第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
九十一巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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蝦夷布目浅利/エゾヌノメアサリ 2006年12月6日 451
「なんだ、これ剥けないよ」。たかさん、さっきから北海道産のエゾヌノメアサリと格闘している。「えい、割っちまえ」。こじ開けるのを諦めて貝殻を貝剥きでたたく。その割れた破片の分厚いこと。その割に中身は少ない。「これは青柳とおんなしかい」。軽く茹でるのか? と聞くので生で食べてみる。味がないので、茹でる。そして握りに。ぱくりとやるが、うまいとは思えない。茹でたのに甘味も旨味も浮き上がってこない。だいたい貝独特のクセというか渋みがなく、その上、うまみにがないのは重大な欠点である。「これは骨折り損のくたびれもうけな貝だな」。「これ北海道の人は食べてるのかね」。知りません。でも混ざってでも中央市場を通してくるんだから「食べてるってことかな」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
胡瓜魚/キュウリウオ 2006年12月19日 452
 今回のキュウリウオは最果ての地、北海道紋別からのもの。非常に大型で鮮度も良い。届いたばかりの、生きのいいところを握りにしてみるべく「市場寿司」へクルマを走らせる。その姿にたかさん「トレビアーン」と言った。どうしたの今日は? なんだか浮かれているのは昨日(日曜日)たっぷり孫と遊んだからだろう。間髪入れずに卸して、まず刺身を口に放り込む。またまた「トレビアーン」。ボクも一切れ。醤油もつけていないのにキュウリのような清涼感のある香り、そして微かな渋みをもったうまさが鋭角的にくる。そして握りだが、この渋みと香りが素晴らしいハーモニーとなって見事としか言いようがない一かんとなった。「やっぱ、握りのネタは、個性がなきゃだめだね。青柳だってそうだろ。香りというか渋みだな。おれが紋別の寿司職人なら毎日ネタに使うね」。本当に後をひく味わいである。しかもその味わいに嫌みがない。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」。北海道紋別市「まるとみ 渡辺水産」から
側拉/カワビシャ 2006年12月20日 453
 たかさんがホワイトボードに本日の特ネタを書いている。「だから他の名前はないのか? って聞いてるだろ。目光も本名じゃないだろ。もっとわかりやすい名前さ」。カワビシャがあまりに意味をなさない言葉なのでネタとしてお客に「わからないだろう」と困っているのだ。「本当にこれ大きい割にちょっとしかネタがとれないし、めんどくさい魚だな」。さっきまでうまいうまいって食べていたのに。これは静岡県沼津魚市場、まるで魚類学者のような仲買青木修一さんから送られてきたもの。青木さんが送ってくるのは飛びきりの魚ばかり。時間をもどして握りを食べているときのたかさんに戻る。「脂かな、身がしっとりしてるね。甘味があるね。それに魚としてうまい」。身質が絹のように繊維質でなめらか、そのわりに旨味があるのだ。これはツボダイなどカワビシャ科の魚特有のもの。改めて思うのはカワビシャ科の魚総てがうまいという事実だ。たかさんはまだ、カワビシャという呼び名に得心がいかないようだ。もっとわかりやすい地方名はないものだろうか?
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
竹の子つぶ/ネジヌキバイ 2006年12月21日 454
「ネジヌキだって? 同じじゃない」。右手にネジヌキ、左手にネジボラを持ってたかさんが不愉快そうに呟く。そのはずであって2種類は一般にはまったく分けて扱われない。ともに北海道では「たけのこつぶ」なのである。そして煮ても、刺身にして食べてみても「かわらないじゃないか」と言うことなのだ。でも「図鑑だからね」と足は生でワタを茹でてネタを揃える。たかさん考えた末に「軍艦は嫌いだけどね」といって、久方ぶりに遊びの入った2かんとなった。「だってさ、刺身はうまいよ。でも平凡だろ。一気にワタと足とを食べてみなってことよ」。ワタの味わいは甘味があり、当然旨味もたっぷり、ここにあっさりと適度な渋みのある足が組み合わさると和音となって溶け合うのだ。すし飯の存在感もいいな。「こんなの二度とやりたくないけど、うまいね。これはオレの腕がいいせいだ。ハハハ」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ホウズキ 2006年12月23日 455
 植物と動物が名を同じくすることは多いのである。アカザは草の名、ゴンズイは植物では灌木(背の低い木)の名、ヒイラギもそうである。そして赤い魚のホウズキは赤い実をつけるホオズキと同じである。「赤い」ということで酸漿になぞらえたのだろうか? 見た目はアコウダイそっくり、やや小振りであまりまとまってとれない。だいたい産地でもアコウダイとホウズキを区別しないでときには「アコウダイの子」なんて言われる。そして味わいだけれど「前にね、メバル(ウスメバル)やったよね。カサゴやアコウダイよりそっちに似てるね」とはたかさんの評価。充分うまいのだけれど白身で上品すぎて個性がない。「でも握りとしてはいいと思うね」とは握り寿司は決して単体では味わうことがないからだ。そして何かんものホウズキをなんども口に放り込んで思うに江戸の昔に白身魚の寿司が本来なかったのは「寿司は魚の風味渋みクセを味わうもの」なのであるということ。でもでもホウズキはまごうことなく握りにして「うまい」。違いないぞ!
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」


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