第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
五十九巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
どこまで続けられるか未知数ですが、毎日一かんずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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平目縁側/ヒラメ 2006年1月16日 291
「土佐浦戸湾のヒラメはうまいんですよ」と高知市の永野廣さんから来たのは2キロほどのヒラメ。身がぷっくり厚く、締め方が上手なのか死後硬直が続いている。これを慣れない手つきでウロコをすき引き、5枚に卸して『市場寿司』に持っていく。「また、いいもんを持ってきたね」。早朝の客が去ったひととき、ゆったり休んでいた、たかさんが感心してくれる。「縁側からかな」と2かん出来上がり。「これはコメント不要だな」と言いながらすし飯の支度をするたかさん。めったに口に出来ない天然ヒラメの縁側をじっくり楽しんだ。ぷりっとした身、これを噛みしめるとジワリと浮き上がってくるのが旨味、甘味、脂。絶品だ。当然、すし飯との相性も抜群によくて「コメント不要だな」。
●高知市 『土佐の廣丸』から
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
渡がに/ガザミ 2006年1月17日 292
 東京湾沿岸には昭和30年代くらいまで「蟹」を名物にする料理屋が軒を並べていたらしい。この「蟹」というのが「わたりがに」と呼ばれているガザミのことである。ほんの昭和40年くらいまで「蟹」と言えば代表的なものとして挙がっていたガザミがズワイガニやカニでもないタラバガニに取って代わられたのは内湾の乱開発と汚染のせいだと思う。今でもガザミがたっぷりとれるのは青森、愛知、四国、九州などである。その四国は高知から来たのが子持ちのガザミである。形もよく見事としか言いようがない。これを例によって海苔を使わないで握りに仕立てる。海苔を使うとその風味がカニの味わいの邪魔になるのだ。それほど海苔はうまくて、風味があるのだ、ということがわからなくて、なんでも軍艦にしてしまうのが嘆かわしいと、たかさんは言う。すし飯にのせたカニの身、真子、そしてミソ。「これはイカン味だな。表現のしようがない」。たかさんの言葉通りにこれは味のドリームランドではないか? 握りの1かんとして出てくると「ビックリするだろうな」。
●高知市 『土佐の廣丸』から
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
福床伏/フクトコブシ 2006年1月18日 293
 近年、見かけるトコブシの多くは台湾からのフクトコブシである。トコブシよりも貝殻がふっくら丸い。国産のトコブシと比べても味は遜色なく、また値も高い。トコブシ、フクトコブシは、どことなく冬に食べたくなる。これは夏のクロアワビに対してのこと、たいした理由はない。つい冬になると買ってしまうということだ。これをバターで焼いて食うのがいちばん好きなのだが、寿司にするには煮るに限る(こんどバター焼きも試したいが)。しょうゆ、酒、みりんでガサガサ鍋を揺らしながらサラリと煮つける。切り付けながら味見をした、たかさん「うん、これはこのまま食いたい」とほめてくれるが、何がなんでも握りだ。せかせて2かん。身とワタを別々に。これはすこぶるつきにうまい。身が甘いのだ。アワビよりも軟らかな身質がすし飯にも合っているのか、握りとして絶品である。ワタもワタで微かな苦みがググっと脳下垂体をくすぐってくれる。「ゴジラの子供はミニラだけど、トコブシはアワビの子じゃないぞ」。「何をバカなことを言っているんだ、肥満体」、たかさん、「肥満体は余計だ」。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ハタハタ酢締め 2006年1月19日 294
 ハタハタの握りはこれが2度目である。前回は生のままネタにし、握りにしたのが、あまりうまくなかった。そのとき「これは酢締めがいいな」と思っていたので、市場で鳥取産の鮮度のいいものを見つけて再挑戦となったのだ。ハタハタを卸すと小さな卵巣があり、身に脂がのっている。これを三枚におろして小鰭と同様酢締めにする。たかさんに見せて、皮をつけるべきかどうかで悩んだ末に両方試してみた。これがもとにうまい。うまいなんてものではない。絶品のピンである。たかさんは皮が邪魔だと言うが皮下に旨味がある。ジワリとかんで、ジワリと染み出してくる甘味のある脂、そこに旨味が乗っかかってきて、すし飯と混ざる。皮があるとすし飯と同時に喉を通っていかないが、それでも皮自体もうまい。「やっぱり皮はいらね」という、たかさん共々、それ以前にハタハタの旨さにノックアウトされてました。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
鱈の昆布締め/マダラ 2006年1月20日 295
 しかし鱈はうまい。白身で味わいは淡いようで、熱い汁にしたときの素直なうまさをどう例えたらいいのだろう。肝、白子、真子、どこをとってもうまいうまいとしか言いようがない。でも残念なのが刺身がいただけない点であろうか? どうしてもというなら昆布締めにする。我が家ではこの昆布締めにしてしょうゆを塗りながらあぶり焼きにするのが好きなのだ。これを躊躇しながら握りに仕立ててもらう。これがやはりどうにも好きになれない。残念だなと思っていると、たかさんが「これいいな。これなら客に出してもいけるよ」と2かんめに手を出している。「これ1かんだと思うからダメなんだよ。中トロ、こはだなんか食べる。エビも食うじゃない。次に来るのがこんなものがいいわけさ」。この昆布の香りに、まったりした旨味の来る間遠さ加減、これがいいのかな。「じゃあ、中トロでも食わせてよ、その後に食えばわかるんでしょ」と言うと、「今日は仕入れが高かったからダメ」だって。
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