第1集
1〜100貫
第2集
101〜200貫
第3集
201〜300貫
第4集
301〜400貫
第5集
401〜500貫
第6集
501〜600貫
寿司図鑑別巻 寿司図鑑索引
十五巻 市場魚貝類図鑑の中で寿司に仕立てたものを独立させたものです。毎日、1種類ずつ紹介する「寿司日記」と思ってください。
地方の寿司、まったく寿司ネタとされないものもとりあげています。ほとんど総てが八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」でのものです。
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あし赤/クマエビ 2005年6月9日 71
「去年はとれましたな」とクルマエビにぽつんと混ざった「あし赤」を前にして徳島県阿南市の老漁師は呟いた。そう去年、2004年はクマエビが豊漁だった。それで築地でも八王子でも、ときに陸送されて沼津でもクマエビが見られたのだ。豊漁のためか本来は値段のはるエビが信じられないほど安くなり、これがまた漁師さんを嘆かせた。今年はどうなんだろう。クルマエビと比べて勝るとも劣らぬ味わい、見た目。それでクルマエビより少し安いので野球で言えば3番バッターくらいの位置にいるかな。この阿南市の橘水産にぽつんと混ざった「あし赤」を『市場寿司 たか』に持ち込んだ。「こんなのうまいに決まってるだろ」という、たかさん。そうですよ。まさにそのとおり、甘みがまず感じられて、身はややしっかりしまっている。エビの風味と旨味も充分に「うまいな」と頭部のみそをすすっちゃいました。
●市場魚貝類図鑑、クマエビのページに!
●徳島県阿南市 橘水産、橘水産のホームページへ!/握りは「市場寿司 たか」
バルダイ/オオズワイガニ 2005年6月10日 72
「やっと見つけたぞ」と八王子総合卸売協同組合、丸幸水産のクマゴロウを呼ぶ。ロシア産で北海道根室の業者が荷を出している。念のために定規を借りて甲羅の比率を見ると横幅が大きい。間違いなくオオズワイガニである。活けのはずなのに成仏しているので安いだろうと思っていたら、なかなか高いではないか。それでも仕方なく売っていただき、茹でてパクリと口に放り込むと幸せな気分が広がりましたね。うまい。これを『市場寿司 たか』に持ち込んで、たかさんもパクリとやってニッコリ。握りももちろんいい味わいでした。ズワイガニの味わいの特徴は甘みの強さだろうけど、この甘みは決してすし飯の存在を薄くするほど後が残らない。
●市場魚貝類図鑑、オオズワイガニのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
石鯛/イシダイ 2005年6月11日 73 大形の旬は3月から7月いっぱい
 イシダイというのを江戸前寿司に使うようになったのは、それほど古いことではないようだ。老年の職人に聞く限り、「昔も今も使わない」という頑固な話も聞かれる。ただ「確かにうまいから握りに使えるだろうけど、客の注文がないんじゃないか?」というのが本音のようだ。外房ではイシダイがもっともまとまってとれるのが4月で、それからはぽつりぽつりと活けや野〆ものが到来する。値段が高値で安定しているのは刺身でうまいからだろう。その生の身のうまさは、そのシコっとした食感にある。脂は皮下にあり、これが甘く、しまった身にちらばった旨味とともに調和している。握りに仕立ててみたら、この食感がなんとも心地よい。当然、握りもいい味。マグロやイカときてイシダイがいい合いの手になると思われる。
●市場魚貝類図鑑、イシダイのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
ホンビノスガイ 2005年6月12日 74
 ホンビノスガイは北アメリカから船のバラスト水(船を安定させるために入れる海水)に紛れ東京湾奥部に定着した二枚貝である。この貝を「食べる」ということで初めて取り上げたのは『貝 EPICUREAN』(1987年 奥谷喬司 日本社)だろう。ここにニューヨークの街角でこの貝(当地でチェリーストーン)をあけてレモンを垂らして食べさせる屋台があり、なかなかうまいと書かれている。そのホンビノスに再びお目にかかったのが2002年のこと。「船橋でとれて困っているんだ」と八王子の仲卸に言われて持ち帰り前出の本の通り生で食べてみた。これが生臭い。仕方なく「焼く」「煮る」「茹でる」と試行錯誤、茹でるとなんとか食べられるのが判明した。それで今回は握ってみた。『市場寿司 たか』の寿司職人たかさん曰く「味がない」。残念ながらその通りで貝の身を取りだし、開いてゆがく、それを握って味がない。生だと生臭い。
●市場魚貝類図鑑、ホンビノスのページに!
●八王子魚市場内 源七/八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」
鮎/アユ 2005年6月13日 75 旬は6月下旬から7月
 アユは塩焼きに限ると思っている。アユ釣り人たちはときに「背ごし」にしたり、刺身にして楽しむと言うが邪道だと思っている。それでも夏になると誰からともなくアユをいただき、ときに塩焼きに飽きてしまうこともある。そんなときには刺身も悪くないだろう。そんな2005年の全国アユ解禁日に合わせたわけでもないだろうが、活けのアユが八王子魚市場に到来した。残念ながら栃木県産の養殖物、味も香りも落ちるだろうけど、しめてぴくぴくしているのを『市場寿司 たか』で握りにしてもらった。活けなのでシコっとした食感がある。それだけでなんともうまいなと感じたものの。たかさんの意見は違っていた。「アユにうまみがない。養殖だからかな香りもない」という。確かにアユを食べているという醍醐味がない。
●市場魚貝類図鑑、アユのページに!
●握りは八王子綜合卸売センター「市場寿司 たか」



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