第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
二十二巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。
毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。
ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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その日だけのネタを聞いて欲しい
 八王子綜合卸売センターは八王子市北野町の浅川の岸にある。なんだかんだと公園や住宅、バスの車庫などごみごみしたところである。地方の市場はだいたいこんなところにあるに決まっているといったら市場通にはおわかりだろうか? その隅っこにあるのが『市場寿司 たか』である。店主のたかさんといったら、決して名店を作ろうとも、儲かる店をつくりたいとも思っていない。だいたい朝の「豪海投げ込み丼(ちらし)」が500円ではとても儲けは出ない。しかも困ったことに毎日のように訪ねてくるのが、もっとお金に縁のないぼうずコンニャクだから、悲しいたらありゃしない。しかも毎回、無理を承知で頼んでくる。今回のテーマは今は幻のネタ、「煮いか」である。夏に旬のマダイの春日子も持ち込んで。ちょっと旬の特ネタのお話をする。ちなみに寿司屋やいちばんうれしいのは、その日のネタを聞いてくれること。定番のネタよりちょっと高いが、これがうまいんだな!
煮いか/スルメイカ 2005年7月14日 106
「誰がいちばん昔のことを知っているかな」と思っていると、ちょうど目の前にいたのが八王子・横川町の鮨忠さん。気になっていたのは最近めったにお目にかかれない煮いかのことだ。70歳を超えているかな、とお見受けするが、当然のごとく今も煮いかを仕込んでいた。その折りにお聞きした作り方はスルメイカのページを見てもらうとして、伝統的な皮つきのままの煮いかを『市場寿司 たか』に持ち込む。ここで問題となるのが内側の白い方を上にするか皮の方か? ということ。これがあっさりと「皮の方が上、決まっているの」と慣れた手つきで2かん。これに、つめを一はけ。「思ったよりも甘くするのがコツ」だと鮨忠さんに言われて、その通り煮あげた。その甘さがすし飯に合う。口に入れて、煮てしまったのにスルメイカは硬くなっていない。ほどよい食感に甘さ、そしてイカの旨味というか出汁がジワリと広がって、〆に酢の味わいが来る。「たかさん、どうしてこんなうまいもん、人気がなくなったのかね」
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
桜ぼたん/マルゴシミノエビ 2005年7月15日 107
 大栄太源と言えば「エビ屋さん」というを市場で知らぬ人はまったくいないだろう。その大阪本社にいるのが宮木屋さん。エビのことを知るなら宮木屋さんの「赤えびエイト」ということでお勉強させていただいていると、トンガ産の初めて見るミノエビの仲間を送ってくれた。商品名は「桜ぼたん」、名の通りうす紅色の美しいエビです。「きれいだね。これでもうちょっと大きいといいな」と言いながら、たかさんが握ってくれたのがコレ。2丁づけというのだろうか、1かんに2匹使った美しい握り。これ、姿のごとく味もいい。甘えび(ホッコクアカエビやホンホッコクアカエビ)と比べて甘さは控えめであるが旨味は充分あるし、ぷるっとした食感がいい。たかさん、「サクラボタン」を見ながら、「吉永小百合みたい(古い!)」と呟いた。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
初物サンマ/流し網漁サンマ 2005年7月16日 108
 6月に梅雨入りして市場は夏枯れ状態に陥る。寿司屋も居酒屋も売りものに苦労するし、市場でも売れないのでやきもきする。それが7月初旬にサンマが解禁となるやっと息を吹き返す。解禁日のサンマは1尾1600円とか2000円を超えたとか、こんな話題が市場を活気づけるのだ。ところが、200年の解禁日7月9日、これが市場で売られたのが11日となった。さー、市場はサンマで湧いていることだろうと場内に入ると今年はなんだか変だぞ。だいたい寿司屋が平気で2本3本と袋に入れている。なんと1本が400円で売られている。しかも脇を見ると小振りのは200円とある。市場のおにいさんに聞くと、「まあ大漁なんですね」なんて白けているから不思議な光景。これを見ても一向に動じない仕入れない寿司職人曰く、「まだ硬いだけで味がないんだよ」とそっぽ向いているではないか。これを『市場寿司 たか』に持ち込んで2かん。「今年のサンマは悪かないな」と一切れ口に放り込んだ、たかさんを受けて、すぐに口に1かん放り込む。思ったよりも脂がある。当然口の中でとろけるほどではないが、魚が作り出す旨さがあるのでうまいのではないだろうか。すなわち今年のサンマは初手からいいや!
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
梅雨めじな/メジナ 2005年7月17日 109
 メジナの旬といったら冬。間違いなく冬、これは疑いのない事実。まあ秋から冬といって譲歩してもいいだろう。ただここに「梅雨めじな」という言葉がある。これは産卵を終えて荒食いする時期が梅雨なのであり、釣り師はこれをメジナの釣期のひとつととらえている。そう言えばその梅雨めじなの味はいかがなもんだろう? これを『市場寿司 たか』に持ち込むといきなりイヤな顔をされてしまった。「やーだよ、メジナなんて、臭いだろ」と、たかさんなどそっぽを向いている。そこを押して、お願いするする。卸していて「臭くないな」とめんどくさそうに2かんが上がり。ぱくりとやって、たかさん曰く「うまくない、臭くもない、なんにもない」と言う。まさにその通り、身に味わいがない脂もない。うまくない。
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花鯛/チダイ 2005年7月18日 110
 夏枯れとでも言うのだろうか、市場にはあんまりコレといった魚がない。「サンマが出たと言ってサンマサンマじゃね」と老練な寿司職人が手に取ったのがチダイである。「夏の花鯛はうまいな」と釣り師でもある寿司職人は2〜3枚袋に入れている。チダイは関東では花鯛ということが多い。特に釣りの世界ではもっぱら花鯛であって、「血鯛」なんて無粋な言い方はしないのだ。それにつられてこちらも花鯛を『市場寿司 たか』へと持ち込む。「今日はなんだい」とも言わずにさっさと卸して、さっさと2かん。「お、いけるね」というのを聞いてから、すぐにぱくりと口に放り込む。確かに身に旨味というか味わいがある。身の程良い硬さもすし飯にビッタリピン。でももう少し脂っ気があってもいいような。ところが、たかさんからは意外な高い評価が。これは好みというものだろう。
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