千葉県小見川町
利根の淡水魚の味わいを生かし切る老舗川魚問屋
おくまや 01
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菅谷忠代さんは、きっと川魚を扱うプロとしては厳しいのであろうが、笑うと、とてもかわいらしい。この笑顔につられて、「おくまや」にもう一度来たくなりそうだ
国道沿いにぽつんと立つ、店舗。外見だけ見るとなんの店なのかわからないかも知れない
秋が旬である「ずがに(モクズガニ)」。このカニの内子(卵巣)、ミソは天下の美味であるとぼうずコンニャクは勝手に思いこんでいる
「ザッコ煮」。これは雑魚であるデメモロコ、モツゴ、小さなフナなどを煮たもの。ワタのほろ苦さが、灘の酒に合う
おくまや
千葉県小見川町阿玉川1235-1
電話    0478-82-2402
ファックス 0478-82-1805
月曜定休日
 魚貝類を調べて20年近くになるが、あらためてデータを見直し、自宅の資料などの整理を行ってみるとあまりに淡水魚貝類に関してのものが少ないのに愕然とした。そんなことを思い悩むときにたまたま知り合ったのが小見川の人たち。なかでも鰻料理の店「うなせん」のご主人、菅谷敏夫さんは、ウナギ名人であるとともに、利根川に関する多くの情報をいただいている。その菅谷さんの生家が老舗の川魚問屋「おくまや」である。
 こんな話から菅谷さんに「おくまや」まで連れて行っていただく。「おくまや」は佐原から銚子へ向かう国道365線沿いにあり、日本家屋の大きな店構え、中にはいると天井が高い。
 店内にはウナギやコイが入った生け簀があり、そのコイのでっかいこと。また店のあちらこちらには七輪が置かれていて鍋がのっている。そのひとつひとつに川魚が煮上がっている。
 店内にある生け簀のコイ、天然ウナギ、養殖ウナギ、ずがに(モクズガニ)を見せてもらう。天然ウナギも珍しいが養殖ものも「おくまや」独自のもの。養殖場に餌を指定するなどして、委託養殖しているという。
 川魚問屋であるから活けの川魚やずがには、当たり前であるとして、店のあちらこちらで、たかれている魚貝類、この種類が都心の名代の佃煮屋に負けぬ品揃えである。これがすべて女将である菅谷忠代さんの手作りのものだという。
「どうぞ食べてみてください。食べてみなければわからない。どうぞ」といわれて佃煮の試食をする。江戸前の佃煮がいちばんであると思いこんでいたために、期待しないで箸をつけたのだが、これがどれも上々の味わいではないか? しかも後味が優しいのはなにか秘密がありそうだ。後日、このことを聞くと、調味料を吟味厳選しているがためであることが判明した。調味料は基本的にはしょうゆ、みりん、酒とザラメを使い。特にしょうゆは隣町東庄町の「入正」のものであるという。在り来たりなことであるが普通は材料費がかかりすぎるがために、ここまでしない店が多い。
●「おくまや」で作られている佃煮の味の特徴は、しょうゆの風味も甘みもやや控えめなことだ。これは、調味料に水飴を使わないことも大きな要因なのであろう。このため「ザッコ煮」や「シジミ浅煮」などは素材そのものの風味がある。これは好き嫌いの出る部分ではあるが、ぼうずコンニャクの好みの味である
 佃煮の中で特に気に入ったものは「ザッコ煮」である。まさに雑魚であるデメモロコ、モツゴ(口ぼそ)をたいたものであり、ワタの苦みがなんともいえず風情がある。もちろんほかにも高級なウナギの、「うな茶漬(佃煮)」や「かぶと煮」、「うなきも煮」、ワカサギ、川えび(テナガエビ、スジエビ)などおすすめはいっぱいある。季節季節で材料が代わる、「おくまや」の佃煮を選ぶのには悪戦苦闘しそうだ。
 佃煮の脇に並べられているのがウナギの白焼き。小さいのが養殖、大きいのが天然ものである。天然は『ウナギかま』のページで述べたように非常に貴重なもの。したがって天然ウナギはすべて注文であるという。いつもあるのが養殖ものなのであるが、これをいただいて帰り菅谷さんの説明通りに食べたのが、ちょっとほかにはない味である。まずこの白焼きは炭火で焼いたもので、香ばしさが生きている。また身がしっかりしているのに硬すぎない。
「おくまや」では四季それぞれに取り扱う魚が入れ替わり、珍しいタナゴやカムルチー、ザリガニなども扱っている。また小見川に四季をとおして通ってくる店ができたようである。


↑大きいのが天然ウナギ、これは貴重なもので予約するのが望ましい。小振りなものが養殖のもの。この養殖ウナギは「おくまや」が養殖場に依託して育てたもの

「おくまや」がすすめる白焼きの食べ方をここに記すと。
1/まず白焼きに日本酒を大さじ一杯振る
2/これをラップして電子レンジで1分ほどチン
 まったく所要時間3分ほどでウナギ専門店に近い白焼きが楽しめる。この白焼きわさびと塩で食べるのがいい。

●取材日/2003年10月16日



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