クルマダイ

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18cm SL 前後になる。体高があり、側へんするが意外に左右に厚みがある。体色に赤い横帯があるが、成長するとわかりにくくなる。背鰭後端・尾鰭・尻鰭の縁辺は黒くない。[18.5cm SL 322g]
18cm SL 前後になる。体高があり、側へんするが意外に左右に厚みがある。体色に赤い横帯があるが、成長するとわかりにくくなる。背鰭後端・尾鰭・尻鰭の縁辺は黒くない。[9.5cm SL 31g]
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ亜目キントキダイ科クルマダイ属
外国名
Japanese bigeye 台湾/日本大鱗大眼鯛、日本鋸大眼鯛、紅目鰱、嚴公仔、大目仔(臺東)、紅目孔(澎湖)、紅嚴公(澎湖)
学名
Pristigenys niphonia (Cuvier,1829)
漢字・学名由来

漢字 車鯛 Kurumadai
由来・語源 不明。丸くて「車」のようだから。「車」は当然自動車ではなく、軸について回る輪のこと車輪のこと。また輪のように丸いという意味合いもある。
〈クルマダイ(キンコダイ)車鯛 Pseudopriacanthus niphonius (Cuvier, et Valenciennes,) 〉。キンコダイという別名の出所は田中茂穂ではないかと考えている。『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。水深80〜230m。水深200m周辺に多い。
[東京湾富浦沖]、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸、新潟県佐渡〜九州北西岸の日本海、玄界灘の沿岸、東シナ海大陸棚縁辺。
台湾、南シナ海、フィリピン沿岸、ボルネオ、スラウェシ島、ジャワ島、オーストラリア北西岸・北岸、サモア諸島。

生態

基本情報

やや温かい海域の底曳き網や定置網、延縄などで揚がる。水揚げ港でも1日に数個体という少なさなので雑魚として出荷されないことも多い。漁師さんなどで本種のうまさを知っている人は多いので、おかずになってしまっている可能性も高い。
キントキダイ科のなかでも小型ではあるが、身に厚みがある。大きさ以上に歩留まりがいい。
水揚げを見に行くようになると、この魚、見つけると水揚げされる魚の中にただ1尾、多くても数尾だけということが多い割に目だつ魚なのでどうしても印象に残る。黒潮の影響の強い、紀伊半島、御前崎、伊豆などで何度か小売店でも見ている。ただし売り物にするにはとれる量が少なすぎるために、味は良くても雑魚としての評価しかない。ある意味お買い得な魚である。

水産基本情報

市場での評価 入荷は非常に希。安い。
漁法 底曳き網、延縄
産地 静岡県

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は秋から春。
鱗は細かくて非常に硬い。必ずしも鱗を取る必要はない。皮は厚い。
体長に比して身に厚みがあり、透明感のある白身で、透明感は長続きする。血合いは赤いが薄い。熱を通しても硬く締まらない。
あらなどから実にいいだしが出る。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

クルマダイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、焼く(塩焼き、丸焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、汁(潮汁、みそ汁)
クルマダイの刺身 水洗いして、鱗はとっても、取らなくてもいい。三枚に下ろして、血合い骨・腹骨を取る。肝は湯通ししておく。内臓は基本的に熱を加えた方がいいと思っている。活魚の場合は生でも使えるとは思うが、一般的ではない。鮮度のいいものは身がしっかり締まっているので皮を引き、薄めに切る。肝と一緒に盛る。そのままわさび醤油で食べてもいいが、肝を醤油の中でつぶしてからめて食べるとより味わい深い。

クルマダイの丸焼き 比較的腹の中がきれいな魚なので、ざっと洗って水を拭き取り、そのまま焼ける。弱火でじっくり焼き、強火にして表面を軽く焦がす。焼き上がったらこの表面の鱗と皮を外すと、しっとりとしたうま味豊かな白身が出てくる。肝なども非常にうまい。焼くと蒸すの中間的な味が楽しめる。
クルマダイの煮つけ 面倒だが硬い鱗をひく。水洗いして肝、胃袋などを取り分けて置く。水分をよくきり、湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを酒と醤油で煮る。みりん、砂糖などで甘味を加えるとご飯に合う。身は硬く締まりすぎず甘みがある。肝、胃袋などが非常にうまい。
クルマダイの唐揚げ 小振りのものなどは唐揚げにすると鰭や頭部などあまり捨てる部分がなく食べられる。水洗いして適当に切り、水分をよく拭き取る。片栗粉をまぶしじっくりと二度揚げする。骨が硬いので丸ごと全部とはいかないが、鰭が香ばしく、付着した身に甘みがある。
クルマダイの潮汁 非常に濃厚でありながら、後味のいいだしが出る。みそ仕立てでもいいが、塩と酒であっさりというのもいい。あらを集めて置く。湯通しして冷水に落とし残った鱗やぬめりを流す。これを昆布だしで煮だして酒と塩で味つけする。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

キントキ
参考日比野友亮さん/和具の方言、自、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県志摩市和具町、和歌山県田辺 
カゲキヨ
参考文献 場所千葉県房総、神奈川県江ノ島 
マンネンダイ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺 
ヘイケダイ ベニダイ
参考文献 場所和歌山県白崎 
ギンダイ
参考文献 場所富山県四方 
ギンバチ
参考文献 場所富山県富山 
ヘイケダイ
参考文献 場所島根県恵曇・手結 
クルマダイ
参考文献 場所新潟県寺泊 
キンダイ
参考文献 場所新潟県能生町 
バクチウオ
参考文献 場所神奈川県国府津 
キンメ
場所高知県須崎 
アカンベ
参考文献 場所高知県須崎 
カネヒラ
参考文献 場所高知県高知市 
エグレ ヒレダイ
参考文献 場所鹿児島 
カガミダイ
参考文献 場所鹿児島県 
アカメ オキアカメ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島