第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
八十二巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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胡麻河豚/ゴマフグ 2006年8月27日 406
 夏に北海道噴火湾などでとれる大型のフグがゴマフグなのである。「これを寿司ネタにできないか」とフグ調理師達に話すと、「鮮度がいいものならなんとか出来るかも知れないが、この時期のは網もん(網でとったもの)だろう、もともと身が柔らかいからな」と否定的。まあダメで元々だからとフグ調理師に毒を除去してもらい「市場寿司 たか」に持ち込む。そして考えた末に表面を強火であぶって握りにする。まず2かんを味見。「うまいよね、たかさん」。「そうだね、思った以上に旨味が感じられるね。それにシコっとしているし」、「甘味もあるよね」。ほどほどにすし飯とも相性がよく、これは「やめられませんな」。とくに塩スダチというのもよかったな。と、たかさんなにやら感慨深げに窓の外を見ている。「どうしたの」。「いやね。フグ調(理師)とっておけばよかったな」。今からでも遅くないって。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
●今回のゴマフグはフグ調理師が毒を除去。「市場寿司 たか」では客には提供していない
シマメノウフネガイ 2006年9月2日 407
「まさかこんな貝を食べるとは!?」と驚いてくれるのはかなり貝に詳しい人だろう。まず市場でも水族館でも本種を見る機会はない。これは主にアワビや干潟にいるアカニシなどにくっついて暮らしている厄介な「異邦人」ならぬ貝。本籍はアメリカである。これが高度成長期に大型船のバラスト水などとともに運ばれて東京湾、相模湾などに移住してきたのだ。アカニシなどにくっついているととても食う気になれない。それが船橋から八王子魚市場に来ている仲買「源七」のあんちゃんが蒸したアカガイからこそげ落としているのを見ているとなんともうまそうに見えて、当然のごとく勝手に持ち帰ってきた。これを酒、しょうゆ、砂糖の地に漬け込んで「市場寿司 たか」へ。何も知らぬたかさん、さっそく握りにしてふたりでパクリ。これがなかなかいける。「うまいよなこれ、貝のうまさというか味があるし、ワタがほんのり苦い。これなんなの」というからアカニシについているのを見せた。「なんだこれ、オレにこんなもん食わしたのかよ」。まあまあ、うまかったんだから「ごめんね」は言わないよ。
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イトフエフキ 2006年9月7日 408
 世の中には目立たない存在というのがどんな分野にもあるもので、魚に関してはイトフエフキなんて最たるもんなんである。相模湾の定置網などに入っていると小振りだし明らかに雑魚でしかない。そんな外見からぜんぜん期待しないで「市場寿司 たか」に持ち込んでみた。「ちいせいな。これじゃ8かんとれるかどうかだな。歩留まりも悪そうだし」。初っぱなのこの言葉に「皮霜にして欲しい」と言いそびれてしまった。その切り身を食べてみると案の定、ぜんぜんうまくない。なにしろ身が柔らかすぎるのだ。それを握りにすると、どうなるか? 先に食べた、たかさんが首をひねっている。「ううまいな。凄いうまさじゃないけど、普通にうまい。目立たないが名優ってやつかな」。確かに軟らかくて気持ちの悪い食感であったのがすし飯の上では消えている。そのにあるのは微かだが旨味と甘味なのだ。「寿司っていうのは、これくらい地味なのがあってもいいんだよ」、たかさん〆の名言。
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アミモンガラ 2006年9月10日 409
 出合いとは難しいもんだな、とつくづく思うことがある。それはいつでも合えるからとか、また今度ね、といさぎよくあきらめたら「今度」がいつまで経っても来ないとか。魚にもそれがありアミモンガラなど最たるもの。これ港では何度も見ていて、もう少しがんばったら手に入れられるという状況になんどもなったのである。それが丸のまま手にしたのはやっと今年のことなのだ。実を言うとなんども食べているし、皮を剥かれたのは自宅で料理したことも多々ある。それをやっと手に入れて『市場寿司 たか』へ。今回は自宅で刺身とし、やや味わいが足らないと判断して昆布で少々締めてある。これは間違いなくうまい。「いいね。昆布の香り、スダチを振ったのがまた合うね」。考えてみると白身でクセのないものは、どうにでも加工できるわけで、この魚など新しい寿司ネタとしてはいつでも定番になりそうである。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
紅殻海老/ベニガラエビ 2006年9月13日 410
 このエビ、沼津のトロールではとれる量は少ないものの、決して希少な存在でもない。まあ箱などにつめるには少なく、出荷も出来ない。その上、ほどほどに大きく見栄えもいいのに、味はよくないとされているのだ。それでも実際に食べると決してまずいエビではなく、そこそこうまいじゃないか、とも思えるのだが寿司ネタとしてはどうだろう。茹でたのと生を「市場寿司 たか」へ。これがたかさんには共に不評であった。「甘くもうまくもない。これじゃすし飯に負けるよ」感想はそれだけ。でも「そこまで言うことないでしょ。じっくり味わえばほんのり甘いしうまいよ」と返すと、「寿司ネタはそんなんじゃダメなの。あのクルマエビだって茹で方を間違えればスカスカのパーなんだから。生でこんなに味がなくて、茹でてもそこそこじゃ使えないよ」。と仕方なくカウンターで酒を飲んで上機嫌のマグロ屋に食わせると、「まあつまみとしては、いいんじゃない」と言ってくれる。そして「あ、いてててて」というので見ると、殻を剥かずに口に放り込んでいる。額角(角の部分)がどこかに刺さってしまったようだ。この野人め!
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