前回、6月にゴーゴーと流れていた
灌漑用水路が、
今は水深20センチほど。
その静かな水のなかに
たくさんの生き物達が
夏本番を迎えていました。
2003年8月11日 千葉県木更津
用水路の生き物

 長い梅雨が終わったと思ったら、突然の猛暑。空にはアキアカネが飛んでおり、その色は空に溶け込むほどに淡い。木更津の田の畦に立つと遥か住宅林から、ジュンジュンとうねるようなアブラセミとニーニーゼミの声が聞こえてくる。なかにクマゼミのような音が混ざるのは空耳に違いない? そして用水路の脇の草原をを敏しょうに獲物を狙うのはキオベッコウバチかもしれない。
 木更津に着くや否や、網を持って走り来たのは小櫃川からの灌漑用水路である。前回は水量が多くゴーゴーと流れていたが、今回はなんと水深20センチ足らずに減っている。オオタニシやメダカが泳ぐのが池でも見るように覗ける。『メダカの学校』でも口ぐさむかな? と脇の娘を見ると、なんか嫌味を言われそうでヤ〜メタ。
 水底にはシジミ、オオタニシ、ヒタチチリメンカワニナが見える。なかでもオオタニシは底だけではなく用水壁に、浮かんでいる木に、草に、と数え切れぬほどいる。
 水底の木の葉をすくい取るように、生き物を探すと、たくさんのヒタチチリメンカワニナ、オオタニシに混ざりドジョウ、メダカ、トウヨシノボリが入る。中でも「ワシが主役じゃ」とハサミを振り上げているのがアメリカザリガニ。初夏よりも大きな個体が増えて、薄い茶色の子ザリガニは少ない。
 なんどかすくううちに、ウナギの子供がとれた。7月にも同じ場所で捕まえているため、娘は同じウナギだと言う。まさかこの用水にウナギが1匹なんてことないだろうが、帰って写真をくらべると本当に顔つきが似ている? 「まさか?」。
 さて、この海が近い用水路の主役は何といってもカニである。用水路の壁には2種類のカニの子供が張り付いている。不思議なことに親ガニはここでは一匹も見ていない。アカテガニもクロベンケイガニも甲羅の大きさが3〜4センチほど、ときにもっと小さな個体も見ることができる。
 このイワガニ科の仲間は普段はほとんどを陸で生活し、産卵の春から初夏にだけ、満月の夜、海辺に下りて子供達を水中に放出する。この子供のゾエアが子ガニになり海辺を離れて川に上流部、田んぼの畦や岡で穴を掘り暮らすわけだ。
 なかでもアカテガニは水の中が嫌いなのか、まったく水中でいるのを見ていない。反してクロベンケイガニは人影を見るとどんどん水中に逃げて素早く水底を走る。
 木更津周辺のイワガニの棲息区分は、干潟(潮間帯)にアシハラガニ、汽水域に流れ込む細流から水辺近くにクロベンケイガニ、まったく水を離れて土手や田の畦にいるのがアカテガニと住み分けがなされているようだ。
 さて水辺にいると我を忘れるのが吾が欠点。今日は、きんのり丸さんと干潟紀行とあいなる。
→クロベンケイガニと、川辺にある巣穴。小櫃川河口域はクロベンケイだらけ。草むらでも歩けばすぐに2〜3匹つかまえることができる
↓色合いの違うアカテガニ
→用水路でもまったく流れのない淀みに多いのがアメリカザリガニ。大物が多く、これなら築地でもかなりな値がつくはず。またクロダイ釣りの餌に、これをとっている人に会った(干潟紀行にて)

(左)ヤマトシジミ?、(中)ヒタチチリメンカワニナ、(右)トウヨシノボリ



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