第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
百十巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
ぼうずコンニャクと庶民的寿司屋「市場寿司 たか」が目指すは千かんの寿司。

どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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縞河豚/シマフグ 2008年1月14日 542
 フグの中でももっとも派手であるのがシマフグだ。例えば築地などにあってもすぐに「シマフグだ」と目をひかれる。ただしこの派手さが安っぽく見えるせいだろう、フグにしては“お安い”。「トラフグは無理でもシマフグなら買えそうだ」という二番落ちくらいの存在と思った方がいい。「トラフグと比べると水っぽいね」という大方の評価があって、活けを買い込み、毒の除去をフグ調理師である八王子綜合卸売協同組合『マル幸』のクマゴロウにお願いして、ひと晩ねかせる。これを『市場寿司 たか』で握ってもらったのだ。「やっぱりトラフグの方がいいね。これもいいけど旨さが違うよ」。たかさんと、ちょうど来店していた友人の弁。ボクは値段ほどにはトラフグとの差はないように思える。やや薄切りにしてもシコっとした食感があるし、噛みしめると旨味が充分感じられる。懐具合を考えるとシマフグに賛成票を一票!
市場魚貝類図鑑のシマフグへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
藜蝦/アカザエビ 2008年1月20日 543
 早朝、沼津魚市場で駿河湾の底曳きであがった魚貝類を見る。見事なアカザエビを見つけて、佐政水産の青木修一さんに競り落としてもらい東名高速を飛ばして八王子にたどり着く。時刻はちょうど昼客がカウンターをうめようとする正午前。店の前で、まだ生きのいいアカザエビの硬い殻を慌ただしく剥く。そしてお客の合間を縫って2かん握ってもらったのがこれ。たかさんも一かんだけ口に放り込んで味見をしている。「もったいねーな」。「どうして?」。「こんなうまいもん、ゆっくり食いてーよ」。ボクの方はカウンターに座ればこっちのもので、じっくり二かんを吟味する。というかうますぎて吟味できなかった。甘いのである、口に含んだ途端に。そして濃厚なエビの旨味があって、「たかさん、うまいねー。口の中で爆発してるよ」。「イセエビもそうだけど、オレは生のエビはダメだったんだよ。でもこりゃうまいわ」。翌日念をおして蒸したアカザエビも持ち込んだのだけど、「あの素晴らしい味」には及ばない。「また食いてーな。生のアカザエビ」。
市場魚貝類図鑑のアカザエビへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
浜笛吹/ハマフエフキ 2008年2月8日 544
 市場で見かけて、無難な魚というのがある。当たりはずれがない、とにかくある程度いつもうまいというもの。そのひとつがハマフエフキである。見た目もいいし、卸してみると美しい白身。これを持ち込んだら、「銀皮がいいね」とたかさんが呟く。たかさんが「銀皮」というのはウロコの下の薄い皮膜のこと。これが正しい言い方なのか不明だが、この薄皮の輝きが美しい。当然握りにしても、きれいなわけで、ボクなど食べても「うまい、うまい」と単純極まりないことしか言えそうにない。「ただね。寿司屋としては“ふえふきだい”と言っても通じないね。甘味があるし、ほどよい硬さで寿司飯との相性もいいし、いうことないんだけどね。『へい、フエフキの握りいっちょあがり』といっても誰もわからないね」。ということで、「どうせ売れないなら、たっぷりハマフエフキの握りを楽しもう。残ったら家に持って帰る」。ちょっと最後につけ加えたいのは、江戸前握りの種として、この魚は非常に優秀なのである。しかも温暖化にともなって入荷が増えてくる。当然、これからもっと値段は上がるぞ!
市場魚貝類図鑑のハマフエフキへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
白点甲烏賊/ハクテンコウイカ 2008年2月10日 545
 深いところの魚貝類をとる漁業・漁業基地というのは、生き物が好きならまことに魅力的だ。めったに見られない珍しい生き物に出合える。また港に来ないと手に入れることの出来ない珍しい生き物を“食べる”なんてのも楽しい。ハクテンコウイカも深海にいるもので深海底引き網だけに上がるもの。たぶん、この国ではあまり“食べる”機会がないはず。だいたいボクにしても沼津で初めて見て、実際に手に入れるのに2年もかかった。喜び勇んで『市場寿司 たか』に持ち込むと、こちらの興奮に「わけがわからん」とたかさんが笑う。「点々があるだけで、見た目は普通の“すみいか(コウイカ)”じゃないの」。そしてネタに切り付けて、握りに仕立てて、「うまくもなんともない。味が薄い」と捨てぜりふと吐く。残念ながら本当に味が薄く、シコっとした歯触りもない。ハクテンコウイカの旬を外れた時期なんだろうか? 季節をずらしながら食べるのが、以後の課題。
市場魚貝類図鑑のハクテンコウイカへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
縞海雀/シマウミスズメ 2008年2月24日 546
 ハコフグの仲間は当たり前だが箱形に体表が硬く、まさか中に透明感のある美しい身が詰まっているなんて思えないようだ。最近では築地にも登場しているハコフグはもとより、やや小型のウミスズメ、シマウミスズメだって、中にはお宝の白身がある。ただし、これを取り出すのが至難の業なのだ。きっと、たかさんにお願いすると文句が出るだろうと、がんばって小箱の中身をとりだし、さっそく『市場寿司 たか』に持ち込む。たかさんを前に「さて、この魚はなんでしょうね」。聞いても答えが出るわけもないが、「フグかな?」というところまで辿り着いたところが偉い。うまく取り出せなくて切れ切れになったのを2かんの握りに仕立てていただき、さっそくパクリとやる。「うん、うまいことはうまいかな」。これはお世辞ですね。あえて言うと、よく噛みしめると味があるというか、旨味はあまり感じられない。「答えはシマウミスズメ」といってもポカンとしているたかさんに「また明日!」。
市場魚貝類図鑑のシマウミスズメへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」



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