第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
十六巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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ばらずし/徳島の普段の食べもの 2005年6月14日 別巻
 徳島を代表する普段の食事というと、うどんとばらずしではないか。ちょっと忙しい日だと近所のうどん屋から「うどんとばらずし」をとる。ちなみに徳島県の真ん中あたり美馬郡の古めかしい町では、「食堂」という言葉はあったものの、「うどん屋」とも呼ばれていた。このうどんのことで言えば、意外に知られていないのは香川でもそうだが、今騒がれている「讃岐うどん」というものはそもそもなかった。あれはいつの間にか「腰の強いうどん=香川のうどん」という間違った概念をよそ者が作って香川徳島共通の普通の、「うどん屋のうどん」をときに混同、ときに知らんぷりしている。そのうどん屋のばらずしであるが、甘めのはんなりした酢飯。そこに錦糸卵、赤板蒲鉾、三度豆(いんげん)、紅ショウガ、そして大正金時の煮豆がのる。
●徳島市のセルフうどんの店で
あじの姿寿司/マアジ 2005年6月14日 76
 徳島県の真ん中あたりにある吉野川支流、貞光川にちょこんと出来たのが旧町である貞光町(現つるぎ町)。そのまた中程にあるのが祇園さん(八坂神社)である。この祭礼は初夏ではなかったか。祇園さんから下って商店街にまでいっぱい露店が並び、白い板状の飴が売られている。この祭りの日に合わせて作られたのが、あじの姿寿司である。甘いすし飯にはスダチか柚が香りつけに加えられている。それを塩をして前日から合わ酢に漬け込まれた背開きのマアジにいやっというほどたくさん押し込んで棒状に作る。この酢飯がはなはだしくはみ出した不格好な姿寿司は、それでも町屋は「おとなしい」ものだと言われていた。これが徳島県ではどこでも作られる姿寿司であることを知ったのは最近のこと。今回、帰郷した折に国道沿いのチェーン店で購入したもの。より酢飯が少なく「おとなしい」ものではあるが味は昔とあまり変わらない。「頭も柔らこうて食べられるんでよ」と言ったのは今はなき祖母。
●市場魚貝類図鑑、マアジのページに!
●徳島県羽ノ浦町 田舎屋
ぼうぜの姿寿司/イボダイ 2005年6月15日 77
 晩春から夏にかけてうまいのがイボダイである。なんだかぼてっとした姿で、しかも体表は粘液に包まれている。市場で見てもあんまり食欲をそそる魚ではない。関東ではこれをもっぱら塩焼きにする。ところが関西では刺身にもするし、細々工夫してちょっと小粋な料理にも仕立てる。また四国徳島では祭りの日に姿寿司にする。どうもなんでも姿寿司にするのは徳島ならではのことのようで、マアジ、アマゴ(雨子)、アユ、サンマなど色々作られる中、「いちょううまいのんは、ぼうぜでないで」。昨日のマアジでも書いたが頭まで食べられるように酢で柔らかく締めてあるのを、当然頭からかぶりつくのが徳島流。
●市場魚貝類図鑑、イボダイのページに!
●徳島県羽ノ浦町 田舎屋
大あさり/ウチムラサキ 2005年6月16日 78
 大あさりというのは愛知県知多半島あたりでの呼び名だと思われる。標準和名はウチムラサキ。和名の方が典雅であるしなまめいていないだろうか。このウチムラサキ、今では毎日のように市場で見かけるし、海辺の観光地ではお馴染みのもの。ただ、使い道は残念ながら焼き物にしかないと思われている。そんなことあるだろうか? と今回、あれこれ試してみた。茹でると硬いだけで、味がない。生はうまみに欠けるし、微かに生臭い。それではと『市場寿司 たか』の、たかさんが軽く湯引いて握りにしてみた。これはなんだか正解。ただし個性というか、旨味がない。ひとつだけいいことは貝柱が食感がよくてうまいこと。
●市場魚貝類図鑑、ウチムラサキのページへ!
●ウチムラサキ提供は高野水産/握り、八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
なかずみ/コノシロ 2005年6月17日 79
 新子、小鰭(こはだ)、なかずみ、このしろと、斜陽していくのがコノシロの面白いところ。新子など1匹3グラムほどしかないのに1キロ2万円もする。細かく計算すると寿司に作るととてつもなく高価になりそうである。そして小鰭となってやっと街のありきたりな寿司屋にも出回ってくる。今年はなんだか「蒸し暑いね」と、仲卸の店を見て回っていると、小鰭はなくてほとんどが「なかずみ」ばかり。なかずみはコノシロの12〜15センチほどの大きさのもの。「小鰭はこのところ高いし、少ないだろ」とせっせと、『市場寿司 たか』では、なかずみが仕込まれている。それを見て翌日握ってもらったのがこれ。やや身が厚すぎるし、脂ののりも今ひとつながら、さすがに市場を回って抑えただけある。充分すぎるくらいにコノシロ独特の風味があり、絶妙な酢の加減でもっていい味わいに仕上がっている。
市場魚貝類図鑑、コノシロのページへ!
●握り、八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
北帰貝/ウバガイ 2005年6月18日 80
 ここは福島県いわき市久ノ浜である。競り場の脇でせっせと「ほっき」が剥かれている。そのぽてっと太った身のなんともうまそうなこと。6月のこの時期、「ほっき」漁は始まったばかり、この剥いているのは漁師さんたちのおかずとなる。「ほっき」の産卵は南ほど早く、春に産卵した福島の「ほっき」はやっと身が太りこれからがいちばんうまい時を迎える。この旬に入った「ほっき」を握りにする。「そういや、昔は高いネタだったね」というのは『市場寿司 たか』のたかさん。「そんなに入荷して来なかったしね」。それが今じゃ福島から北海道、はてはカナダからの冷凍物まで「ない日はないね」というありふれたネタとなっている。ただし国産の活け(殻付きのもの)なら寿司1かんにすると決して安くはない。1個200グラムはあり、これ1個で200円から300円。2かんとって利益も入ると1かん300円以上につくだろう。街の寿司屋なら思案にふける値ではないか? 「ほいよ!」と置かれた2かんをぱくり、すぐに甘みが来るのが「ほっき」ならではクセがなく、これが物足りないという向きもあるが身の柔らかさもほどよく、寿司としていい味わいだな。
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●八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」


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