第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十七巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
寿司図鑑 千 目次へ!
索引へ
海菊/ウミギク 2006年6月4日 381
「海菊って名前はきれいだね。貝殻から伸びているこれが菊の花びらに似てるってこと」。たかさん、握る前にウミギクの貝殻にしきりを感心している。そのまま貝殻をネタケースに飾って貝柱を2かん。出来上がった握りは見た目は小振りのホタテとなんら変わりがない。やや硬い身に甘味があり、同じく貝柱を食べるヒオウギガイよりもうまい。ついでに茹でたものも握ったが生のほうがうまい。味は上々と、たかさんに同意をもとめようとすると、また貝殻を眺めている。「どこから来たって?」、「対馬だよ。あの対馬海峡、向こうは韓国」、「そうなんだ」、「そこの磯についていたのを為田さんっていう方がとって送ってくれたの。長旅だったけど元気はつらつ、きれいな貝柱だよね」。さすがに貝の収集家が憧れるものだけあって、菊の花びらのような平べったい突起がまるで現代造形作家が作ったかのような美しさを見せている。「それでたかさん、ウミギクうまかったでしょ」、「うまいね。甘味があるし、こりっとした食感がいい。貝殻はもっといいね」。
●市場魚貝類図鑑、ウミギクのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」(ウミギクは対馬市の為田さんからいただきました)
銀鮭/ギンザケ 2006年6月7日 382
 ギンザケは春から夏にかけて三陸の養殖ものが出回る。これは明らかにチリなどからの輸入ものよりも美味。年間を通して冷凍やチルドで見慣れた寿司ネタだが、この時期できれば三陸産を食べるにしくはない。こんなことを『市場寿司 たか』で話していたら、「オレも食べたいな」と肉屋のオヤジが入ってきた。まあ、いいかと3人でじっくり味わってみて、「養殖でも臭みなんてなんだね」勝手に肉屋が感激。するすると手が伸びるが、確かにクセがない。ほんの微かに感じられるサケの風味が心地よいくらいだ。そして養殖ものならではたっぷりのった脂が、さらさらと軽い。甘味、旨味もあって「これはやめられないかも」。困ったことにおじゃま虫のはずの肉屋のオヤジ、「たかさん、あと10個、今すぐにね」と居座る気配。「早よ、仕事に戻れよ!」。
市場魚貝類図鑑、ギンザケのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
赤馬刀貝/アカマテガイ 2006年6月9日 383
 岡山県から送られてきたばかりのアカマテガイ。発砲の箱の中でまことに活きがいい。これをあっさりと酒蒸しにして『市場寿司 たか』へ持っていく。持っていきながら2つ、3つ、つまむが非常に美味である。これは倉敷市児島の沖にある高洲という浅瀬で陶芸家の武内立爾さんが送ってくれたもの。高洲では単にマテガイと呼ばれている。どうも高洲は汽水域の干潟ではなく満潮時には瀬戸内海の潮流にもまれているところ。そのためか食感がよく、また泥臭さがない。あるのは甘味と旨味と貝の風味だけ。たかさんも1つ、2つつまみながら、あらよっと出来上がり。すし飯との相性もよく、適度に貝の風味、味わいが浮き上がる。「でもね、これ握りよりも、このまま食べた方がいいんじゃないかな」とたかさん、「まあ、ただ食べてうまいから、寿司ネタにできるわけでしょ」、ぼんやり食べてないで後2かん追加。
●市場魚貝類図鑑、アカマテガイのページへ!
●倉敷市の武内立爾さんから。詳細は「からこと丸」
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
三角バラ/牛肉 2006年6月9日 別巻
 八王子綜合卸売センター『市場寿司 たか』でいると、たびたびちん入してくるのが同『河辺ハム』の店長である。まことにうまいものには目のない男で、ついでに女にも酒にも弱いんだから、こまったもんだ。たかさんとギンザケに撮影をしていると勝手に1かんつまんで、勝手に感心してうなってる。そしてぷいっと何処かへ消えてしまった。そして持ってきたのが牛肉である。「まあ、値札を見て見ろよ!」と見たくはないが見てやると「上州牛三角バラ100グラム780円」とある。これは多摩地区いち肉の値段が安いとされている八王子綜合卸売センターでの値段。「デパートじゃ1400円だな。この肩のそばの肉はあんまりとれねえんだぞ」。まあ得意げに言うのだが、寿司には大きすぎるぞと、文句を言いながらたかさん、いきなり油も引かないでテフロンフライパンでじゅーっと表面を焼く。表面の脂が溶けだしたら、間髪入れずに出てきたのがコレ。押っ取り刀で口に放り込むと、まだ肉は暖かく、脂が液状に舌にこぼれてくる。それがぱらりとほどけるすし飯と合わさって口中すんごいことになって、もうゆるして、ゆるして、と言った状態になる。そして肉自体を噛みしめると甘いし、食感もほどよいし。牛肉の握りというのは珍しくもないが、こんなにうまいのは初めてだ。「モーー、モーー、2かん」。
八王子市場案内へ ●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ハチビキ 2006年6月10日 384
 この魚、外見は見事としか言いようがない。人間界ならスーパーモデルになれる。これなら売れるだろうと思いきや、ぜんぜん人気がないのだ。外見はいいが、中身はダメなんて最悪なんだが、三枚におろした身の色合いが真っ赤なのである。サケの身の赤味に黄が混ざって、これをサーモンピンクなんて喜ぶが、人に嫌われるのが「血」の色合い。それで「血引き」と呼ぶのは直説的だ。でもこの魚を見つけて「やったー」と喜んでいるのが『市場寿司 たか』である。たかさんのコンセプトは地道に市場を歩き回って、多少難ありでもうまいものはいいのだ、というもの。ハチビキなどその最たるもの。産地は長崎県壱岐、まるまると太ったハチビキはすぐさまさばかれて三枚に。味見した刺身のうまいこと。当然、寿司も美味なわけで、「寿司ネタとしても適度に個性的な味で、これがいいんだ」と言う。確かに微かに血合いに青魚のような酸味、クセがあるのだが、これが言うなれば旨味に感じられる。そして旨味と適度な甘味、食感もほどよい。うまいなとしみじみネタを見ていると、バラ色に見えてくるから人間って不思議だな。
●市場魚貝類図鑑、ハチビキのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
砧揚巻/キヌタアゲマキ 2006年6月11日 385
 あまりとれないんだけど、うまいものはある。当然、市場などで流通することもなく産地で細々と食べられている。そんなもににキヌタアゲマキというのがある。この貝、汚染のないきれいな海にしか生きることができないようで、東京湾にもいたはずが、今ではすっかり姿を消している。それで高知や岡山県から送ってもらって、そのつど大きな足を刺身で堪能している。刺身とは言ってもトリガイのようにほんの数秒湯に落として氷水に落としたもの。これを握ってもらった。やはり、これが絶品である。なんとも言えず甘味がある。貝臭さはまったくなく。これが物足りぬところだが、素直にうまいと言えそうなネタとなった。「揚巻きっていうと助六の恋人だよね。砧に住んでいたんだね。知らなかった」、これはたかさんからいただいた天然ぼけの一言。
●市場魚貝類図鑑、キヌタアゲマキのページへ!
●倉敷市の武内立爾さんから。詳細は「からこと丸」
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」


関連コンテンツ