2005年3月13
勝浦港海アユ釣り
千葉県勝浦市

勝浦港
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菊地則雄先生の説明は磯を歩く足下にある海藻に親しみを植え付けてくれる
やや沖合ではヒジキ刈りが行われている。なんだか春らしい光景ではないか
これがアオサの仲間の群生地。この緑のじゅうたんのなかに何種類もの種が混ざり合っている
イロロ。褐藻類で食用とする地域もある
外房、伊豆半島、三重県尾鷲などの地域で食用とされ、人気があるハバノリ。メジナやブダイの釣り餌ともなる
岩を覆うように生えているヒジキ。これがあの真っ黒な乾物になるには長時間にて、そして干してと大変。ゆでて食べられなくはない
カモガシラノリは地元では「いしもち(石持ち)」と呼ばれている。食べられるが石を噛んでいて大変なんだそうだ。
カゴメノリ。「かごめ」とは籠目のことだろう。面白い形をしているが食べられるんだろうか
シワノカワは真っ黒くて岩にべたりとくっついている。ちょっと見ると「これが海藻?」と疑ってしまいそう
フサイワズタ。これは沖縄名物の「うみぶどう(クビレズタ)」の仲間
ムカデのようなムカデノリ。これは刺身のつまとしてときどき見かける
カヤモノリ。沼津で「なのり」、三重県尾鷲では「むぎわらのり」と呼ばれて高級なものとなっている
春の海が陸にあっては夏の草茂る野とすれば、その野にいちばん多いのがこのウミウチワ。おいしければいいのだけれど。一般には食用とはしない
ワカメは海の中で軟らかくうまそうにたゆたっている。でもゆでて食べると渋みがある。これはタンニンのため。ゆでて水にさらすことでとれる
●今回の海藻採取は千葉県立中央博物館によって地元の漁協の許可を受けたものです。海藻の種類によっては採取できないものがあり、事前に地元漁協などに問い合わせすることをおすすめします
2005年3月13日 勝浦03

 海岸線を西に、松部をすぎてほどなく「海中公園」、「海の博物館」の標識。ここを左折すると懐かしい鵜原の集落がある。クロダイ釣りに熱中していたとき、ここにある「勘五郎」という民宿が定宿であった。
 海中公園の方に曲がって右に湾があり海中公園、そして左が海の博物館である。海の博物館は思った以上に大きく、隣の駐車場も立派である。とりあえず、博物館に入り、「採取会に参加する者ですが」と受付に告げると腕章を貸してくれて、すぐに菊地則雄先生を呼んでくださる。菊地先生は昨年多摩川河口にアマノリの仲間を探しに行かれるのにおつき合いして以来である。菊地先生は中背で黒いメガネの穏やかな面もち、どこかのび太君に似ている。ここで尾鷲の「むぎわらのり」、沼津、愛知の「なのり」を渡して同定を依頼する。
 採取会は10時50分に簡単な説明会があり、それから採取にこの前浜に出るのだとのこと。それまで館内を見て回る。残念なのは海の博物館という建物は大きく立派であるにもかかわらず展示場が狭く、一回りしても一般の人なら20分とかからないボリュームしかない。たとえばある程度、海のことが好きで関心があっても一度じっくり見て回ると再度来る気になるかどうか。また館内では飲食が禁止されていてペットボトルの飲み物すら飲めない。これはあまりに厳しすぎないだろうか? じっくり見て回り、ツチクジラの骨格のある中庭を前にベンチでお茶くらい飲めた方がいいはずである。
 採取会を前に腹ごしらえのために海辺の休息所に入る。ここには三日月ホテル運営の食堂があり、注文して食事も出来るし、自前の弁当を広げてくつろぐことも出来る。ちょっと立ち寄って、ゆっくりお茶を飲みながら美しい前浜を眺めるのは楽しいだろう。
 10時50分、博物館の横の実験室で海藻についての簡単な説明を受ける。当然、緑藻類、紅藻類、褐藻類などの海藻の分類學的な話から、ほとんどの海藻は熱を通すことで食用となるということなど、短時間ではあるが興味深い話ばかりだ。しかも説明会があまり長すぎず、誰にとってもわかりやすいのもうれしいではないか。 
 11時過ぎにはバケツを借りて海に向かう。初めて身につける胸まである長靴をやっと履き、のさのさとすぐ前の海に向かう。鵜原吉尾というところは小さな湾がいくつもあり、海中公園のあるここもその一つ。潮が引き、沖合に続く磯にはヒジキを刈る人と船が見える。下りると海面に達しないところでもう海藻の大群に直面する。これが緑藻類アオサの仲間である。「あおのり」の原料といったらわかりやすいかも知れない。また地方によっては「あおさ」というなで食用とされている。汀を青く着色する見慣れた色合いの帯がよく見ると何種類かの海藻の集まりなのだ。この緑藻類は主に3種類ほどでアナアオサ、ヒラアオノリ、ヒトエグサなのであるが、あとからボウアオノリも見つかって4種類となる。
 ひざまづいてボウアオノリを撮影して、「よっこらさ」と立ち上がると、ふわりと頬をなでていく風が日向のせいか軟らかい。日曜日で湾内にはかなりの観光客がいる。沖合の磯では潮が引き、せっせとヒジキを刈っているようだ。まぶしい光が沖合に横たわっていて、釣り船がゆらゆらと横切る。朝方の雪がウソのように春めいてきた。
 そのまま汀に立ち止まって、オゴノリ、ハナフノリ、マルバアマノリ、ウシケノリなどが見つかる。ほんの数歩歩く内にもたくさんの海藻が見られて、なかなか海までたどり着けない。そのうち子供たちがウミブドウの仲間であるフサイワズタ、サクラノリをどこかから見つけてくる。なかでも目立つのはウミウチワ、オオバモク、ワカメ。海にはいるとこれら大型の海藻がゆらゆら水中をたゆたっている。海の荒い外房でも、この湾内の水中は「ひねもすのたりのたりかな」なのだ。
 見つけた海藻を次々に説明してもらうのだけれど、あまりの量に少々追いついていけなくなる。菊地先生から「これがカヤモノリです」と声がかかって、見ると確かに「茅の葉」のような海藻が水たまりにある。これが沼津での「なのり」、尾鷲での「むぎわらのり」の正体であるカヤモノリが陸上の茅ににて砂地に生えている。外房や伊豆半島で珍重するハバノリもたくさん見つかる。イロロ、カゴメノリ、ネバリモ、あとからあとから見つかってきりがない。
 形からすぐに種名が浮かんでくるのがムカデノリ、ムチノリ、シワノカワ。岩にへばりついて真っ黒な海藻が「皺の皮」というのはまことに名付けて妙なもの。
 海藻以外にはイソスジエビ。ギンポの稚魚、ナマコ、ベニツケガニ、ベッコウガサ、マツバガイ、クボガイ。それに尾の長いコバルトグリーンの鳥。
 いつの間にか1時を過ぎていて、2時間ほどの時間が矢のように過ぎ去っている。その間に我が家の末娘は砂まみれずぶ濡れになって、「父ちゃん、父ちゃん」としがみついてくる。まったく我が娘ながら海や川を前にするとあっというまに飛び込んでしまう。
 採取後、実験室にもどり、緑藻類、褐藻類、紅藻類に分けて、それぞれ菊地先生に説明してもらう。ワカメやハバノリなど食べられる海藻がたっぷりあって帰宅後食べてみるのも楽しみ。採取会は2時過ぎに終わった。予想外に楽しい時間で、アクセルを踏む股のへんが痛いのは、思ったよりも歩き回ったためだろう。
 鵜原ら国道に出るとても危険な三叉路を無難に脱出してまた大多喜越えで帰宅する。
●まったく千葉県の道路行政(国なんだろうか?)はずさんだ。この合流点はとても危険で来るたびに恐怖感を覚える。それをずーっとほったらかしているのだ。



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