タナカゲンゲ

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1m前後になる。犬、もしくはキツネを思わせる顔つき。非常に小さな腹鰭があり、2つは離れていて、鰓膜は離れている。背部に明瞭な文様があり、若い個体の方がはっきりしている。鰓蓋骨に歯がある。
1m前後になる。犬、もしくはキツネを思わせる顔つき。非常に小さな腹鰭があり、2つは離れていて、鰓膜は離れている。背部に明瞭な文様があり、若い個体の方がはっきりしている。鰓蓋骨に歯がある。[75cm、重さ2.7kg]
全長11cmの幼魚。
1m前後になる。犬、もしくはキツネを思わせる顔つき。非常に小さな腹鰭があり、2つは離れていて、鰓膜は離れている。背部に明瞭な文様があり、若い個体の方がはっきりしている。鰓蓋骨に歯がある。
1m前後になる。犬、もしくはキツネを思わせる顔つき。非常に小さな腹鰭があり、2つは離れていて、鰓膜は離れている。背部に明瞭な文様があり、若い個体の方がはっきりしている。鰓蓋骨に歯がある。
左右の腹鰭は離れていて鰓膜は離れている。
口蓋骨に歯がある。

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ゲンゲ亜目ゲンゲ科マユガジ属
外国名
Tanaka eelpout
学名
Lycodes tanakae Jordan and Thompson,1914
漢字・学名由来

漢字 田中玄華 Tanakagenge
由来・語源 標準和名、種小名 tanakae は魚類学者の田中茂穂(1878〜1974)に由来する。田中茂穂自身は著書でキツネダラとしている。
〈喉位族ゲンゲ科マユガジ属タナカゲンゲ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)

Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
Tanaka
田中茂穂(Shigeho Tanaka 明治11-昭和49 1878-1974 高知県)。東京帝国大学にて魚類の分類を始める。日本魚類学の父。170種前後の新種を記載。献名された種も少なくない。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。水深120-870m。
北海道オホーツク海、北海道〜山口県の日本海沿岸。
朝鮮半島東岸中北部、間宮海峡、サハリン南岸、サハリン周辺のオホーツク海。

生態

基本情報

1m以上になる大型魚で、日本海、オホーツク海で水揚げされている。ズワイガニなどをとる底曳き網に混ざるもので、日本海側の産地でしばしば出合うことができる。最近では関東にも少ないながら入荷してくる。
古くは練り製品の原材料となったり、鮮魚としては非常にローカルなものであった。鳥取県岩美町で鍋を名物料理にするなど少しずつ脚光を浴び始めている。
白身でやや滑りが多いもののクセのない味わいで、料理法を選ばない。冬期に旬を迎えるもので鍋材料としても優秀である。まだまだ安いのでお買い得の魚といえそう。
珍魚度 珍魚とは言えないが、日本海側など底曳き網のあるところでしか手に入れにくい。

水産基本情報

市場での評価 日本海側では食用となっているが、流通することは希。関東にもときどき入荷を見る。あまり知名度がないので安い。
漁法 底曳き網(ズワイガニの網などで混獲されるもの)
産地 日本海各地

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。目が澄んでいるもの。滑りが透明なもの。鰓が赤いもの。

味わい

旬は寒い時期。
鱗はなく、皮は厚くしっかりしている。皮はよく滑りをとらないと臭みがある。
白身であまり繊維を感じない。部分によってはボロっとする。生でそのまま食べても旨みも脂も感じない。熱を通すと適度に締まる。身離れはよく、まったくクセがない。
骨などから上品でいやみのないだしが出る。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

タナカゲンゲの料理法・レシピ・食べ方/煮る(鍋、煮つけ)、汁(みそ汁)、揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)、刺身(昆布締め、湯引き)、焼く(みそ漬け、粕漬け、干もの)
タナカゲンゲの韓国風鍋 本種は非常に上品な味ともいえるが、味気ないともいえそうである。単に昆布だしの鍋にしてもそれほどうまくない。ここでは煮干しだしに塩味という韓国でも東側の鍋にしてみた。
水洗いして適当にきり湯通しする。冷水に落として表面のぬめりを流し、水分をよくきる。これを煮干しだしに酒・塩の出汁の中で煮ながら食べる。唐辛子などはお好みで。

タナカゲンゲの醤油鍋(じゃう) 醤油仕立ての鍋にする。兵庫県但馬地方に「じゃう」という鍋もしくは汁ものがある。適当に切り、醤油・酒で味つけした中で煮ながら食べる。ここでは水洗いして適当に切り、湯通しして冷水に落としヌメリを落として、酒・醤油・水の地でたきながら食べた。
タナカゲンゲの水炊き いちばんシンプルな昆布だしに酒・塩で煮ながら食べる「水炊き(ちり)」である。水洗いして適当に切る。肝は分けておく。身は湯通しして冷水に落として表面のぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしに酒・塩の中で煮ながら食べる。骨などからいい出汁がでるものの、ややもの足りない。
タナカゲンゲの煮つけ 水洗いして頭部などを集めて置く。湯通しして冷水に落としてぬめりなどをとる。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水を沸かした中で甘辛く煮る。身は淡泊ではあるが皮と肝が非常に美味。
タナカゲンゲのみそ汁 小振りの個体を水洗いする。大型は頭部などを使うといいだしが出る。湯通しして冷水に落としてぬめりなどを流す。水分をよくきり水から煮出してみそを溶く。うま味豊かな汁で、おかずになる。
タナカゲンゲのフライ くせのない上品な白身で熱を通しても硬く締まらないなど、フライ材料に向いている。水洗いして三枚に下ろす、腹骨・血合い骨を取り、皮を引いて切り身にする。塩コショウして小麦粉をまぶし、バッター液(小麦粉・卵・水。少ない量なら溶き卵でもいい)をくぐらせパン粉をつけて揚げる。
タナカゲンゲの唐揚げ 鰭際や胸鰭の根元など切り身にならない部分を集めて置く。水分をよく切り。片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げにする。硬い骨もなく丸ごと食べられる。
タナカゲンゲのムニエル クセのない上質の白身でバターとの相性がいい。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り(後方には血合い骨がない)、皮を引いて切り身に。塩コショウし小麦粉をまぶして多めの油で表面が香ばしくなるまでソテーする。
タナカゲンゲの昆布締め 単に生で食べても、そんなにうまくない。皮が硬いのであぶりなどにもできない。それを昆布で補う。水洗いして三枚に下ろして皮を引く。振り塩をして水分が出て来たら拭き取り、昆布に一日くるんでおく。塩と昆布で身が締まり、うま味も増して美味に。
タナカゲンゲの湯引き よほど新しくないと刺身は食感がよくない。新しくても身にうま味が薄い魚でもある。これを湯引きにすると皮のうまさが加わる。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を抜く。刺身状に切り、塩水をわかした中に潜らせて氷水に落とし、水分を切る。コチュジャン酢、酢みそが合う。
タナカゲンゲの干もの(塩干し) しっかりした身にみえて、意外に水分が多い。水洗いして二枚に下ろす。切り身にしてやや弱めの立て塩につけて水分を切る。水分をよくきり、酒をくぐらせて半日干す。焼くと硬く縮むもののおいしい。

好んで食べる地域・名物料理

ばばちゃん鍋 鳥取県岩美町の名物料理。店によって味つけに違いがある。できるだけ単純な味つけの店を選ぶべき。

加工品・名産品

練り製品の材料

釣り情報

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

ナンダラ
参考阿部鮮魚店 場所山形県酒田市・鶴岡市由良漁港 
キツネ
参考松澤周一さん(新潟県糸魚川市) 場所新潟県親不知、兵庫県浜坂・香住 
ナマズ ババチャン チョウセンナマズ[朝鮮なまず]
場所鳥取県岩美町 
ナンダ
場所北海道、富山県黒部 
ババノロ
場所山形県鶴岡市由良漁港 
シャデ
場所石川県輪島 
キツネダラ
参考『魚』(1940 田中茂穂 創元社)、聞取 場所福井県、京都府京丹後市、兵庫県香住ほか但馬地方 
ババダラ
場所兵庫県但馬地方 
ババア ババ
場所島根県、鳥取県