第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
百七巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
ぼうずコンニャクと庶民的寿司屋「市場寿司 たか」が目指すは千かんの寿司。

どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。●魚の生食に関しては寄生虫などの危険をともないます。食べるときには自己責任にて
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大溝貝/オオミゾガイ 2007年9月9日 527
 世に知られていなくて、まことにお安くて、まことにまことにうまいというものがある。この少数派であることのうれしさはなかなか表現のしようのないものだけど、やっぱりついつい話したくなってしまう。と、その最たるものがオオミゾガイである。食用二枚貝の多くはハマグリやアサリなどのマルスダレガイ科であったり、またアカガイのフネガイ科であったりするが、オオミゾガイはユキノアシタガイという貝の専門家などしか知らない科に属している。そしてこの科の唯一の食用貝でもある。またオオミゾガイを対象とする漁はなくて、あくまでも「ほっきがい(ウバガイ)」をとるときに混ざるものでしかない。まあ脇役の脇役ですな。だから決して市場への入荷は多くなく、やや珍しい。そして密やかに言うと「うまい」のだ。たかさんが貝を剥き、開いて青柳(バカガイ)のように茹でる。これをたっぷり握ってくれる。だいたい、寿司職人のたかさん自体がオオミゾガイファンである。その甘味と食感のよさが寿司飯と混ざり合って、「うまいなー」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
琉球鎧鰺/リュウキュウヨロイアジ 2007年11月8日 528
 分類学の専門家とケータイで話しているときに、アジ科ヨロイアジ属というやや平べったい体形のアジについての話になって「リュウキュウヨロイアジは〈琉球〉がつくけど意外に相模湾なんかにもいて、逆にただのヨロイアジはあまり北では見られず沖縄周辺くらいまでの熱帯にしかいませんね」という結論にいたった。すなわちこの魚の頭についた〈琉球〉がとても紛らわしい。だいたい昨年の暮れから新春にかけてよく相模湾であがっていたのだ。それをなんども『市場寿司 たか』に持ち込んでいたっけ。今回のは鹿児島県南さつま市笠沙のもの銀色に輝いて非常に美しい。その昔はカイワリと間違ったたかさんもやっと本種を憶えたようで「いかめしい名前の可愛らしいアジね」と4、5かん。やはりこれは絶品である。マアジよりもクセがない。それがマイナス点であるが端的に旨い。この素直な旨味に微かな甘味が感じられるのは明らかに脂からくるもの。たかさんも絶賛して、1本を食べてしまった。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
コツノキンセンモドキ 2007年11月13日 529
 どちらかというと博物館などの標本としてお目にかかるのがコツノキンセンガニである。甲羅の長さも10センチほどにしかならず、足が極端に細いので食用にされることはまずない。でも沼津魚市場に水揚げにくる漁師さんによると、みそ汁にしたらうまい、らしい。と言うことでこまめにせせりとって食べてみると甘味があってうまいのだ。ついでに軍艦巻きにしていただく。たかさん曰く、ちょっと面倒くさいな、と嘆くほどに3匹からとれたのはほんの僅か。ミソが混ざってやや水分が多いために軍艦の海苔が湿っていくのを大急ぎで食べてみる。まず「うまいね」と反応したのはたかさんである。たかさんは大のカニ好き。それが「渡り(ガザミ)以上だね」と言うのだから驚く。でもそれは過度な評価と言えそうだ。確かに味は濃いし、その割には口に嫌なものが残らない。上品でもある。でもやはり身の少なさはもの足りないものを感じる。ボクが王様ならコツノキンセンモドキを百匹買い求め、家来に茹で、せせり出させて丼で食う。また軍艦にするならたっぷりと山盛りがいい。あり得ないけどね。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ヤマトイトヒキサギ 2007年11月14日 530
 鹿児島県の東シナ海に面した笠沙は関東に住む身には遙かに遠い。なんとかして一度魚を見に行きたいけど果たせないでいる。その焦燥感を和らげてくれるのが当地でお魚の宅配業もしている漁師の若潮君である。ここから魚が届くと箱を開けるときいつも心ときめくのだ。その若潮便に紛れていたのがヤマトイトヒキサギである。この魚、新種として発表されたのが2002年だからお目にかかること自体難しいものである。この珍しい魚、珍しいだけじゃない、うまそうなのだ。同属のクロサギは関東の市場でも見かけるが、やや薄汚れた外見でうまそうに思えない。そこへいくとこっちはギンギラギンに輝いている。これを下ろした寿司職人のたかさんが驚いたほどに身も美しい。そして握りにしたら、これまた結構な味であったのだ。「白身で上品なのに旨味が舌に残るね。そして適度に消えてしまう。寿司飯にも合うし、これはいいね」、たかさん続けて「これたくさんとれるの」と聞いてきた。残念ながら「珍しいものなんだよ」ね。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
沖細魚/オキザヨリ 2008年11月16日 531
 市場ではほとんど見ないのがダツの仲間だ。関東の市場で希に見ることもあるけれど、その総てが標準和名のダツであって、もしも関東で単純に「だつ」というとこれになる。それよりも大型で南方系なのがオキザヨリ。「サヨリ」とはあるが1メートルを超える外見はとてもそんな華奢なものではない。その鋭い歯、見開いた目に、間違って手を傷つけてしまったボクなど、改めて「おそろしーな」と思わされる。その傷ついた右手人差し指にバンドエイドをして『市場寿司 たか』へ。たかさん、この憎きオキザヨリの頭を落とす。さすがに危険部位から除去するなどプロだな。それからが大変。上身にして骨を抜き取ろうとするが難しい。なんどか試行錯誤して背鰭前の身をやっとネタに切り付ける。「まあうまそうには思えないね」と言いながら、たかさんが口に放り込むと、「あれ、意外にうまいね」。「そうだね」。やはり脂がのっているとは言いかねるが、身に微かに酸味を帯びた旨さがあるのだ。ひょっとしたらオキザヨリの旬は寒いこれからなのかも知れない。
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