浦戸湾文庫 07
日本貝類学会・日本古生物学会・日本地質学会会員
三本 健二 Mimoto Kenji
1958年生上ノ加江(中土佐町)生まれ、高知市在住
←コウロエン
カワヒバリガイ
オーストラリアなどが原産の移入種。東京湾以南の内湾に棲息している
→ミドリイガイ
東南アジア原産のイガイの仲間であり、近年東京湾以南の内湾などで繁殖している。非常に美味な食用貝で各国で養殖などが行なわれている
↑イガイダマシの一種
西インド諸島を原産とする説や北アメリカであるとするなど諸説あるが、東京湾を始め各地で繁殖している
←ソトオリガイ
オホーツク海から東南アジアまでの内湾の潮間帯から浅い砂泥地に棲息。食用、釣り餌にもなる
→アラレタマキビ
北海道から九州までの磯の飛沫帯(波しぶきがかぶる)に棲息。小さくて可愛い巻貝
↑オキシジミ
房総半島以南の潮間帯から浅い砂泥地に棲息。潮干狩りなどにも混ざる
20年前の浦戸湾
 浦戸湾の貝をよく見に行ったのは、80年代。そのころ、高知市に社団法人桂浜貝類博物館があり、その館長をされていた金子寿衛男先生(註01)のお世話で81年に貝の同好会ができた(今の四国貝類談話会に続いている)。
 この同好会には、貝や化石の好きな小学生が2人参加していて、彼らといっしょによく浦戸湾へ出かけた。浦戸湾では、すでにコウロエンカワヒバリという二枚貝の移入種が大繁殖していたし、見られる貝の種類は少なかった。
 よく採集に行った衣ヶ島周辺では、81年から84年にかけて13種が見られた。上記の移入種のほかマガキ、アサリ、ウネナシトマヤガイが多いのは今も変わらない。しかし、そのころとすっかり違っていることもある。おびただしい数のカノコガイは当時はまったく見られなかったし、アメフラシ類、アラレタマキビ、サツマクリイロカワザンショウ、ミドリイガイも当時は見かけなかった。わずかしかいなかったタマキビも今は多い。20年の間に、貝の種類は増えたように思う。
 潮江地区の干潟ではソトオリガイ、弘化台の干潟ではオキシジミが多かった。これらは今も多い。汽水域では、先の小学生がイガイダマシやヒロクチカノコを見つけた。前者は日本での記録の少ない移入種。後者は高知県で記録のなかった在来種で、現在は絶滅危惧種に指定されている。
 80年代より後、10年近くの中断があって、98年から浦戸湾の貝さがしを再開し、今に至っている。これまで潮間帯しか見てこなかったため、2003年に町田吉彦先生(高知大学理学部自然環境科学科教授 理学博士)や永野廣(浦戸湾漁師)さんから潮下帯の貝を教えていただいたとき、新たな興味が湧きあがってきた。


註01
金子寿衛男
かねこ・すえお/1913年佐賀県生まれ。東京高等師範(現筑波大学卒)。大阪府での高校教諭の傍ら貝の化石の発掘、整理などで多くの業績を残す。高校退職後は大阪市立自然史博物館の評議員、高知県桂浜の社団法人桂浜貝類博物館の館長などを歴任する。2001年没



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