旅をしている間、ずーっとナミノコガイであると思っていた。ところが帰宅して調べたところフジノハナガイという近縁の貝であることが判明。以下の写真はフジノハナガイの見事なサーフィン
2002年6月6日
九十九里浜ナミノコガイ探しの旅1
見つけたのはフジノハナガイ

 今回の旅の目的は「ナミノコガイに出合う」こと。浜辺の波打ち際に棲息する微少なサーファーであるナミノコガイ。関東で出合うにはどこがいいのか? それは明らかに長い砂浜が続く九十九里ではないか? とにかく行ってみるか、というのが我が家の流儀。小学生の娘や息子を無理矢理休ませて深夜に出発する。2002年6月7日早朝3時である。
 目指すは九十九里、高速に入ると車のハンドルがゴトゴト揺れる。ブキミだな? とは思うが車音痴の僕には車もイカレタようだがなんとかなるさ、とブルンブルゆれる車で東金道路を出る。九十九里町の片貝海岸まではすぐである。
 今回の旅は琉球大学、山口正士先生のHPで見て、スヌーピーの顔の形の貝、ナミノコガイに興味をそそられて衝動的に出発した。

 九十九里町片貝海岸に到着したのは早朝6時30分。九十九里の浜辺は思った以上に広く、そして広大だ。軽く、まずは波打ち際までとスニーカーのままで歩き出したのが間違い。風紋の美しい砂浜には、うす紅色の花や霧をまといつかせた黄色の花が砂浜に這うように咲き乱れている。霧が視界を閉じて、浮かび上がるのはサーファーの黒い影だけだ。たくさんの貝殻が散らばる場所を過ぎると足元にひんやりした感触が刺してくる。いつのまにか子供達もはだしになっている。まるで「泥」の一歩手前とも言えそうな硬くしまった波打ち際の砂は水分を含んで重たく硬い。それまで気持ちイイよねとはしゃいでいた娘が、ひんやり硬質な足の裏の感触にかん高く「ひゃー」と悲鳴をあげる。
 その砂を熊手でかいてみる、するといきなり白い貝が浮かび上がり、波にのってすべり上がる。「これがナミノコガイ」だと思わず叫ぶが、子供達はもう夢中になって貝を捕まえている。白、ベージュ、薄紫に白、朝日を受けてコバルトに輝く。
 どうもここでナミノコと出合うのは安易にすぎるとは思ったが、これは明らかにサーフィンをする貝である。すなわちナミノコではないか?
 波打ち際で砂を掘る我らを不思議そうにサーファーが沖に向かう。「おまえらどうがんばってもナミノコには適うまい」「ウフフフフ」と不敵に笑う我らはどこか格好が悪い。
 霧で乳白色の沖から波が寄せる、表面の砂を洗う。白い破片、ナミノコ?が浮かび上がる。ばらまいた白い破片が次の波に乗り砂浜をすべる。波が引くと白い足を砂に差し込み、とんがったお尻を砂浜に突き刺して砂にもぐる。この何と素早いことか。このナミノコ? 幾らでもとれる。息子はどうも飽き飽きしてきたようだ。
 そのうち我が天才的アウトドア娘が何とハマグリを発見。5センチとは小振りだが見事、チョウセンハマグリをゲット。娘は食べられる貝を手にして不敵に笑う。これぞ才能のなせる技。いくら周辺をほってもハマグリは見つからない。「場所がわるいんだ?」と無理矢理移動宣言するのろまな父は少し悔しい。
 浜を元の場所に戻ろうとするが、なかなかうまくいかない。たどり着いたのは大きく南にずれた場所。仕方なくトボトボはだしで舗装道路を歩く。ここで気になるのがなれなれしい野良犬の動向である。どうもこちらをあざ笑うように着いてくる。どこか奥底に獰猛なキバを隠しているような。走っていった子供達が車のそばでなにやら騒いでいる。車にシラホシカミキリがとまっている。捕まえると「それじゃない」娘が指差すのを見ると左後方のタイヤがパンクしている。そうだあの高速でのゴトゴトはこれだ! よくも100キロでのバーストしなかったものだ。
 それからが大変。タイヤを変えるのは、なんと「初めてでした」と子供達に笑ってみせるが、「父ちゃん水をくれ」とパンクなど興味がない模様。右往左往していると隣にトラックがとまり、なんと親切にも交換を手伝ってくれる。片貝の人は優しい。
 干潮は10時くらいだろうか、できれば飯岡で潮干狩りをしたいために、徐々に北上してナミノコを探す。本当は食べられるハマグリがいいな! とは、いつのまにか目的を変えてしまった情けない探検隊の我らである。しかしさすがに九十九里の波は高い。波打ち際でいくら砂をほってもナミノコ?ばかり。そんなときにも天才的な感を持つ娘がスナホリガニを捕まえる。娘の小指の爪ほどの長さ、太陽光の下では撮影がうまくいかない。
 飯岡港に着くとカタクチイワシを水揚げの最中。大形トラックが何台もイワシを待っている。港の人に聞くと連日カタクチイワシの大漁だと言う。WEBで飯岡港内で潮干狩りができると聞いて、場所を教えてもらい1時間だけ潮干狩り。その後、釣りをして帰ってくる。
 潮干狩りは、残念ながら中潮である上に、春から口コミで大勢の人が押し掛けたためかアサリはほとんどとれなかった。ズボンをズブズブに濡らしてがんばったのに、いかんせんアサリが小さすぎる。とってもとっても娘の手のひらにのる程にしかならない。「大漁だ大漁だ」と無邪気にはしゃぐのは子供たち。力任せに砂をかくのは思った以上に腰に来る。
 沖合いからときどき帰ってくる船はシラス漁の船。「茹でたの、生、と最高にうまいんだよ」と地元のおばさん。
 最後に港の裏側、屏風が裏で子供たちを遊ばせる。九十九里の一番北の端。波を追いかけて、逃げて走る。走るのが大好きな娘はずぶ濡れ、砂まみれ。息子はこんなときにはやや波を怖がってしまう。
「そ〜ら帰るぞ〜」



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