第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
六十巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
寿司図鑑 千 目次へ!
索引へ
石蟹/イシガニ 2006年1月21日 296
 高知市浦戸湾はカニの宝庫だ。何種類のカニがとれるのか? 漁師さんさえわからないようである。そこからやって来たたっぷりのカニの中に東京湾でもお馴染みのイシガニが混ざっていた。一般に食用ガニとしてはマイナーな存在だが産地では味のいいものとして通っている。これを握りにする。ゆでて身を取り出すのだが、不格好なくらいに大きくて凶暴なハサミからぶっくりとふくらんだ見事なカニの身がとれる。これを寿司職人の渡辺隆之さんに手渡すと意外なことにうまく握りの形に出来ないのだ。「つぶしていいかな」というのでほぐしてネタの形にしてやっと1かんが出来上がった。これをハサミ2個で同時に食べてみて、「上品な味だね。旨味があるんだけど甘さがさらりとしている。これは好みだね」とたかさん。同感であるが、つけ加えると身自体はしっかり繊維質ですし飯と合わさって存分に味を出しながら喉に消えていってくれる。じっくり味わいながら見るともなく見ると、ネタケースの後ろで、たかさんがイシガニのハサミを左の人差し指に挟んで遊んでいる。このカニの怖さを知らないようだね!
●市場魚貝類図鑑、イシガニのページへ!
●高知市 『土佐の廣丸』から  八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
目鯛/メダイ 2006年1月22日 297
 平凡すぎて見た目はクラーク・ケント、でもいざというときには凄いんですという魚がメダイだなと思う。本当にスーパーな味わい、天にも昇るような美味っていうのがあるが、メダイの幽庵焼きなどまさにそう。そしてこのスーパー魚は刺身、フライ、煮つけとどんな料理にしても優等生だから底力も充分に持ち合わせている。こんな凄い魚なのにどことなく目立たないのは出来すぎて面白みに欠けるためである。寿司職人の渡辺隆之さんも「何か欲しいときにメダイがあるといいんだよね」と言う。これなどメダイを仕入れる寿司屋のほとんど総てが思っていることだろう。主役ではないのだ。実際握りにしてみてふたりで味見するに「いい味だね。日本海でとれたメダイはすごいね」とたかさん。確かに味わいにそつがない脂も旨味も甘味もあって、身の硬さも程良い。寿司に仕立てて見た目もいいのだから言うことない。結局、優等生は頂点には立てないと言うことか?
●市場魚貝類図鑑、メダイのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
いちご/ツメタガイ 2006年1月23日 298
 ツメタガイは東京湾でも普通に見られて、潮干狩りなどでも獲物として持って買えることも多い。ただ、煮ると身が硬くなってとてもじゃないが噛み切れない。これをことことと煮ると軟らかくなるとか、身に火が通るか通らないかのぎりぎりくらいがいいとか漁師さんに聞いても意見が分かれる。この熱の遠し加減をわかりやすく見せてくれたのが船橋に本拠を置く、仲卸の『源七』である。「沸騰した湯にいちご(ツメタガイ)を入れるだろ。そうしたらもう一度、湧いてくる。それで貝殻から出るかちょっと串できいてみるだろ。だめだったらもう少しゆでて、もう一度試して身が出てくるようだったら取り出すの」。教えてくれるあんちゃんの目の前にはザル一杯のツメタガイの身。「食ってみろ」と言われて丸ごと口に放り込むと硬いには硬いが噛み切れて旨味がある。知らなかったが、ワタがいい味なのだ。これを握りにしてみたが、残念なことに、まだ身が硬すぎる。「出直して来るんだね」、たかさんの冷たい一言が高尾颪の吹く新年に響くのだ。
●市場魚貝類図鑑、ツメタガイのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
八目鰻/カワヤツメ 2006年1月24日 299
 かれこれ15年以上前、秋田市に行った。冬の旅で東北に厳寒のときを体感したいと思っての旅であった。それが異常気象とも言えそうな暖冬でポカポカ陽気。秋田市民市場で見つけたカワヤツメ、川反町の居酒屋で味わった「八目鰻の貝焼き」が唯一秋田の冬を思わせてくれるものだった。そんな冬の味覚「やつめ」を秋田在住の、なべ婦人が送ってくださった。届いた荷を開けると、まだ元気に発泡スチロールに吸い付いて、捕まえると激しく逃げ回る。これをウナギのように割いて蒲焼きにする。そして握りに仕立てる。「うまいんだけどね。やっぱりヤツメだけ食べた方がいいんじゃない」と、握りながら1かん口に入れた、たかさんが呟く。それは、やはりヤツメウナギの血液というかレバーのようなクセが、好みのもので、うまいのだが、主張しすぎる味わいですし飯の存在を消し去っている。「最近、老眼が進んでさ、いいねジジイにヤツメは」というたかさん、店の前では孫が遊んでいるのだった。
●市場魚貝類図鑑、カワヤツメのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
へしこいわし/カタクチイワシ 2006年1月25日 300
 東京湾内房で「へしこ(カタクチイワシ)」を1キロほどいただいて帰ってきた。握りにするつもりでいたところ全部平らげてしまって、「失敗したな」と後悔しきり。その翌日、今度は市場に三重県からのカタクチイワシがあるではないか? これが鮮度抜群。喜び、慌ただしく手開きにして水洗い、『市場寿司 たか』に持ち込む。石けんで何度も洗ったはずなのに手開きにした指がまだぬめぬめする。それだけ脂がのっているのだ。この握りが絶品だった。なにしろ脂があってネタの表面がトロンとして、すし飯とともに咀嚼すると身自体はしっかり存在感がある。微かに感じる苦みがいい。「うううまいな。これ。寒の内のしこいわしって言うよね(これ知りません)。仕入れようかな」。腕組みして考え込んでいるので「仕入れるべきでしょ、これくらいうまいんだから」と言うと、「そう、じゃ待っててね。開くの手伝って」というので逃げてきました。
●市場魚貝類図鑑、カタクチイワシのページへ!
●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」


関連コンテンツ