第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
十八巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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サザエ 2005年6月24日 86
 関東でのサザエの本場というと千葉県外房だろうか、伊豆半島でもまとまってとれるしなあ、おいおい三浦半島もすてたもんじゃないよなんて、だんだんきりがなくなる。考えてみれば江戸前の海、東京湾でもそこそこに上がるのだから東京というところはサザエには恵まれている。市場にも毎日入荷しているサザエが安かったので『市場寿司 たか』に持っていくと、「どうするのコレ?」とあからさまにイヤな顔をしている。「あのね。ネタはね。すし飯とほどよく調和しないといけないのよ」と、やんわりたかさんは拒否かな? でもお願いして、たかさん初めてのサザエの握り。残念、これがうまくもなんともない。きっと産地では薄く切るか、切れ目を細かく入れて食べやすくするんだろうな? と思うものの、たかさんを責めるわけにもいかない。どんなに工夫してもサザエの味の濃さ、磯の風味は強すぎるし、身の硬さは軽減しないだろう。ましてやウロなんて苦みと旨味の固まりだから、とてもまっとうな江戸前握りなるわけがない。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
キビナゴ 2005年6月25日 87
 キビナゴというと九州を思い浮かべる。鹿児島、宮崎と郷土料理の本などを見ると必ず出ているのがキビナゴの刺身である。それで長い間、地元とも言うべき相模湾なんかではとれるわけがないと思っていたら、真鶴の浜近くでキラキラ泳いでいるのに出くわした。実際、相模湾・駿河湾の伊豆半島周辺ではありふれた食用魚のひとつなのだ。ただし伊豆でとれるキビナゴはそんなに多くない。それで関東の築地などの市場に出回っているのは九州からのものがほとんど。それを使うのも面白みに欠けると、伊豆まで買い出しに行こうと思いながら果たせずにいて、面倒になって今回の物は九州産。しかもすでに開いた加工品を使ってしまった。これでは当然、初めて握る、たかさんの評価は低い。実際、食べるとあっさりしすぎてすし飯に味わいが消えてしまうのだ。キビナゴの産卵期は5〜6月なのだから今が旬だと思ったのだけれど、残念。やはり鮮度のよいものを開いて、それを握ってこそのものだろう。これは再挑戦の必要あり。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
貝割/カイワリ 2005年6月26日 88
 シマアジの前後を縮めてしまって真四角に近い形になったのがカイワリという魚。市場への入荷もまばらで寿司ネタとしては決して一般的ではない。これを持ち帰る寿司職人は「魚のことをよく知っているな」と思う。なぜなら単純に「うまくて安い魚」であるからだ。「カイワリはね、何回も握っているよ。たださー、ちょっと面倒なのはね。大きさからして片身2かんとれるか、3かんとれるか? こんなことに寿司屋ってのは考えてしまうわけ」といいながら、本日のカイワリは片身2かん取り。カイワリとしてもやや小振りである。小振りではあるが脂はのっている、その脂が甘くとろっとしている。そして端正な旨味が浮かんでくる。身の硬さ加減もすし飯にぴったりである。「もっと入荷があるといいのにね」と一瞬で握りは消えていく。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
つぶ/ヒメエゾボラ 2005年6月27日 89
 福島県で巻き貝を表す「つぶ」といえばこのヒメエゾボラのこと。福島から北海道までが産地の巻き貝で、市場ではいちばん安いもののひとつである。どうもこれは関東の仲卸やバイヤー、料理人が、この「つぶ」の本当の実力を知らないためらしい。実際に食べてみると焼いても刺身でもなんともうまい「つぶ」、巻き貝界の「いわし」のようではないか。市場で安値のヒメエゾボラを見つけて2〜3個、これが値段にして120円(仲卸での値段)にしかならない。貝殻の中程に小さな穴を開けて身を取りだしクリーム色の唾液腺を取り去り、水洗い、ちょっと塩で揉んでから『市場寿司 たか』に走る。ことは簡単である、キーキーっと切れ目を入れて2かん出来上がり。乗っかっている「つぶ」がうまい。微かに苦みがあるのだけれど噛みしめると甘い。でも残念なことにすし飯とのバランスが悪い。これを笑いながら、たかさんがうまそうに「つぶ」の刺身を食べているが、確かにこれが正解か?
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アサリ 2005年6月28日 90
 アサリというのはまことにうまい貝であって、よく考えてみると味わいでは貝類貝の王様ではないかと思われる。ただしここに見た目を加えるからしてアワビやミルクイに本来の城を明け渡し、放浪の旅に出たりするのだ。「お〜い、こんな時に勇敢な三銃士はおらんかね」と、たかさんにお願いして料理界の花形である握りにしてみた。「これでわしも王の座に、城に帰れるか?」とはならないところがアサリのいいところである。グッチでもないエルメスでもない帆布で作られた丈夫なバッグと表現したらいいだろうか? まことにうまい。まことにバランスのよい寿司に仕上がっているのに華がないのだ。しかも、たかさんから一言「こんな面倒な握り作ってたら商売やってけないよ」だって。今回のアサリは東京湾三番瀬のむき身を酒と水、ほんの少しの塩で味つけして熱を通し、身を取りだして煮汁をさまし、もう一度、煮汁と合わせて一晩置いたものを使った。勇敢な寿司屋は試すべし!
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●アサリは八王子魚市場内源七水産/八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」


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