ズワイガニ

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雄 甲長12cm・甲幅10cm前後になる。甲が小さく極端に脚が長い。丸みを帯びた正三角形。口の上部には4歯があり直線上に並ぶ。
雄 甲長12cm・甲幅10cm前後になる。甲が小さく極端に脚が長い。丸みを帯びた正三角形。口の上部には4歯があり直線上に並ぶ。
雄 甲長12cm・甲幅10cm前後になる。甲が小さく極端に脚が長い。丸みを帯びた正三角形。口の上部には4歯があり直線上に並ぶ。
口の上部には4歯があり直線上に並ぶ。

ズワイガニは雄と雌でページが分割されています

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魚貝の物知り度 ★★
これは常識
食べ物としての重要度 ★★★★
重要
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目短尾下目ケセンガニ科ズワイガニ属
外国名
英名/Queen crab, Snow crab, Zuwai-crab フランス名/Crabe des neiges
学名
Chionoecetes opilio (O.Fabricius,1788)
漢字・学名由来

漢字 「頭矮蟹」。
由来・語源
■ 頭(甲羅の部分)が足に対して小さいため。
■ 「ず」は頭(かしら)のことで、もっとも偉い、もしくは先頭という意味になり、「カニの頭」すなわち「カニの王様」のこと。

地方名・市場名
タラバガニ
参考『みちのくたべもの誌』(太田雄治 現代美術 1971) 場所秋田県由利本荘市・にかほ市由利海岸 
マツバガニ[松葉がに]
場所島根県、鳥取県、兵庫県 
エチゼンガニ[越前がに] ズボガニ ズワイガニ ズボガニ
場所福井県 
ミズガニ[水蟹]
サイズ / 時期脱皮したばかりで軟らかいのを 
ヨシガニ ズワイ
参考文献より。 

概要

生息域

海水生。水深180-350m。水深2223mからの発見例もある。
オホーツク海から日本海、太平洋側では犬吠埼以北。
北極海のアラスカ沖、グリーンランド西岸、北米の大西洋、太平洋沿岸からベーリング海、南米のチリ沿岸。

生態

産卵は年に一回。
日本海では夏〜秋に脱皮し交尾、産卵して外子(外卵)を抱く。1年間抱卵して翌々年の2-3月に孵化した幼生を放つ。
山陰沖のズワイガニが初めて産卵する時期は6月〜8月、2回目以降は2月〜3月。
オホーツク海では産卵は2年に一度、産卵期は2月〜3月。
甲殻類、二枚貝、クモヒトデ類、魚類、イカ類、ゴカイ、巻貝、ツノガイなどをエサとする。
寿命は約13年。

基本情報

太平洋の寒流域に広く生息。雄が大きくなり、雌とは別のカニと思えるほど。国内外でとれる高級ガニの代表的なものでもある。国内ではロシアからの輸入ものが多く、北海道、東北、日本海側で漁が行われている。
日本海では冬の風物詩となっている。「隠岐松葉蟹」、「松葉蟹」、「間人蟹(たいざがに)」、「越前蟹」、「加能蟹」など総てズワイガニの雄のこと。

水産基本情報

市場での評価 活けはロシア産などを中心に年間を通して入荷してくる。寒い時期の国産ものは高く、輸入ものは安い。生、ゆでの冷凍ものも大量に出回る。
漁法 底曵網、カゴ漁
主な産地 兵庫県、北海道、島根県、鳥取県、石川県、福井県、新潟県、岩手県、福島県、宮城県
国内での漁獲量は6000トン前後、これに対してロシア、アラスカなどからの輸入が60000トンと国産の10倍にも上る。すなわち国産の中にはメスも含まれているわけで、オスの量となるともっと差が出るかもしれない。

選び方・食べ方・その他

選び方

生きているものは元気なもの。持ち重りのするもの。

味わい

旬は漁期である秋〜春。
なんといっても身の甘みと、ほどよく繊維を感じる食感が重要。
鍋ものなどにして旨味のあるだしがでる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ズワイガニ雄の料理方/煮る(鍋、ゆでる、煮る)、生食(湯引き)、剥き身・ゆでかにを使って(天ぷら、サラダ、ピラフ、チャーハン)
ズワイガニのちり鍋 煮ながら食べるのがいちばん合理的だと思う。昆布だしに酒と塩だけの単純な味つけで、季節の野菜と煮ながら食べる。火の通り加減は好みのまま。カニの殻などから独特の風味が出て、だしがとてもうまいし、適度に火の通った身に甘味が豊かだ。仕上げには必ず増水を。

ズワイガニの雑炊(ちり鍋) ちり鍋をした後の雑炊の味わいも絶品。カニの殻から出るうま味がご飯によく合う。濃厚なうま味のなかにカニらしい香ばしさというか風味があり、しかも食味は上品。だしと酒、塩の味つけにボイルした身を加えて即席で作ってもいい。
ズワイガニの塩ゆで もっとも基本多岐な食べ方がこれ。浜ゆで(産地で塩ゆでされたもの)もあるが、やはり活けを塩ゆでしたほうが遙かに美味。食べやすい足の筋肉がたっぷりなのも魅力だし、口のなかでほぐれるのもいい。甘味が強いものの、後味がいいのも魅力。
ズワイガニのしゃぶしゃぶ 冷凍ものでも生のものを使う。活は足を外し、殻をのぞく。これを昆布だしに酒、塩味のなかで振りながら好みに火を通す。強く火を通した方が甘味は強いものの、中心部分の食感は弱くなる。香りのある三つ葉などと合わせてもいい。
ズワイガニの刺身 活けのもので作る。足を外し殻を取る。これを氷水のなかで急激に冷やして洗う。もしくは湯通しして冷水にとってもいい。要は表面だけ白くなるくらいに火を通す。火を通した部分が甘く、中心部分はぷりっとしている。
ズワイガニの天ぷら 冷凍生の足を使った方が便利。解凍して水分をよくきる。これを高めの油で短時間揚げる。表面はかりっと香ばしくカニの香りが感じられ、中心部分はしっとりして柔らかい方がいい。揚げることで甘味が強くなる。
ズワイガニのサラダ 市販のばらけ(カニの身をばらしたもの)を使った。単に野菜と合わせて、好みのドレッシング、マヨネーズを合わせたもの。マヨネーズと相性がいい。
ズワイガニのピラフ 冷凍カニや剥き身を使う。米を普通に洗い、オリーブオイル、ハーブブイヨン(クールブイヨン)、塩、粒コショウ、ローレル、カニの身で炊き込む。カニの甘さとハーブの香りがきいてとてもおいしい。
ズワイガニのグラタン ゆでたズワイガニのみそ、剥き身を集めて置く。小麦粉とバター、牛乳でホワイトソースを作る。刻み玉ねぎを色づくまで炒める。ホワイトソースと玉ねぎを混ぜ、グラタン皿に入れ、カニの身、みそを混ぜ込む。表面にもカニの身を乗せて軽く焦げ目がつくくらい上火で焼き上げる。
ズワイガニのかに玉 市販のばらけ(カニの身)を使うといい。これを巻き込んで卵焼きを作り、鶏ガラスープに野菜を合わせたあんをかける。非常に簡単ではあるがカニの味わいを十二分に楽しめる。

好んで食べる地域・名物料理

現在では全国。
古くは日本海各地。

加工品・名産品

浜ゆで、冷凍、缶詰など。
棒肉 脚の部分の筋肉の殻を除去したもの。ボイル、生があるが基本的に冷凍流通。
ズワイガニフレーク 甲下の部分の棒状にならない身、脚の部分でばらけた身などのこと。
かにみそ ズワイガニの肝膵臓と少量の筋肉を合わせてペースト状にしたもの。『ストー缶詰』 北海道函館市千代代町18-13

釣り情報

歴史・ことわざなど

■ 北海道などでは缶詰となり輸出されていた。
■ 日本海の解禁は毎年11月初旬。初競りでの最高値が話題となる。
■ 地名のついたズワイガニ
間人蟹(間人ガニ) 京都府丹後市丹後町間人であがるもの。
加能がに 石川県産のもの。
隠岐松葉ガニ 島根県隠岐でカゴ漁でとれたもの。
カニビルの卵 甲羅の黒いものはカニビルの卵。なぜか日本海のものには付着しているのに、ロシアやアラスカのものには付着していない。「カニビル」という名前からズワイガニに寄生してるかのように思われがちであるが、成虫の寄生の事実はないのだという。カニビルが棲息する深い海底は柔らかな泥質であり、カニビルが産卵する安定しっかりした場所がない。それで硬く安定した面であるズワイガニの甲羅に産卵するのではないかという。
■ 道頓堀『かに道楽』の大きなカニの看板は、今や観光名所のひとつだが、これがズワイガニ。
ズワイガニ5種
ズワイガニ Chionoecetes opilio (O.Fabricius,1788) 北極海のアラスカ沖、グリーンランド西岸、北米の大西洋、太平洋沿岸からベーリング海、南米のチリ沿岸。オホーツク海から日本海、太平洋側では犬吠埼以北。
ベニズワイガニ Chionoecetes japonicus Rathbun,1932 日本海、太平洋、オホーツク海
オオズワイガニ Chionoecetes bairdi Rathbun,1924 北海道噴火湾、北見沖。ベーリング海、アリューシャン列島、アラスカ半島、ブリティッシュコロンビア沿岸。
トゲズワイガニ Chionoecetes angulatus Rathbun, 1924 カムチャツカ半島、ベーリング海~オレゴン州。
ミゾズワイガニ Chionoecetes tanneri Rathbun, 1893 ベーリング海~カリフォルニア州