第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
十九巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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とどき/サブロウ 2005年6月29日 91
 サブロウは北の冷たい潮が差してくる千葉県銚子から北の太平洋側に住んでいる硬い鎧のようなウロコを持つ雑魚である。種としては最近売れている「八角(トクビレ)」の仲間。この仲間には人間的な名を持つのが多く、クマガイウオ、それに対するアツモリウオ、今回の主役「三郎(サブロウ)」に対して日本海の住人「四郎(シロウ)」がいる。雑魚と言っても地元では誰もが知っているうまい魚のひとつ。「とどき」とは福島県いわき市久ノ浜のおっかに聞いた呼び名である。サブロウのうまさは身全体にまんべんなくある脂である。刺身にするとこの脂がなんとも言えない甘みを醸しだしてくれて、しこっとした食感とともにいい味わいなのだ。そしてこの握りであるが、たかさん曰く、「あまり身に味がな、甘みは脂から出るけど旨さがない。それにちょっと身がしっかりしすぎていて、ネタとして厚く切りすぎたな」とのこと。充分うまいと思ったが、細長い魚であるし確かに切り付け方に工夫がいるかも。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
黒そい/クロソイ 2005年6月30日 92
 この魚、瀬戸内海などでもとれるし、どうも日本列島の各地にいるらしいが、やはり北国の魚というイメージが強い。真っ黒でどこか地味、そのためか値段も安いのであるが、これが食べたらうまい。北国の場末の居酒屋で「そい」でいっぱいというのも情緒あふれるものだし、しみじみ裏寂しい気分に浸りながら、このうまい「そい」に静かに舌鼓を打つのもいいな……。というのはともかく市場で見つけたクロソイを持ち込んだのは言うまでもなく『市場寿司 たか』である。「これ何度も使っているよ」と、面白くもなさそうに握ってくれる。「まあ、持ち味に欠けるというか、この魚でなけりゃダメってところがないわね」という、たかさんの言葉通り。白身の素直な味わいであるし、ふっとうまみも浮かんでくる。ややしっかりしているとは言うもののすし飯との相性もほどほど。あんまり感動はできないネタとも言えそう。
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剣先烏賊/ケンサキイカ 2005年7月1日 93
 市場で、ケンサキイカと言われることはまったくと言っていいほどない。関東近辺から来たら「赤いか」、山陰から来ると「白いか」と、源平合戦のような呼び名をされるかと思ったら、またヤリイカよりもコロンとしているために「だるま」などとも言う。「これ全部、ケンサキイカですよ」といったらきょとんとした顔をした魚屋がいて、ひょっとしたら彼は全部種類の違うイカだと思っていたのかも。イカの中ではもっとも高いもののひとつ。夏に握るにはケンサキイカかアオリイカなんて言う寿司屋ではお勘定のことを考えてあまりパクパク食べるなんて出来ないと思うべし。さて、ケンサキイカの握りの味わいでまず特徴的なのは甘み。口に入れる、ネタが味蕾に当たって最初にくるのがそのねっとりした甘みである。甘みがあり、そして旨さが感じられる。ほどほどに柔らかい身は当然のことすし飯と合わさり、気持ちよく喉を通りすぎてくれる。
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桜海老/サクラエビ 2005年7月2日 94
 春から夏、秋から冬に駿河湾でとれるのがサクラエビ。本来サクラエビは干しえび、もしくはかき揚げなどにされる。これが産地の静岡県由比や大井川町などではとれたてのサクラエビをさっと水洗いして、暖かいご飯にのせてわさびじょうゆで、もしくは寿司にも仕立てて食べられている。それが最近は関東などにも鮮度のいいものが来るようになり、産地同様生で豪快にいけるようになってきた。これを『市場寿司 たか』に持ち込むと、たかさん曰く「あんまり好きじゃないな。合わないでしょうすし飯と」といいながら素直に軍艦に。確かに、生のサクラエビは甘く、シャリっとした食感とともに濃厚なエビの旨味が口に広がる。でもすし飯の存在がどこかに消えてしまっている。でもこれでいいのではないだろうか? これだけ食べるのはともかく、1かんだけこんなのがあったら、楽しいではないか?
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ウミタナゴ 2005年7月3日 95
 相模湾・東京湾では釣りの魚として名高い。産卵期は春でその頃に浅瀬に来るのだが、その時期はちょうど岸からの釣りの対象魚が深みに隠れるとき、本来脇役にもなれないウミタナゴが釣り物の主役となるのだ。このウミタナゴの食べ方というとこんがりと塩焼きにして焼きたてをかぶりつくとうまいな、とかみそと薬味となるネギやシソなどと生のままたたいて肴とするとかしか思い浮かばない。刺身にはしないだろうなと思われているかも。それを今回は寿司ネタにした。と、最初に「うまい」と唸ったのは寿司職人のたかさん。続いてぱくりと口に放り込んでこちらも唸ってしまった。魚自体が主張してうまいというのではないかも知れない。ふわりと浮き上がってくるような旨味と甘み。これがほどほどながらバランスがいいではないか。しかも身の柔らかさ加減がすし飯との相性を高めて絶妙。「知らなかったな、ウミタナゴの実力」。
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