第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
八十九巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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平塚魚市場 2006年11月26日 別巻
 このページは総て平塚魚市場に並んだ魚を使った握りを取り上げる。相模湾の真ん中あたり相模川河口にある小さな地方市場である。目前に平塚港があり自前の魚、また近隣の港に揚がった相模湾の魚が集まる。平塚港での定置網、刺し網、大磯での釣り、横須賀市佐島の定置などであがった魚たちである。水揚げされた魚たちは朝4時過ぎには市場に並び、競りにかけられ、昼過ぎには店頭に並ぶ。このページの魚も平塚魚市場で相模原「デイトレード」により競り落とされ、国道を飛ばして午前中に握りに仕立てたものばかり。陸送された魚より一日以上早い到着となり、その身質の驚異的な活け加減。また三多摩地区では通常とても刺身に出来ないものも、まるで産地港でもあるかのごとく生で食用とできた。今回は別に高級魚というものではなく、雑魚に近いものを中心に取り上げている。だから平塚魚市場の片鱗のみを見せているのだということを了承して読んで欲しい。
鯔/ボラ 2006年11月26日 441
 平塚の刺し網漁師、日海丸さんは秋から初冬にかけてボラを狙っている。この時期、ボラは産卵期にあたり唐墨の材料となる卵巣を大きく膨らませている。ボラの旬はこの産卵期を終わり、真冬になってから。少々早いと思われるし、貴重な卵巣が得られても身の方はやせてしまって見る影もないに違いない。そんなことを考えていると、たかさんはボラを三枚に卸している。腹を開いた途端にゴロンと卵巣が飛び出してきた。クリームイエローの大きな卵である。「血合いの色はダメだな。強すぎる」、そして一片を口に入れて、「あれ、これはうまいよ。まったくクセがないし。ネタとしても使える」。握られた寿司も血合いは深紅だが美しいではないか! 早朝に水揚げされたボラは9時半の時点でまだ4時間ほどしかたっていない。食が強くシコっとする。噛みしめるとそこから旨味がジワリと滲み出してくる。「たかさん、ほんの微かだけどボラ独特の風味があるね。でもいやじゃない」。昔から祝儀にも使われたのがボラという魚、東京湾では養殖も行われ高級魚のひとつであったのだ。まずいわけがない。
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まんだら/マルソウダガツオ 2006年11月27日 442
 ヒラソウダは刺身、マルは煮付けというのが産地でのやり方。2種はタッチ(双子)のように似ているし、味もそっくり。マルの方が血合いが多いかなとも感じるが、違いを感じるのは脂の多さではないか? ヒラにはこの時期、ベッタリと脂がはりついている。マルも「脂がのってきているよ」とはいうものの「比べるとね」。また「マルソウダはあたるよ」とジンマシンで苦しんだという釣り師が登場する。それに続いて「あたったことがある」人が数人。と言うことはヒスチジンの多さから生は当日だけとすべきか? それでは寿司ネタとして特種なものとなる。今日早朝に揚がったばかり、今なら刺身でもいいだろう。考えた末に皮目を強く焼き、軽く醤油洗いをする。たかさんに、まずそのまま食べてもらって「これはうまいね」。握りも絶品だ。やはりこの時期、マルソウダも脂がのっている。それが身をトロっとさせていて甘い。そこに皮下にある旨味。すし飯との相性もいいぞ。特ネタとしてお客にも楽しんでもらいたい、と思い。二人して思案する。「マルソウダじゃ味気ないな。まんだらにしようか? 相模湾じゃ“まんだら”っていうの」。と言うことで「市場寿司 たか」のボードには“まんだら”と書いた。
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銀鏡/ギンカガミ 2006年12月2日 443
 渡した途端に「なんだこれ」と予想通りの表情を見せてくれた。「たかさん、可愛いでしょ」、「可愛くはないけど変な魚だな。ペラペラ。まさかこれを握れっての」。体長13センチほどだからギンカガミとしても小振り。ときどき入荷してくる干物だと20センチくらいあるから、まだ子供だろう。そして苦労して出来たのが一匹で2かん。2匹いるので合計4かんである。たかさん、不機嫌そうに食べて「まあいける方だろ、味はアジに似ているな」。確かにギンカガミはアジに近い種なので「やるな、たかさん」とほめておく。「でも旨味も、脂もないな。うまくない」。そのとおり、これにつけ加えるところはあまりない。あえて言うと旨味はアジに劣るということ。マアジだと大小関わらず特有の旨味を持っている。ところがこちらは小振りのせいか、まったく個性を感じない。「相模湾じゃあ珍しい魚なんだよ」、「じゃあ博物館にでも寄贈しましょうよ」とたかさんわめく。
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平鱸/ヒラスズキ 2006年12月3日 444
 寿司職人の渡邊隆之さんはスズキが好きなのである。これは珍しい部類だ。職人でも「スズキは握らない」という人も多く、好んで使う人はまずいないだろう。なぜスズキが好きなのかというと「身に少しクセがあるだろ。これが寿司ネタとしての個性。前に言ったことがあると思うけど、青柳でもこはだでも個性があるから寿司ネタとして優秀なんだ」。ということで同じスズキ科スズキ属のヒラスズキは個性、クセのなさから「スズキほどには好きじゃない」と言うことになる。「だけど白身としてはいいよね。メダイよりも身はしっかりしているし透明感があるし」。今回のものは平塚の定置網に入ったもの。鮮度はいいものの型が小さい。それでも旨味は充分に感じられるし、身がしっとりしているのは脂があるということ。「あとね。どうしてヒラスズキって高いんだろうね。スズキの倍だろ。あれが気にくわないの」。やっぱり、プロはそうなる。白身魚としては絶品。でもついついスズキと比べてしまうわけだ。
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近目金時/チカメキントキ 2006年12月5日 445
 キントキダイの仲間は美人揃い。味より、姿色合い美しく見事である。仲でもチカメキントキは美人と言うよりは市川團十郎を思わせる「荒事」の武者であるかのごとく。これも目を惹く美しさ。相模湾では「影清」というがまさに團十郎の歌舞伎十八番そのもの。市場で見つけるとこの目を惹く外見からついつい「手が出ちゃうだよね」と言うのはたかさん。平塚で揚がったばかりのチカメキントキを前にして喜んだ。手のひらほどのサイズで面倒くさがって嫌かと思ったら「これぐらいのサイズでもうまいと思うよ」と上機嫌である。そして口に放り込んで、ボクの方がもっともっと上機嫌になっている。脂があるわけでもないよね。でも微かに甘味がある。それに身がしっとりしてるよね。「だからさ、大トロは食べても2、3かんだろ。こっちはいくらでも食えると思うよ」。寿司としてほどよいうまさだと言うことか。うまいな!
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