第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
二十九巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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島鰺/シマアジ 2005年8月18日 140
 夏の魚で王様というのは恐れ多くもシマアジ殿かも知れぬ。その姿、気品、味わい、すべてよろし。また夏シマアジの値の高さよ。こんなことを思っていたら、たかさんが混ぜっ返してくれる。「そうでもないんだよ、今は。シマアジたって天然のことかい? 寿司屋で天然なんて置いてるとこあるのかね。当たりはずれも大きいし。面倒な魚だよ」。と、意気揚々と目の前に美しい天然シマアジがあるというのにこんなことを言うのだ。確かに寿司屋のネタに求められるのは「安定」である。仕入れて良かったり悪かったりでは商売にならない。それで「天然よりも養殖を使う」というのもまんざら値段だけの意味合いではないのだ。でもようは食べてみなければわからないのだ。ネタの厚みに悩みながら出てきた握りは血合いの色合い、全体の姿ともに美しい。当然、味もといったら意外に平凡である。マアジよりも弾力のある身、味もどこか白身を思わせる。でも「うますぎて声が出ない」と言うほどでもないのだ。値段のことが頭に引っかかっているから、物足りないのだ、とたかさんはシマアジを弁護する。「そうかな?」
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
汐っ子(小)/カンパチ 2005年8月19日 141
 これを見ると夏だな! と汗を拭き拭きそれでもなんだか清々しく感じるのが汐っ子である。汐っ子とはカンパチの幼魚で、10センチを超える小から30センチくらいまでを言う。この言葉は関東特有の言葉ではないだろうか? これが寿司ネタとして素晴らしいのだ。できれば片身1かんほどのサイズを選んで握ってもらいたい。そんな手頃な汐っ子を見つけて『市場寿司 たか』に急ぐ。これなら、たかさんに渡すだけでいい。すんなり出てきてふたりで盛夏の美味を堪能する。小振りで身が柔らかい。柔らかい身が甘く、とろっと感じてすし飯とすんなりと混ざり合っていく。これ絶妙である。
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松鯛/マツダイ 2005年8月20日 142
 別に珍しい魚ではない。それでも入荷するたびに「なにこれ?」と問われるのがマツダイである。これはまとまって入荷することなくときたまぽつんと入荷するからだ。漁獲されるときもこんなもんだから仕方がない。これを見て、たかさんは「まるで古代魚だね」と言うし、「シイラカンスじゃない?」なんて言う人もいる。そんな独特の風情を持って人を驚かすのであるが、なかなかこれを買おうという人がいない。なぜなら2〜3キロもあって、しかも値段が意外に高いからである。この高いと思っている仕入れ人のほとんどがマツダイの真価を知らないのは不幸だ。たかさんも驚いたのはこの美しい身。そしてクセのない素直なうまさ。「握りにして個性がないね」とはいうが、これほど素直にうまいのも少ないだろう。旨味、甘味、そして個性もほどほどで、ややすし飯に負けるかな? それでもこれでいいのだ!
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ヒメ 2005年8月21日 143
 相模湾で「とんぼ」といったらヒメのことだ。空にはアキアカネという立秋を過ぎた今、ネタにこまったのでヒメにする。最初から言っておきたいのはヒメの握りは大失敗の最たるものであったということ。八王子のそば屋、まつ浅(相模湾・東京湾でのベテラン釣り師)が釣ったばかりで、その西陣織のような模様も鮮やかで鮮度抜群であったために犯した失敗。「こうりゃ、さばけないぜ」とおろしている最中から、たかさんの眉間に皺が寄る。なにしろこの魚、水っぽくて柔らかいのだ。この水っぽさがんんだか生臭さをはらんでとても生では食えてもんではない。その上、旨味も天からない。
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ガンゾウビラメ 2005年8月22日 144
 ヒラメの仲間は少なく、また小型のものが多いのだ。すなわりヒラメ科で刺身に造れるのは常識的にいってヒラメとガンゾウビラメくらいだろう。大きいもので50センチ弱くらいにはなり、ここまでくると立派としかいいようがない。ガンゾウヒラメは焼いてうまい。焼いてうまければ生でもうまかろうと言うと残念ながら淡白に過ぎるし味がない。ただ、食感はいいので、これが救いだろうか? 食べるに関して、やや淡白を好む、たかさんの意見は「なかなかいいではないか」というものだが、ぜひに使いたいネタではない。
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