第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
八十五巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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潮騒河豚/ショウサイフグ 2006年10月14日 421
 関東では人気の釣りの対象魚である。千葉県大原町に始まり最近は東京湾でも「フグ釣り」でも盛んになっている。その割に市場での評価はぱっとしない。あくまで3流の誉れしかない。なぜならばお江戸でのショウサイフグは「安ふぐ」としての代名詞なのであって「庶民の味わい」であるからだ。じゃあ「庶民の味わい」が二流なのかというとあにはからんや絶対に一流なのである。鍋にしても刺身でもタレで焼いてもたまらんうまさである。これを握りにしても「うまいな、コレ」とたかさんを唸らせる。握りにして3、4滴スダチを落として今回はモンゴルの岩塩でいく。ショウサイの身はシコっとしている。そこに岩塩のやや複雑な塩辛さと、それをすし飯がまとめ上げてくれるがごとくである。こんななかでもショウサイの身の甘味は感じられるし旨味すらも。さて今宵はアラと残った身で「名古屋の鍋」といきますか?
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
五味海老/カノコイセエビ 2006年10月15日 422
 今回の主役カノコイセエビなどイセエビの仲間を刺身にするのは大変なのだ。それで慣れない江戸前寿司職人の渡辺隆之さんも悪戦苦闘。その挙げ句、曲がりなりにも形が整った身を食べてみるとあまりうまいとは言えない。「だめだな」とたかさんはため息をつく。「だいたい伊豆なんかの旅館でも出てくるだろ。うまいと思ったことないもん」。まさにその通りなのだ、何しろ歩留まりの悪さは魚貝類中一なんである。考えた末に塩味の熱湯で軽く振り、これを冷水にとって握りにしてみた。「うん、やっぱりこっちがいいな。甘味が出てきている」。生で食べたときと違って甘味がぐーんと強く感じる。霜柱のように見える身はすし飯と合わさっても映えがないのが残念であるが工夫次第で「どうにでもなるさ」なのだそうだ。でもイセエビの値段からして味わいに釣り合いがとれているだろうか? 「たかさん、上客がついてさ、お金は出すからって言われるとイセエビは仕入れるかな」、「まあいやいやだろうけど、やるよ。でも本当はごめんだな」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
アオリイカ(あかいか型) 2006年10月18日 423
 アオリイカは夏が旬だと思う。でもそのアオリイカに3種あって、明らかに別種であるのがわかっているときに、それぞれ入荷時期を調べてみるとズレがあるのがわかる。夏が旬だと思われるのは一般にアオリイカとして入荷の多い「しろいか型」なのであり、それに次いで入荷の多い「あかいか型」の旬は秋なのではないか? しかも産地が福島県や岩手県なのである。腕組みしてたら、たかさんが「アオリイカなんて一種類でいいだろうに」と言う。それで持ってきたイカをまな板に並べて「これアオリだと思う」、「ええ、よく見ると違うな。見た目が汚いな」、「そうなんだよ。市場でもちょっと安め」。その安めを握りにするとうまい。「夏のさ、高いアオリと比べると落ちるようだけど小さいからかも知れないな」、「甘味もあるでしょ、イカ本来の旨味も」。ほんまにうまいとしかいいようがないのである「見栄えが悪いために安値しかつかないアオリイカ」が。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
炙りかまとろ/クロマグロ 2006年10月19日 424
 ヘンリーブロスという会社があり、魚貝類の新しい流通、また提供のノウハウを探求している。その代表が江嶋力さん。彼を沼津に案内して、沼津魚の達人菊地さんに引き合わせてから「沼津の魚はめっちゃおもしろいですわ。あと双葉寿司で食べる握りのうまさ。ぼく沼津に住みたいくらいです」という有様なのである。その江嶋さんに連れて行ってもらった、その双葉寿司で江嶋さん一押しなのが「炙りかまとろ」。大型のクロマグロのカマについた脂の多い肉を強火で炙っている。あぶった表面は熱で脂が香ばしくなっている。そしてまったく生の脂の甘いこと。「ぼうずコンニャクさん、これ大トロ以上ちがいますか?」と江嶋さんの言うがごとく、まさに絶品。至味。当然、双葉寿司でも限定品であろう。食べたかったら開店してすぐにお願いしたい。
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●静岡県沼津市魚市場そば「双葉寿司」
雌貝/メカイアワビ 2006年10月22日 425
 いつも雄貝であるクロアワビと比べられて格下に見られているのが雌貝のメガイアワビなのだ。これなどまったくおかしいの一語に尽きる。だいたいクロアワビとの違いは生でコリコリ食べたときのこと。この「生」というのがアワビの最上の食べ方であるかのごとく言われているが、明らかに間違い。好みの問題だが、できれば酒蒸しにしたい。すると値段のはる雄貝よりも手頃な雌貝がだんぜん味わいでは互角、もしくは以上の存在になる。まさに美しく優しいお姉さんのようにきめ細やかに優しい、そんな味わいになるのだ。「そうだよね、たかさん」と同意を求めると「どうかな、オレは雄貝の方が好きだけどね。まあ値段からしたら雌貝だけど」。と、市場で仕入れた雌貝を持ち帰って酒と水の同割に塩、そして少しだけ醤油という地で蒸し煮にする。それを翌日まで鍋とめにして、「市場寿司 たか」へ持ち込む。これは誰が何と言っても絶品である。身は思った以上にしっとりと柔らかい。そしてジワリと甘くうまくて、遅れてくるすし飯にも絶妙に調和する。「どうだ参ったか」と自慢すると「ちょっと参った」と初老の寿司職人は笑うのだ。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」



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