呼び名。 場所千葉県長生郡〜一宮、関東の市場 
ゾロ
サイズ / 時期大きいものを。 場所千葉県山武郡大網白里町 
ゴイシハマグリ[碁石蛤] ヒュウガハマグリ[日向蛤]
備考碁石の白の材料となるので。 場所俗に 

概要

生息域

海水生。鹿島灘以南。台湾、フィリピン。
メモ/島根県にも生息。
外洋に面した砂地の潮間帯から水深20メートル付近。

生態

産卵期は7月〜10月。

基本情報

古くはハマグリよりも味が劣るとされて、比較的値段的にも安いものだった。
今でも内湾のハマグリに対して外洋に面した浜にいるのでバチ(場違い)という言葉が残っている。
それがハマグリの減少にともないクローズアップされて、高価なものに。
国産ものとしては小振りで出荷されているハマグリ以上に高級品となっている。
また食用だけではなく、宮崎県産の半化石化した貝殻は碁石に加工されていた。

ハマグリ属について
■国内には内湾性のハマグリと外洋性のチョウセンハマグリがいる。
■2種ともに資源的、種の存亡の危機にある。
■国内に見られるほとんどが中国から輸入されたシナハマグリ。

水産基本情報

市場での評価 入荷は少ない。。関東の市場では「地ハマグリ」となる。値段は非常に高値で安定。
漁法 貝桁網(底曳き網)。
産地 茨城県、千葉県、宮崎県

選び方・食べ方・その他

選び方

原則的に生きているもの。貝殻の表面につやがあり、ぬるぬるしているもの。

味わい

旬は春
貝殻が厚い。
いいだしが出て、熱を通してもあまり硬くならない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

チョウセンハマグリの料理法・レシピ・食べ方/汁(鍋、みそ汁、すまし汁)、蒸す(ワイン蒸し、酒蒸し、ぬた)、焼く(焼き蛤)、炊き込みご飯
チョウセンハマグリの鍋 昆布だしに酒、少量の塩でつゆを作る。数人で鍋を囲み、ハマグリを入れては食べ尽くし、また入れては食べ尽くす。小鍋仕立てで1、2個ずつ入れながら食べてもいい。
チョウセンハマグリの吸いもの 昆布だしに酒、少量の塩で味つけ。ハマグリを入れて貝殻が開いたら椀に盛る。
チョウセンハマグリのみそ汁 鍋にハマグリと水を入れて火をつける。沸騰したなかにハマグリを入れてもいい。だしのうまさか、軟体のうまさを取るかでやり方が変わる。貝殻が開いたらみそを溶く。
ワイン蒸し フライパンにオリーブオイル、刻んだにんにくを入れて火をつける。香りが出て来たらハマグリを入れて口が開いたら出来上がり。原則的に味つけは無用。コショウ、パセリなどで香りづけするだけがいい。またバターを加えるとパンに合う。
チョウセンハマグリのぬた 少量の水分でハマグリを蒸し煮。貝殻が開いたら身を取り出す。鍋に残った汁に水などを加え、青みに火を通す。青み、ハマグリを冷やしたら酢みそと盛る。
チョウセンハマグリの焼き蛤 貝殻の脇の靱帯を切り取り、炭火で焼く。口が開いたらしょうゆ、酒を合わせたものをたらす。
チョウセンハマグリの炊き込みご飯 ハマグリを酒蒸しにする。身を取り出し、汁を冷やす。米をとぎ、酒蒸しの汁と水、塩、しょうゆで水加減をする。これを普通にたき、蒸らす前にハマグリの身を加える。もしくはハマグリのむき身をそのまま炊き込む。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

■碁石の材料となった。那智の黒石と日向蛤の白石。
■人形の顔などを白く塗る胡粉(ごふん)の材料。
■関東の市場で「地はまぐり」というのは千葉県長生郡一宮などから入荷するものの商品名的なものだった。