鴨川に行って帰り道の経路はいつも迷うところである。
館山那古舟形、鋸南町勝山港、保田港、富津市佐貫。
帰り道、寄り道の旅。これは2003年の旅の下見でもある。
内房巡り 2002年12月5日
↑この品揃え、サヨリやムロアジ、スルメイカにマアジ、サバにオキヒイラギの「ぎら」
●まるい鮮魚店 電話0470-27-2690
勝山港。昼を過ぎて閑散としている。港のまん中にあるのは養殖ブリの出荷用生け簀。覗くとマルマルと太っている大物が出荷を待っている
勝山の商店は皆、趣がある。古めかしいサトちゃんに、この古めいた酒屋。ついつい酒を買いたくなった
ショウジンガニは海辺でなければ買えない。流通することはないカニである。みそ汁にする
宮醤油店 電話0120-383-861
 鴨川から館山市内を抜けて内房に出た。館山湾にでても波は高い。湾に沿って北上して那古舟形の港にたどりついた。ここで磯の生き物を見て、舟形の町に出る。ここに小さいながら、活気のある魚屋がある。ここで干物を買う。「ぎら」というのは鴨川でも見た、オキヒイラギが原料。高知県では「にろぎ」という。またていねいに開かれた小アジの干物。これはともども逸品であった。
 館山からほどなくして着いたのが勝山の港である。この港、国道をぼんやり走っているとついつい入り込んでしまう。右矢印千葉を見落とすと、どこか懐かしい商店街、その奥が勝山港なのである。
 港の魚はほとんど片付いていて、人陰はない。港の先端では「ぎら」、これはヒイラギうを釣る人。見ていてもなかなか釣れない。静かな港から小舟に乗った老人がイセエビ漁に出る。「早いだろ」と岸壁から声をかける人になにやらにこやかに対応する。「サザエなんかもかかりますか?」っと聞くと「エビばっかだよ」と沖に向かっていく。船が消える沖の防波堤を見るとたくさんのクロダイ釣りをする人。潮をみるとまず、ここ数時間は釣れそうにない。
 帰り際に脇を見るとイセエビ網を入れるカゴが何個も並んでいる。中をみるとスベスベマンジュウガニがからんで、まだ生きている。これは沖縄などで中毒例のあるカニのひとつ。内房のものの毒性はどうなのであろう。
 お昼はとうに過ぎてお腹がすいて苦しいほどだ。漁協の方に「うまい店知りませんか?」と尋ねて勝山商店街を歩いていく。ほんの50メートルほどの小さな商店街だ。古いサトちゃんがある。その薬屋さんの奥には薬局がありそうだ。その正面の酒屋は店の表が潮で錆びてしまっているが、1970年までの(昭和40年前後)趣がありとても懐かしい。
 商店街が国道で尽きる手前に真新しく大きな中華料理の店『住吉飯店』に入る。とりあえず頼んだのが定食。天津と肉炒め、スープにコーヒーがついて800円は、味の割に安い値段。さすが地元の人が教えてくれるの店にはハズレがない。住吉飯店の駐車場にクルマを止めて魚屋を見て歩く。この小さな商店街に魚屋が3店舗。そのどれもが地物の魚をたっぷりと並べていて、しかも安い。
 海辺ならではのショウジンガニ、東京湾のクルマエビ、クロシビカマスなどが珍しく、マアジ、サバ、ヒラソウダにガザミなどは外湾とはいえやはり江戸前、うまそうである。
 勝山から保田に北上、港を巡るとたくさん落ちていたのがミドリイガイ。これは東南アジアなどでは食用とされる。港には魚はなく、定置網の船ものんびりと点検の最中。帰るかな? と港の出口でヒジキを干している夫婦にであった。「もうヒジキなんですか」と尋ねると「今がヒジキのいちばんうまい時期だ」と笑って答えてくれる。「冬のヒジキを食べると春のヒジキは食べられない」そうで「少し食ってみろ」というのに甘えてひとつまみ食べてみる。これが実にうまい。海藻のもつ香りが高く、塩味のなかに甘味のような旨味といったらいいのか、ひとつまみ食べると、もっと食べたくなる。お願いして少しだけ分けていただいた。
 午後3時を過ぎるとあたりは薄暗くなってくる。内房から我が家までは、渋滞しているかどうかで2〜3時間は差が出てくる。国道は比較的空いていて、信号にもほとんど捕まらない。その国道で見かけたのが天然醸造しょうゆの看板。これを見てはだまって通り過ぎるわけにはいかない。すぐに右折してその店を探す。
 この佐貫というのは古い城下町。瓦葺きの古く大きな家並が続き、そのいちばん端で見つけたのが『宮醤油店』。「タマサしょうゆ」という商標が軒先きに下がっている。これを2本購入して帰途につく。この「タマサしょうゆ」、じつにうまいしょうゆで、しかも安い。しょうゆの良し悪しをみるのに、そばの汁を作ってみたが、ダレというか熱を通したときに味のクズレがない。



関連コンテンツ