第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
六十七巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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海苔(河童巻き)/スサビノリ 2006年2月25日 331
 海苔とはなんぞや。海苔とは海藻なのだから植物。その海藻で「のり」と呼ばれるものは数知れず。それでも普通に海苔と言えばスサビノリという種を差している。これはやや外洋性の赤い色素を持つ紅藻類の仲間。これが現在、われわれが食べている海苔の正体なのだ。さて海苔に産地は数知れず、有明海、瀬戸内海、三河湾、果ては韓国、中国まで、そしてやっぱり江戸前にも産地はある。ただし開発し尽くされた感のある東京湾。養殖場は千葉神奈川に限られる。そのいちばん奥にあるのが行徳三番瀬なのだ。その行徳でべた流しで作られたもの。これは一日中海中に養殖網があり、干上がることがない。普通は支柱を立てて干潮には干上がらせて空気に触れさせる。そうすると香りが出てくるとされる。べた流しで等級は低いと言われている行徳の海苔、果たして味はいかがなものか? これが意外や寿司職人渡辺隆之さんをして良かったのだ。巻物にすると湿気を含んで縮み切れやすい。また香りは薄いのだが、甘味があり味がいいのだ。『市場寿司 たか』では現在大分産の支柱を使って作られて板海苔を使っている。これは香りはいいが、やや硬い。口に入れて溶けてくれない。それに比べて行徳の海苔はすーっと溶ける。「海苔選びは難しいね」。
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金頭/カナガシラ 2006年2月26日 332
 近年めっきり見かけなくなった魚にカナガシラがある。もちろん幻のとか希少とかではなく、本来量的にもあったものが時々しか入荷しなくなったということである。見た目はホウボウと似ているが、体中に強いウロコがあり、また頭のあたりがゴッツイ感じがする。こいつを見ると途端に食欲が湧いてくる。煮つけにしたときの絹のような舌触り、脂の甘さ。当然、刺身で食べても「たまりませんな」。と、『市場寿司 たか』に持ち込んだが、あまり、たかさんが話に乗ってこないのだ。「ホウボウが好きなんだよね」というのにカナガシラはあまり食べていないのだ。そして2かん、たかさんも自分用に握り、いざパクリ。「なんだこれ! うめーじゃねーかよ、バカ野郎」。バカ野郎は余計だが、菜の花の野辺をスキップしているような笑みが浮かんでくる。白身で軟らかいかな、という食感が実は脂によるもの。しかもその脂の甘さよ。それでいて身には適度な弾力が残っている。
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フジイロエゾボラ 2006年2月27日 333
 関東ではほとんど握りに使わないものにエゾバイ科の「つぶ」がある。「Aつぶ」と呼ばれるエゾボラはときどき握りにもなるらしいが、「Bつぶ」とされるアツエゾボラやフジイロエゾボラが握りに使われているというのを聞いたことがない。それで「つぶ」であるエゾバイ科Neputunea(エゾボラの仲間)を次々に『市場寿司 たか』に持ち込んでいる。巻き貝を持ち込むと嫌な顔をする、たかさんであるが段々免疫が出来てきたらしく、やっとおとなしく2かんが出てきた。そして自分でも食べてみて、「やっぱりつぶは刺身で食えだな」。まあそんなんだけど、コリッとした食感がいいし、甘味もある。ついでにすし飯もあるぞっというのもいいではないか? 「Aつぶの方がうまいだろ」というがいえいえ、フジイロ君も捨てたもんじゃありません。
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栗蟹/トゲクリガニ 2006年2月28日 334
 甲殻類学者も惑わせるのがクリガニとトゲクリガニ。どこが違っているんだろうと何度見てもわからない。これを説明するのも煩わしいので比較的南の地域でとれるクリガニは「トゲ」だと思うことにした。さてこの外見はまたまた混乱を招きそうだがケガニにも似ている。童謡に「ケガニになれないクリガニ君」というのがあるがまさにそのごとく。ただし北のカニであるケガニに対して、このトゲクリガニは北は北海道から南は瀬戸内海にも棲息する。これがうまいのは青森陸奥湾の初夏の風物詩となっているくらいである。この身を取りだして握ってもらった。当たり前だけどうまい握りになった。身に甘味があるのだけど、すーっと甘味が来て、すーっと消える。そして旨味ですな、ご隠居さんや! すし飯とも仲良うやってくれておりまする。うまいの! なんて湯屋番のようなことをやっていますと冷ややかな視線が落ちますな。「うまいけど、ケガニの方がいいと思うな」だって、たかさんはクール。
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カンテンゲンゲ 2006年3月1日 335
「なんだこれ、ただの煮つけかと思ったのに」、たかさんその物体を触って困惑気味である。ブルンブルンというかニョゴっというか不思議なのだ。まるでゼリーを切っているみたい。これがカンテンゲンゲなんである。全身水分のかたまりのようなカンテンゲンゲは吸い物や煮つけにするが握りにするのは本邦初(世界初かな)のことと確信する(ちがいワシが先じゃという方はご連絡を)。三枚に卸すと血合い骨はほとんど気にならない。これをさらりと煮つけて『市場寿司 たか』に持ち込んだのだ。アナゴだと思ってね。というのが仇になり、たかさんビックリ。すし飯の上にのった身がキョゴーン。口に入れると煮つけた味わい、あとから魚らしさがくる。「うまいじゃない」というのはたかさん。「でもこれは握りじゃないだろう」とも言う。こまったことにその通り。うまいんだけど、濃厚なすし飯入りのスープを飲んでいる気分にもなれる。でもうまいよ。
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