第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
八十七巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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擬麻/ギマ 2006年11月6日 431
「まあ、とぼけた顔だこと」、小津安二郎の映画だと、こんなせりふが飛び出しそうな、そんな様子の魚なのだギマは。見た目から「擬馬」だろうと思っていたら「擬麻」という綿糸を麻に似せた布に、この魚のウロコの手触りがそっくりなところから来ているのだという。この麻のようにしっかりした皮を剥くのが煩わしい。主に定置網や巻き網に紛れ込み、さんざん漁師さんなどをそのデカイ棘で悩ませ、そのくせ食べように身は少ない。これを「煮つけにするとうまいよ」とは沼津の巻き網漁師さん。「また刺身も味は悪くはないね」という人もいる。いずれにしろこのんで食用とする地域は少ないようである。これを気に入ったのが、たかさん。2,3かん握ってすぐに「いける」と一声。「フグの仲間? おかしいなフグにもカワハギにも似ていない。どっちかというとスズキかな。スズキよりも食感はいい」。「でも旨味がないよね」、「うん、まあ握りとして1つこんなものがあっていいんだ。特徴のないのがね」。外見の不思議さからすると味わいはいかにも平凡すぎる。しかも卸すのが「大変なんだから!」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」 参考文献/『新釈魚名考』(栄川省造 青銅企画出版)
白川/シロアマダイ 2006年11月8日 432
 沼津魚市場で出合ったとき、一瞬それがシロアマダイには見えなかった。淡い朱色のまでは何度も見ているが、それはもっと赤い。考えてみると「白甘鯛」という名の「白」は遠路運ばれて日にちのたったものからつけた。本来、生きているときには赤い魚なのだ。その日港に揚がったシロアマダイがたった2匹、しかも小振りである。でもこの魚、小降りだから手が出るのだ。水揚げ地の沼津でも大きいと1万円(キロあたり)近くする。すると仲買でも1万円を超えてしまって、築地などに行くといかなる値になるのか想像を超えそうだ。それを「市場寿司 たか」に持ち込んで5、6かん握ってから「そう言えばこれ(赤)アマダイだっけ」とたかさんが聞いてくる。「白川(シロアマダイの市場での呼び名)だけどね」。「あれ、白くないね」。卸した皮を見ながら驚いている。「初め古い売れ残りのアマダイかと思った。でも卸してみると身もしっかりしてるし。味もいいね。最初うまくないな、と思ったら後から旨味がくる」。「うまさが春の小川のようにくるね」、「ああサラサラくるよね」。それで後々までアマダイ特有の風味がある。「うまいね」。
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小槍烏賊煮つけ/ヤリイカ 2006年11月10日 433
 イカは生よりも「煮いか」にした方が好きだ。それでこのところ「煮いか」作りの修業に励んでいる。これがなかなか難しい。春から夏へはスルメイカ、そして秋深で小ヤリイカを煮てみた。まず鍋に水と酒を煮立てて砂糖を加える。そこにほんの少しの塩、そして醤油を加えてもう一度煮汁がふっとうしたところに皮を剥いたヤリイカの胴をひとつづつ入れる。入れて胴に差し入れた菜箸で回転させながら十数秒。これをざるに上げてできあがり。まるで茹でただけのようだが、食べてみると明らかに甘味が増している、そして微かな醤油や酒の風味。これをたかさんに握ってもらって、「(煮るの)うまくなったな」。これならネタで使えると太鼓判がおされた。「ヤリイカの繊細な味わいが生きているし、それでいて生よりもぐっと旨味が増している。ツメを塗るか、そのままでいくか好みの問題だな」。ボクはたかさん自家製のツメを塗って旬の小槍をしみじみ堪能した。「うまいな!」。
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すまがつお/スマ 2006年11月11日 434
 秋になって俄然うまくなるもの。それはサバ科の魚たちである。サバは当然だし、ソウダガツオにハガツオ、そしてスマ。このスマがなかなか手に入らない。ハガツオなどと比べてまとまってとれないためだろう。ほとんど流通にはのらないのだ。それではまずいのかというとまったく真逆の「うますぎる」魚なのである。どうもほとんどのスマは漁師さんのおかずになっているのではないかと想像する。これを相模原市場の「デイトレード」という不思議な名の魚屋で見つけた。この店、仕入れが相模湾平塚なのだという。相模湾産、鮮度抜群、しかも1キロ以上あるのを「市場寿司 たか」に運び込む。「ソウダじゃないね」、とたかさん、とりあえず刺身で食べてみる。腹側の身に真っ白に脂がへばりついている。「うまいね。身に『うまいね』の素があるんだね」。さっそく握りに仕立てて「こ〜りゃカツオに負けないね。いい味だ。しかも鮮度がいいのかシコっとしてる」。ボクは何も言わないで、ただただスマの味わいを楽しんでいる。「言うことなし」の味わいだと言うことですな。
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月日貝/ツキヒガイ 11月14日 435
 ツキヒガイは比較的浅い砂地に棲息している。それで浅い場所を曳くトロール船にからからと揚がり、まあ食べられる貝ではあるし、見た目はいいしで、まとまれば全国の流通網にものる。そして産地不明ながら八王子の市場まで来たのである。そして、「これはないだろ」、たかさんが薄っぺらな貝殻から身を取りだしている。それで不機嫌そうにブツブツと不満を垂れ流しているのだ。「こんな大きな貝殻でこれだけかよ」、ボールにたまった身やワタから貝柱を選り分けて、掌の上に小山が出来ている。「まあ一かん一個づけかな」。と言うので3、4かんも握って、またまたたかさんが怒る。「うまくない。味がない。食感も悪い」。「でもさ、この前、茹でたのは悪くはなかったでしょ」。「そうだけど身がもの凄く縮んだだろ。あれじゃみば(見栄え)悪い」。それでは次回は煮てみますか?
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