第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十五巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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馬刀貝/マテガイ 2006年5月3日 371
 市場に行くと「まてがい」を見つけるのは難しいことではない。でもそれは本当にマテガイだろうか? すなわち標準和名のマテガイ、もしくは昔から東京湾で食べられていた「馬刀貝」? これが市場にくるものはことごとくマテガイではない。マテガイは来たとしても時期も限られるし、非常に希なのだ。「まてがい」と見ると山口県からのオオマテガイであったり、韓国からのアゲマキであったり。そんな珍しいマテガイが今年は大分から連続して入荷してきた。これを寿司職人の渡辺隆之さんと相談して茹でてさらりと煮て握りにした。これがうまくなかったのだ。貝自体は「身は悪くないよね。味は薄いけど。いい味なんじゃない。でも泥臭いね」と言う。どうにも泥臭いのは、もう一度泥抜きをすべきだったのか? これが木更津のマテガイならちっとも泥臭くない。たまたま泥臭いのにであったのかも知れない。身の味わいはいいのだから、これはマテガイの評価としては次回に持ち越し。
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ホウセキハタ 2006年5月5日 372
 関東で見かける小型のハタは多く、また仲卸でも扱いやすいので人気がある。そのなかで紛らわしいのがホウセキハタとオオモンハタ。ちょっと見てもわからないのをオオモンハタの尾の縁が白いので見分けていると、ホウセキハタの入荷が希なことがわかってきた。すなわち市場でときどきホウセキハタでしょう、というのもオオモンハタなのだ。そんなとき和歌山県湯浅の、あかまんぼさんから送られてきたのは正真正銘のホウセキハタ。すぐに『市場寿司 たか』へ持ち込みました。出来上がった握りは一二の三でぱくり。ホウセキハタはまだ小さく、「味わいに欠けるけど、野締めなのに歯ごたえがある。さすがにハタだね」と、たかさんに話すと、「そうだね。これ表面を少しあぶって見ようかな」とこれも2かん。するとぐっと旨味が増して「すごくうまいね」。と気が付いたら撮影するの忘れていた。残念!
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和歌山県湯浅「あかまんぼ・どっと・こむ」
ミツクリエビ 2006年5月6日 373
 北海道厚岸からは様々な小エビが入荷してくる。本種もそのひとつだ。でも「青だな」と寿司職人の渡辺隆之さんが驚くがごとく身の色合いが「うまそうな色じゃない」ので産地などで消費される他は、これだけで取り扱われることはないと思う。今回のものも厚岸から来たアムールエビジャコに混ざってきた。そこからやっと20本ほど探し出してきたのだ。これを面倒くさそうに剥きながら「軍艦しかないね」と出てきたのが2かん。それにたかさんに1かん。「こんなに手間がかかっちゃ商売にはなんないけど、うん、うまいよ。甘えびに近い味だね」と味わいから同科であるのを当てているのはさすが。このタラバエビ科のエビは甘えび(ホッコクアカエビ)といいぼたんえび(トヤマエビ)といい身の甘味が人気の理由。ミツクリエビは細長くサイズが小さいといっても味わいは上々。握りにしてもすし飯に負けぬ甘味がある。まだ5本ほど残っている。「もう1かんダメかな?」と言うと、たかさん、さっさとカンパチの切り付けにもどるのだった。
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赤矢柄/アカヤガラ 2006年5月11日 374
 赤く細長くて、奇怪な面突きの魚であるアカヤガラは。市場を歩いている若い女性がこれを見て「どうやって食べるんでしょう」と聞いてきたことがある。待ってましたと友人の魚屋が1メートル以上ありそうなアカヤガラを持ち上げて(これで2,3キロ)、「こんな珍しい魚見たことないでしょ」とまずのたまわったが、この「珍しい」というのはウソである。関東の千葉や相模湾でもとれるものだし、昔から上質な白身魚として珍重されてきている。それで、歩留まりが悪いのに値もいいのだ。主に潮汁や焼きもの、刺身で食べるが、当然、寿司ネタにもなる。寿司職人の渡辺隆之さんもすんなり2かん出してきて、自分も2かんぱくりとやる。「白身でクセがなくて、上品だけど、まあいいのはそこまで、どうしてもヤガラが食べたいって思う人はいないね。でもオレはこの手は好きだけど」。「歩留まりが悪くて儲からないから、嫌いなんじゃないの」、「まあそう言う風にも考えるな」。これだから白身は難しい。白身なのに独特の旨味がある。個性と言ってもいいだろうか、そして身の柔らかさからすし飯ともすんなり馴染む。でも「もう一歩前に」がないのだ。後は値段の問題もある。
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和歌山県湯浅「あかまんぼ・どっと・こむ」
坊主いか/ボウズイカ 2006年5月12日 375
「なんだろうな? タコだろうか? イカだろうか?」、「なんだろうね、これ?」。宮城県石巻から来た荷(箱)を前に2、3人群がって困っているらしい。「イカだよ」というと、「そお、こんなイカいるかい」、「足数えろよ、足をさ」。もー、毎年入荷してきているのに、毎年同じようなことを言っているんだから「バカだな」。これがボウズイカなんである。どう見ても小振りのタコに見える、でもエンペラはある。面白いのは取っている方でも悩んでいるのか「耳だこ」なんて呼ぶ地方もある。入荷してくるのは産卵期の初夏、東北の太平洋側からが多い。これは産卵のために群になって移動するためらしい。さて姿はタコに似ているといったが味も同様にタコに似ている。身に弾力があり、甘味と言うよりもタコ味(「タコ味」というのはタコに多いグリコーゲンからくる味わいとでも言いたいので勝手に作った、悪しからず)がある。そしてタコのようなイカの味わいだが、たかさんが自ら茹でて、「なかなかいい味じゃない」と言って、それでも「でも、それほど惹かれない」と打ち消す。甘味はイカほどになく、むしろ弾力というか食感が先に来る。そしてすし飯との相性だが今ひとつだな。次回は生か、もしくは煮てみるか?
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