寿司図鑑 千 目次へ!
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赤羽太/アカハタ 2007年9月9日 522
アカハタと言ったら中華材料でしょうという人が多い。これはハタの仲間では小型であり、やや値段が安めであるためと思われる。また市場にくるものが伊豆七島とか小笠原、九州などと遠く、鮮度が悪いことにもよる。でもこの魚、鮮度さえよければ刺身にしても味はいいのだ。そんな珍しく鮮度のいいアカハタを見つけて『市場寿司 たか』に持ち込む。たかさん、アカハタの名は知っているが卸すのも食べるのも始めてであるようだ。卸している最中も握るときも無言。なんら琴線に触れることなしといった面もちだ。ところが一切れ、口に放り込んだとき。「うまいな」という言葉がこぼれてきた。そして自分の分も握って、「味に旨味があるね。脂があるんだか甘いし。値段は?」「キロ2300円だよ」「やっぱり値はいいね」。アカハタの握りはやや硬めの身からジワリと旨味が染み出してくる。上品な白身で生臭み皆無、すんなりすし飯と馴染んでもくれる。たかさんともどもボクも「うまいね!」と一言。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
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海葡萄/クビレヅタ 2007年9月16日 523
最近では珍しくなくなってきたが、この海藻意外に新しい食材ではないかと思う。それがどんどん普及してきたには沖縄での養殖の発展が原因だろう。これを『市場寿司 たか』に持ち込む。きっと「こんなもの握れるかい」と一悶着するだろうと思っていたのがあっさりと「あいよ、2かん」と瞬く間に出てきた。これが握りとして美しいし、うまいのである。クビレズタには適度に塩味があり、海藻の風味も十二分にある。これがすし飯と相まってとても優れた一かんとなっている。たかさんも「うまいね。これでもっと握りやすかったら使ってもいいだろうな」と言うくらいだからにぎり寿司としても合格点だ。そう言えば「うみぶどう」クビレヅタも関東にあっては新しい食材なのだ。だからきっと本種を握りに使う寿司屋もまずないだろう。うまいのだからその内、寿司種としても定着するかも知れない。今なら嚆矢となれる。
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サツオミシマ 2007年9月29日 524
本州では珍しい魚にサツオミシマというのがある。九州では比較的普通に見られるようだが、それでもやっぱり珍しい。ミシマオコゼというとしっかりした身質で薄造りにして美味、とばかり思っていたら、まるでアンコウのようにぶにょぶにょ。刺身で食べてみると、淡白すぎて旨味が感じられない。これを『市場寿司 たか』に持ち込んで、敢えて、たかさんの飯能を楽しむ。「なんじゃ、コレ。これアンコウとか、あの山陰で“ばばあ”とかいうやつかな。噛むと味がなくもないけど。変な味」。そう言えば『寿司図鑑』でうまいと思うのは3つに1つくらい。そしてまずいと思うのは10に1つくらいだろう。その1つに入るかな。でも30にひとつは食べると不快というのもあり、サツオミシマは決して恐くないぞ!
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オオコシオリエビ 2007年10月10日 525
まさか? 本当に? ビックリしたなー、と言うのがオオコシオリエビ。これ、底引き網では漁師さんのみそ汁材料となる。まとまったときには市場にも出荷するが、ほとんどは雑魚あつかい。これをまさか握りにするなんて思いついた人はボクだけだろう。まずは塩ゆでしたのを持ち込んで試食したら、たかさんが「うまい」といくつも食べ始め、とまらなくなったのだ。このままでは寿司にする前になくなってしまうと、握りを2かん。たかさんにも食べてもらって、二人して感激したのだ。うまいねー。身が少なく、なかなか握りにまで仕立てられそうな個体が見つからないのが難点であるが、身に甘味がある上にほどよく繊維質で口の中で旨味を伴いほどける。「腰が曲がるほどに長生き」できそうだから、オオコシオリエビの握りをもう5かんといく。
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ミナミヒメジ 2007年10月28日 526
標準和名のヒメジの刺身は意外や意外うまいのだ。とすると同じヒメジ属の魚はみなうまいんじゃないかな? 鹿児島県南さつま市笠沙の若潮さんからミナミヒメジが送られてきてしめしめと思った。これは、たかさんも同様で、慌ただしく1匹で2かんの握りを作る。これがアレレっと言う味わいだった。「血合いの色も良くないしなー。そんなにうまくないね。生は無理だね」というたかさんの評価がずばり当たりでしょう。残念ながら旬ではないのかも知れない、こんなとき関東では珍しい魚を評価するのは難しい。若潮さんは宅配の魚屋を始めようとしているらしい。それでは次回は真冬にでも取り寄せてみよう。
●市場魚貝類図鑑のミナミヒメジへ
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