第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
七十一巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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石持/シログチ 2006年3月25日 351
 東京湾で人気があるのが船での石持釣りである。これが非常に地味な釣り。一日、胴付き仕掛けを棚に置いてじっと待つだけ。この釣りが大好きだという人に「どうしてこんな釣りが好きなのか」聞いてみた。すると「味がいいから」だという。その御仁、冬には八丈で磯釣り、また船釣りでは銭洲、金洲と派手な釣りもするクセにぜったいに石持釣りだけはやめないのだ。その「石持」と呼ばれるのがシログチなのである。市場では主に塩焼き用の魚として取り扱われる。また鮮度的にも刺身にできるものはめったに来ないのだ。それでもやっと見つけたのが頃は桜の満開のとき。これを見て寿司職人のたかさん、意外に素直に驚いてくれて「塩焼きには使うけど、生かい」と出来上がった握り。まず最初に歓声を上げたのは握ったご本人なのだ。「食感はトロだね。でも脂のうまさもあるけど、それ以上に甘いね」。加えると微かに酸味もあるかな、全体に味わいがふっくらとまろやかである。そしてすし飯とともに喉にすんなり消えて、またもう1かん欲しい。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
青海苔/ヒトエグサ 2006年3月28日 352
 海苔というとほとんどの人が思い浮かべるのが板海苔である。これはのり巻きなどに使うご存じ海苔なのだが、他にも「海苔」と呼ばれるものは多々あり、このヒトエグサを原料とする青海苔も日常よく食べられるものである。ヒトエグサは海苔の佃煮、また振りかけに入ったり、お好み焼きに使われたりするが、板状に加工されることもある。今回のものは浜名湖で養殖されて紙のようにすかれた。これ、寿司に使ってはいかがだろう? 千葉の海人つづきさんからいただいたのを早速あぶり『市場寿司 たか』に持ち込んだ。これがなかなか難題であった。キュウリを巻く、これはまずくないが平凡すぎる。干瓢は青海苔の風味ばかり感じられてダメ。最後に鉄火巻きに、鉄しんは本マグロ(クロマグロ)である。これはうまかった。でもうまいのはマグロであり、青海苔の味わいというか、味が感じられない。ちなみに一般に海苔と言われるのは紅藻類のアマノリの仲間、青海苔は緑藻類のヒトエグサやアオサの仲間。アマノリには旨味と甘味があるものの青海苔にはこれがない。この甘味旨味が肝心なのだ。
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スジウズラガイ 2006年3月29日 353
「立派な貝だね」。思わず持ち上げた魚屋が怪訝な顔つきをしている。この貝、大きい割に中身がない、軽いのだ。それでも目の前のものは小玉スイカくらいのもの。貝殻から取りだした身はそれなりに分厚く、ワタや汚れを除くと、まるでアワビのように見える。それを薄切りにしてワサビ醤油で食べてみる。これがジャキジャキしてそんなにうまいもんじゃない。それで軽く湯引きした。これで少しだけ甘味が出てきた。それでもまだ味わいに欠けると思い酒味醂醤油の地に半日漬け込んで置く。これが大正解。「これなら客に出せる」と寿司職人の渡辺隆之さんからも合格点が出た。身ややや硬めで、ある意味、これだけで寿司ネタとしてはダメなのだが、噛むと甘味がジワリと湧いてくる。ネタケースに仕舞いながらたかさんがポツリと聞いてきた。「それでなんという貝だっけ」。
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ウミヒゴイ 2006年3月31日 354
 三重県で「めんどり」なんて呼ばれる。関東ではあまり馴染みのない魚ではあるがこのウミヒゴイの仲間はみな美味である。そしてその美味はどこにあるかというと皮なのである。皮を捨てては価値半減となる。『市場寿司 たか』に持ち込んで、三枚に卸し皮を上にし、まな板にのせ熱湯をかけて氷水に落とす。すなわち、まず霜皮造りにしてもらう。これを握りに。この2かんを撮影している間に、たかさん、口に放り込んだ握りのうまさに唸ってしまっている。「うまいね。皮からかななんだか甘味かな。香りかな。いい味だ。とにかく」。皮からは確かに甘味も感じられるし、旨味、そして独特の風味が感じられる。この風味が寿司ネタとして生きてくるのだ。「ウミヒゴイは名前として酷いよね。オジサンにも似てるから、オジサンにしようかな。でも真っ赤でケバイオジサンだな」。お魚として、お色がよろしくないということか? でもうまいぞ。
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げそ/ヤリイカ 2006年4月3日 355
 冬から春、初夏までがヤリイカの旬である。そろそろ卵巣も大きくなり、これを甘く煮つけたのもいいものである。そして当然刺身を堪能するのだが、寿司職人の渡辺隆之さんが好んで握るのがエンペラとげそなのだ。「鮮度のいい、まだ生きているようなのを仕入れるだろ。まずげそ(下足)を握りにする。お客に出すのもいいけど自分で食べたいネタなのよ」。小振りな、それでも素晴らしいヤリイカを持ち込んで何も言わないでいきなりげそ。そんなにうまいもんかな? と食べてみて、これがすんなりうまい! とは思えない。コリっとするのも甘味がジワリとくるのもいいけど、身の方が好きだな。エンペラも薄い分旨味がない。「このコリっというのが、楽しめないんじゃ、ダメダメよ」とはなんという言いぐさ。ワシは身の方が好きだ。
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