第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十三巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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鶏鰍/トリカジカ 2006年4月16日 361
 魚の名に植物に由来、また同じくするものは多い。それに対して動物でも獣に例えてつけられた種名が多い中、なぜか鳥類にちなんだものがあまりないのだ。そのなかにあってずばり「鳥(とり)」とつき、しかもこれが明らかに「鶏(にわとり)」に擬せられて名付けられたのがトリカジカである。トロカジカは相模湾以南に見られる深海魚。かなりユニークな姿なので「食べたい」という気にはならない。それでも怪異な外見の下にあるのはきれいな白身。生では味わいに欠けるので酒味醂しょうゆでさらりと煮てみた。「まあ、変わった魚だというけど、味は普通じゃない」。たかさんの評価通り、煮魚としても普通であるし、寿司にしても特徴はない。ただ、白身魚をさらりと煮て、ネタに使うのは思った以上にうまい。これから煮魚握りを流行らせたい気分だね。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
テラオボタンエビ 2006年4月17日 362
 一般には「甘えび」の仲間といった方がいいのがタラバエビ科のエビたち。これには入荷量の多いホッコクアカエビ(甘えび)から高級品であるトヤマエビ(ぼたんえび)まで数々あれど、まず市場に来るなんてあり得ないのがテラオボタンエビである。これが駿河湾の底引き網に入って我が家に到来した。博物館にでも寄進しようかと考えたが、食い意地が勝ってしまった。ちなみに駿河湾にあってテラオボタンを見て種名を確認できるのは沼津の佐政水産青木修一さん一人だけである。この驚くべき魚貝類の知識の持ち主が送ってきてくれたテラオボタンは一度冷凍したもの。これを寿司職人n渡辺隆之さんと相談して茹でて握りに。甘えびほど水分が多くないので身が縮まない。食感は軟らかいけど、充分ゆでエビとして使える。そして茹でたテラオボタンが甘い。甘味とホロっとした身質、これがすし飯と合わさって「うまいね」。
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蝦夷船貝/エゾフネガイ 2006年4月18日 363
 市場で毎日のように見かけるのがエゾフネガイである。毎日見ているのに誰も気が付かない。気が付かないはずで真つぶ(エゾボラ)などにくっついて重さとなって仕入れ人に嫌な顔をされてはいるが、まさかだれもこれがうまい貝だとは思わないのだ。と言うことで、この貝の仕入れ値はタダ。厚岸産真つぶから、せっせと引っぺがして持って帰った。これを塩ゆでにして酒のつまみに、そして軽く醤油と酒で煮て『市場寿司 たか』へ持ち込んだ。持ち込んだのを一口食べてみて「うまいなコレ」と感心しているたかさん、「握りにはできねーぞ」と軍艦に仕立てる。「これは寿司ネタとして使えるね」。その通りだ。身は柔らかく、甘い。アワビの磯臭さをなくして、甘味を強めたような味わい。「どこで仕入れたの」と聞くので店を教えると、たかさん急いで店を飛び出した。「見つけられるかな?」。
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桜鱒/サクラマス 2006年4月19日 364
「春なんだな」と感じさせる魚は多い。中にあって北国の春を思わせるのがサクラマスである。当然、桜の花の咲く時期にとれるもの。この北国のマスがいかにうまいものか、関東では意外に知らぬ人が多いのにビックリする。それで「マスって、どうしてこんなに高いんだろうね」なんて声すら聞こえてくるのだ。まあ、高いと言っても値はそこそこ。「だまされたと思って買ってみな」と持ち帰って皆一様に腰が抜けるほどに驚いてくれるのだ。刺身で塩焼きで、ムニエルで、こ〜りゃたまんのである。そんなとき市場で見かけたのが活けのサクラマス。これを買い込んで『市場寿司 たか』へ持ち込む。「きれいな魚だね」なんてのんきなことを言って出してくれたのがこの2かん。すし飯の上でまだ切り付けた身が縮んでいる。これが凄い、凄い凄い。身に甘味があってトロっとしている、そして微かに感じる淡水の香り、旨味。「これは言うことなし」という、たかさんに満足げな笑みがこぼれる。「その通りだ!」。
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檜扇貝/ヒオウギガイ 2006年4月20日 365
 この美しい貝には苦い思い出がある。二十歳前、三重県を旅した折りに姉にお土産に買ったのが、この貝殻なのだ。朱、紫苑、利休鼠に見えるのもあれば、鮮やかな紫もある。これをプラステックの手提げに入れて、土産物屋の真ん中に置いてあったのだ。考えてみると馬鹿げた話で、青森に行って名物のホタテの貝殻を買うのとなんらかわりない。しかもそのとき食べた焼いたヒオウギがちっともうまくなかった。まあ焼いて、売れないまま網の隅っこにあったのを食ってうまいわけがない。実際、上火で短時間で焼き上げたヒオウギガイは非常に美味である。また貝柱は当然刺身でもうまい。「値段からすると、寿司ネタには出来ないね」と寿司職人の渡辺隆之さんは言うけれど観光地なら立派に名物となる。でも「ホタテと同じような味だしね貝殻にのせて出すといいかも」とはたかさんは続ける。今回はそんな貝柱に焼き目を入れて握りに。甘味があり、焼いた分旨味も濃くなって、うまい。外面が華やかで美人さんのヒオウギガイ。「食べてもうまいのよ!」。
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