第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十六巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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ネズミギス 2006年5月14日 376
 世に魚通は数あれど、ネズミギスを知る人は少ないだろう。だいたい近い種類を探してもぜんぜん見あたらないのだ。面つきから「ねずみ」に似て体形はキスに似てという「のような」が重なった名となっている。これは本州では相模湾以南のやや深い場所にいる模様。まとまって獲れるものではなく一般的な食用魚とはいいかねるもの。今回のものは和歌山県湯浅のあかまんぼさんから送っていただいた。せっかくだから3枚に卸してみる。やっかいなことに小骨が多くうまくネタにできそうにない。半身は細かく骨切り、焼いて醤油ダレで味つけする。そして半身はプロの渡辺隆之さんに悩んでいただく。でもやっぱり生でネタにするというのはきれいにはいかなかった。見た目は悪いが生も含めて出来上がったものは、けっして下手ではない。たかさんも「生は味があるね。小骨さえなけりゃうまいだろう? まあ時間さえあれば全部、骨を抜けるとして、ネタになるよ。逆に焼いた方はうまくないだろ」。確かに生にはシコっとした食感があり、噛みしめると旨味が浮き上がってくる。まあまあ食えるのであるが焼いた方は意外に無個性な味わいになってしまっている。珍魚味は珍ならず、ということか。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」   和歌山県湯浅「あかまんぼ・どっと・こむ」
鬼浅利/オニアサリ 2006年5月15日 377
 本来あまり利用されることのないオニアサリだが、ときどき三河湾から入荷してくる。貝殻が厚くて歩留まりが悪い、そしてときどきピリっと刺激のある渋みともえぐみとも言えぬ物質を含む。だから『市場寿司 たか』に持ち込むと「オニアサリだけはやめようよ。前にたくさん買ってこまったよ」と開口一番。そこをなだめて貝を剥き青柳(バカガイ)同様軽く湯がく。これを握りに仕立てたら、なんだか「うまそうだな」だって。それで、たかさんひょいと口に入れて「ダメだこりゃ」と嫌な顔をしている。つづいてぱくりとやると、そんなにうまいもんじゃない。甘味に欠けるし、旨味もないよな、と思っていたら例のピリっというのがきた。このピリっはどこから来るんだろうね。ワタも取ってあるし、身だね。身にピッリがあるのだ。まあ「物は試しだから、アハハっ」と早々に退散してめーりやした。注/このぴっりとした刺激だが季節によって感じられないことがある。この見極めが難しい
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チョウセンバカマ 2006年5月17日 378
 寂しい魚だなチョウセンバカマは。港で見つけるたびにそう思う。なぜならば底引き網でもチョウセンバカマはぽつんと一匹だけ混ざるからだ。どうも深海の漆黒の中、一人っきりの孤独を楽しんでいるように思える。この魚、いつも単独でとれるせいか、うまいのに値のつかないお買い得なもののひとつ。港でこれを見つけると選別している漁師さんに「これなんという魚なんでしょうね。生まれて初めてみました」なんていうと「持って帰ってもいいよ」なんてこともある。まあ、冗談はさておいて刺身にして白身であり血合いの色がきれい。握りにしても「いいね。これなら客が喜ぶだろ」と、たかさんがほめてくれる。そして味わいもまことにただもんじゃない。しっとりとした身は思ったよりも弾力がありシコっとしている。そこからジワリと旨味が浮かんできて、微かに甘いのは脂だな。これがもっと量がまとまる魚だったらスターになれるのにねー。
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葉箒貝/ハボウキガイ 2006年5月25日 379
 ハボウキガイを知る人は少なく、食用としたことのある人はまことに希であると思う。こんなとき説明を求められたとすると「タイラギに似ていてもっと細長い貝」としか言いようがない。長さが40センチ前後にまでなり、黒く薄い貝殻の目立つものである。そんなに大きな貝なら食べられるんだろうね。どうして市場に来てないのだ、と思われるだろうけど「貝殻の割に食べられる貝柱があまりに小さい」し、「それほどうまくない」からだと答えるしかない。じっさい今回対馬から送ってもらった40センチほどの貝殻から取りだした貝柱は直径3.5センチほど、食べて甘味がなく、身の半分ほどの繊維質な部分の食感が悪い。首をひねっていたら、たかさん曰く「これはこれでいけるんじゃない。あっさりしているけど貝の磯臭さは楽しめるだろう」と言う。まあ貝柱を食べるというと、ついついタイラギやホタテと比べてしまう。古女房をキラキラの女優さんと並べてみてもいかんともしがたいということか? ごめん! ごめん!
●対馬の為田さんにいただきました。ありがとうございました。
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つくし/オニヒゲ 2006年5月28日 380
 市場をまわってめぼしいものが見つからなくて『市場寿司 たか』へお茶を飲みに立ち寄った。「今日、何もないよね」というと、たかさん「つくしって知ってるかな。あのさ昔持ってきたよね。沼津だっけ。黒くて顔の尖ったヤツ」。「黒くて顔の尖ったヤツ」、そして沼津ならトウジンに違いない。でも「つくし」とはなんぞや? さっそく仲買に走る。そこにあったのはやはりトウジン? でも頭部をさわってみるとウロコの棘がきつく変である。産地を聞いてみると「三陸」だという。これがオニヒゲだったのだ。マダラが減少して岩手県では新しい漁獲対象として注目しているとある。『市場寿司 たか』にもどると、「オレは好きだな。あっさりしていて、うまいよこれ」と2かん。確かに上品な白身で、そこそこ旨味脂がある。たかさん共々新ネタとして有望であると確信。「つくし」というのは岩手県宮古での呼び名。これは形がほんの一寸ほど顔を出したツクシん坊に似ているためだとみた。
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