生息域◆日本各地。朝鮮半島南部、黄海。 生態◆ 浅い岩礁域に棲息する。 産卵期は関東では晩秋から冬。北海道では9月から11月と早い。 産卵期にはオスが縄張りを持ち、メスに求愛運動をし、岩礁域の窪みなど潮通しのよい場所(縄張り)に産卵させ、産卵後はオスが卵を保護する。この縄張りを持つ産卵期にオスは婚姻色の鮮やかな黄色になる。卵を守る習性があるのに、逆に卵を好んで食べる。 雑食、夜行性で岩礁域などに縄張りを持っている。 漁獲方法◆延縄(はえなわ 釣り)/刺し網/カゴ漁(アイナメカゴ) 大きさ◆50センチ前後になる 漢字◆「鮎並」、「鮎魚女」、「愛魚女」、「相嘗」。 由来◆ 鮎のように縄張りを持つため。 「大言海」にアユに似て滑らかであるから」。 「愛な魚」のこと、〈愛〉は「愛でること・賞味すること」、〈な〉は「の」、「め」は魚名語尾で「賞味すべき美味な魚」の意味。 呼び名・方言◆北海道では「油子(あぶらこ)」、「あぶらっこ」。四国関西では「あぶらめ」、新潟、秋田などでは「しんじょ」「しじゅう」、「しじょう」などと呼ばれている。東北で「根魚(ねう)」「根魚(うえうお)」。広島県では「籾種失(もみだねうしない)」。 話題、こぼれ話◆学名の「otakii」はシーボルトの愛妾、お滝に由来する。 釣り◆東京湾のブラクリによるアイナメ釣りは最高に面白い。ブラクリという軽い重りに短いヒモ1本に針がついているだけ。餌はアオイソメをつけ、湾内の岩場やテトラまわりの浅い場所を探るように釣る。単純な仕掛けだけに引き味はすばらしく、病み付きになる可能性大。 鮮度が落ちるのが早く市場では活け、もしくは活け締めをよしとする。野締めは安い。 夏の魚というイメージがある。旬は初夏から秋にかけて。関東での「わたり(画像下 婚姻色のでたもの)」も悪くない。 ◆食べてみる◆ 関東で獲れるものは、なんといっても晩春、夏から秋がうまい。晩秋から冬にかけては産卵期にあたり身がやや柔らかい。意外に鮮度が落ちやすいので刺身にするならしっかり締めたものか、出来れば活魚。 夏なら活けのものを薄造りに、これが最高の味わい。 また美しい白身は椀ものに使ったり、潮汁が透明なさらっとした脂を浮かせて、上品な逸品になる。 しょうゆとの相性がいいので、しょうゆダレを塗ながら焼く、木の芽焼き、唐揚げもうまい。 ●参考/『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『たべもの起源事典』(岡田哲 東京堂出版)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社) ●寿司に関しては寿司図鑑へ! ●東京でのアイナメの評価などは東京のさかなへ ●本サイトの無断転載、使用を禁止する |
|||||||
|
|||||||