第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
四十四巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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牡蠣/マガキ 2005年11月02日 216
「無理だろ、前にイワガキでダメだったじゃないか」いきなり、たかさんに言われたネタがマガキの生。確かに今夏、イワガキの生で大失敗。「うまいんだけどな」というのが通らない事態になってしまった。特に失敗の原因を上げると、うますぎてすし飯の存在を消し去ってしまうというのもあるが、もっと端的に染み出してくる水分が思った以上に多いのだ。それで、今回は軽く茹でてみる。そして寿司ネタにしようとしたら、釧路産のカキであるが、身が大き過ぎるのだ。「絶対うまくいかないって言ったのに」と無理矢理、2つ割にしてやっとこすし飯にのせたのがこれ。これがうまかったんだね、カキが。「すし飯はどこに行ったの」と言うくらいにうまい。と言うことで、マガキって軽くゆがいて食べるとぐっと味が濃くなるのがわかった。これ寿司とはなんの関係もない結論。次回は軽く煮上げて握りにしてみるのだ。
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毛がに/ケガニ 2005年11月03日 217
 カニ(甲殻類の短尾類というわけではない)の中でいちばんうまいのは、なんだろうね。こんな八さん、熊さんの会話的なことを書くのもなんだけど、この頃、テレビの通販番組で決して安くないタラバガニに「カニの王様」とか、ズワイガニに「最高の美味をお届けします」なんて言うのを見て、仲卸でこんなことも聞いてみたくなったのだ。これに魚屋の若旦那が「ミソも身の方もうまいんだからケガニだろう」、これに続けと寿司屋の若旦那「あまり値が下がらないんだから、うまいってことじゃないの」なんて言うわけだ。ついでに「握りにはならねけど」とつけ加えてくれる。それならとあえてと身を不器用に取りだして、握ってもらったのがコレ。「意外に握れるもんだね、難しくないよ」と言う。これが素晴らしい味わいだ。ケガニの身は絹のような繊維質を持ち軟らかい。そして軟らかいから、口に入れてすぐにぐっと舌に感じる甘み。そしてカニの「旨さの超特急」をスーパーマンのように見事に止めてくれるのがすし飯。このバランスが絶妙。
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ニギス 2005年11月4日 218
 ニギスは鮮度が落ちやすく、ほとんど鮮魚では流通しない。鮮魚は主に産地で食べられるが、他の地方では干物で見かけるのがせいぜいのところだ。干物、天ぷら、煮つけ、これがどれも上々の味わい。そして刺身もうまいのだけれど、身体の銀白色の輝きも透明感も一日たつと白濁して、味も落ちてしまう。それを東京からも近い産地、駿河湾沼津から、揚がったばかりのを持ち帰り、大慌てで握りに仕立ててもらい味わってみた。これが肩すかしの味わいだった。「こりゃ、まだ脂がのってないね。旬はもっと寒い時期じゃないの。深海魚なんだから」と、たかさんが言うが、これはわからない。ただ、今回のものは脂も旨味も感じられず、軟らかな身とともにすし飯に存在感がうち消されてしまう。これは時期をずらして再度、挑戦するしかない。
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稲荷ずし/志乃だ寿司総本店 2005年11月5日 別巻
 東京に出てきたときに俵型の「きつねずし」を見つけて形の違いに感心した。「そんなんだ、東京と徳島では『きつねずし』の形がちがうんだと思ったと同時に油揚げの色合いが濃く、またしょうゆの味が強く感じられるのも不思議で、あまりうまいとは思えないでこまった。なにしろ、「きつねずし」が大好物なのだ。また東京では「きつねずし」ではなく「稲荷ずし」といい、言葉は知っていても、つい「きつねずし」と言ってしまってとまどった。この「稲荷」「きつね」の言葉は稲荷神社の使いキツネを好物の油揚げでねぎらうところからきている。また「志乃だ」とは阿倍野晴明の母である葛葉が信田の森の白狐であったところにあるのだろう。関東に来るとなんだかいかめしくていやだな。『志乃だ寿司総本店』の「稲荷ずし」、やや味わいにしょうゆの風味が勝っていて、そして味わいが濃く重い。老舗ならでは飯も油揚げもいいものであると思われるし、好みもあるだろうが、整った味わいである。1個80円なら安い。
鱧押し寿司/ハモ 2005年11月5日 219
 夏が旬であるハモは秋になると「名残の鱧」と呼ばれる。まだまだうまいのだけれど、鱧の季節は残り少なく、鱧好きには寂しさが募る。このまだ脂がのってうまいハモの塩焼き、照り焼きを送っていただいたのが愛媛県宇和島市の『薬師神かまぼこ店』さん。「寿司にでもしてください」と書かれたお手紙どおりに、握りに、そして押し寿司にしてみた。やってみてやはり関西風の押し寿司が最高の美味であった。鱧はそれぞれしっかりあぶっておく。やや甘めの酢飯を作り、京都八木包丁店のしっかりした寿司型で押す。家庭的なはんなりした酢飯と脂からくる甘み、そして香ばしい風味が絶妙なのだ。塩焼き、照り焼き、ともに個性があっていい味わい。久しく食べていなかった押し寿司は、これも久しぶりの家族での共同作業。もう終わろうとしている鱧の季節が名残おしいな。
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●愛媛県宇和島市『薬師神かまぼこ』のホームページに
本がます/アカカマス 2005年11月6日 220
 市場で「本がます」と呼ばれるアカカマスの旬は初夏。そして夏はダメで、秋も深くなってきてまたうまくなる。これは冬を目前の荒食いのためであると思われる。相模湾などではこの大きなアカカマスをねらう釣り船もあり、知る人ぞ知る相模湾味の風物詩だ。これを近年、刺身で食べることがはやっている。主に皮をつけたまま、この皮を強い火でさらっとあぶって食べる。それで『市場寿司 たか』でも、それをお願いしたら、「うちじゃ、皮はつけないよ。バーナーもないし。普通に握るから食べてみたら」という。実を言うと、単純な刺身は初めての経験である。これが意外にうまいのだ。カマスの焼いたときの日向臭いクセが、そのまま出てしまうのでは? と思ったら、あにはからんや、素直な味わい。脂もあって甘く、そして柔らかさがすし飯とも抜群の相性なのだ。このカマスの刺身は自宅でも試してみたい。
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