第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
六十四巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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オオホモラ 2006年2月10日 316
 三河湾一色の堀さんは話していて楽しい人である。話しっぷりに妙な抑揚があり、ゆっくりとワクワクするような情報をもたらしてくれる。「あのね、今日市場でね。珍しいものを見つけまして。いりませんか?」。こんなときには送ってもらうに限る。すぐに「送ってください」とお願いして、届いたのがオオホモラであったあ。脚などはすべて揃っている。ところが持ち上げると脚が2本ぽろりと落ちた。「やったー」と心の中で歓声をあげる。完全な個体であると、とても食べちゃうわけにはいかない珍しいカニ。脚がとれているからいいだろう、と撮影後慌ただしく茹でる。身に水分が多くて熱を通した分痩せている。それを『市場寿司 たか』に持ち込み、出来上がったのがコレ。「珍しいカニなんだよね。まあ誰も食べたことがないんだよコイツ」。こちらがワクワクしているほどには、たかさんは乗ってこない。「まずいとは思えないけど、うまくもない」。身に旨味、甘味はあるものの確かにズワイなどと比べると2段くらい落ちる。それには甲殻類自体に興味のないたかさんが感激するわけがない。やはり博物館に送ったほうが良かったかな。
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●愛知県幡豆郡一色魚市場「魚清」   八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
バラメヌケ 2006年2月11日 317
 関東ではなかなか手に入らない魚である。これはどうも目抜けのたぐい、アコウやオオサガ(荒神目抜け)など深海にいるメバル属は乱獲され安いのではないかと思う。しかも卵胎生であるから生み出す稚魚も少ない。当然、この深海性の赤いメバル属の価格は高値安定となるのだ。当然、バラメヌケも関東までくるとなかなか手のでない値つけがされる。それを函館から送るよう手配してくれたのは銀座『黒尊』さん。北海道の魚に関してかなり調べたのだろうか、目の付け所がいい。さて、届いてすぐに、さっそく刺身にしてみる。これがすこぶるつきに美味。刺身でうまいのだから握りもうまい。こんなまっとうな結果がいちばんすがすがしい。『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんも見事なネタが手に入ったと喜んでくれる。その味わいはどこかマッタリ、そして甘く、そんな穏やかな旨味に包まれているときに、ちょうどすし飯の味わいが浮き上がってきてくれる。「幸せだな!」。
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銀座『黒尊』へ 握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ゆで蛸/マダコ 2006年2月12日 318
 国産のマダコと輸入もの、ゆでたもので比較すると色合いがまるっきり違っている。国産は濃い小豆色であり、輸入ものは薄い赤だ。そして味わいなのだが、味の濃さというか深みというのか、両者の溝は深い。当然、味わい深いのが国産のマダコ。タコにはイノシン酸、グルタミン酸など旨味成分が少なく、旨味成分ではないタウリンを大量に含くんでいる。これがタコのうまさを左右している可能性が強いようだ。筋肉の運動と関わりのあるタウリンが味と関連するとしたら、我が国のタコは荒波にもまれて、よく動いているいるために、味がいいのかも知れない。もしこの説が正しいとしたら明石蛸や東京湾走水のマダコが有名なのもうなずける。さて国産のゆで蛸を、ぶつに切って「うまいな、たかさん」「おいしいね、ぼうずコンニャク」なんて調子よく握りもこしらえる。寿司職人がよくネタは硬くてはすし飯に馴染まないと言う。タコなんてその最たるものだ。タコ自体はまことにうまい。でも噛んでいる内にすし飯は別ものとして喉に消えていく。「タコを軟らかく煮て、握りにする店もあるけど、オレは嫌いだね」、おいおいいつもと言うことが違うだろ。たかさんには長々とタコの弁護をお話いただいたのだが、ようするに江戸前握りではタコってのはアクセントみたいなもんなんですな。
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●参考文献/『魚博士が教える 魚のおいしさの秘密』(はまの出版)
泥喰/ドロクイ 2006年2月13日 319
 高知市浦戸湾に漁師永野廣さんからドロクイが届いてまず思ったのは「これはコノシロそっくりだな」であった。当然味わいもコノシロだろうと、塩焼きにしてやはりなかなかうまいのだ。そして定番の酢締め。大きさから言っても「このしろ級」、残念ながら小骨が気になるが、身自体の風味は結構いける。これをコノシロと偽って、寿司職人の渡辺隆之さんに渡す。酢締めにしても見た目はまったくコノシロそのもの。「やっぱりコレくらいになると小骨が気になるね」。うんと包丁を寝かせてそぎ切りにしてネタつけ、瀬の部分と腹とを交互に並べて出してくれる。見た目とてもきれいだ。一二の三で食べて、「おかしいな、コノシロにしては味が薄いな。これ何?」と言うたかさんは鋭い。大きいコノシロは意外に旨味が強くていい味だけれど、ドロクイは少しその旨味が劣っている。その分、余計に小骨が気になる。「泥を喰うから、ドロクイよ」と素直に教えてあげると、「これだけ似てるってことは兄弟みたいなもんかね」だって。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ホシササノハベラ 2006年2月14日 320
 ベラ科の魚を雑魚としか思っていない関東の市場や飲食店。当然、値段も安い。今回のホシササノハベラは和歌山県串本からきた入り会い(何種類かの魚を混ぜ合わせて一箱にしたもの)。ただでさえ安いものがもう一段下の手頃すぎる値段となっている。誰も手を出さないので、全部いただきました。アカササノハベラ混じりで5匹。そのホシの方を『市場寿司 たか』に持ち込んだのです。「この細長い方のベラは悪くないよね」といいながらあっという間に2かん。ふたりで食べてみて驚いた。初夏が旬だと思っていたのに旨味があるし、身にとろっとした脂が微かだが感じられるのだ。「おいしいじゃん」とたかさんが言うのにうなずいて、もう一本、たかさんに手渡したのだ。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」


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