2004年5月13日
沼津魚市場 市場便り 03
目次市場魚貝類図鑑
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 2時前に目覚ましがなる。このピピピがなぜか今日は遠くに聞こえる。身体が重く、強い倦怠感が襲ってくる。
 起きてから持っていくものを用意する。この慌ただしい用意は大きな不安の原因となる。車に乗り込んでからも忘れ物の心配が頭から離れない。結局致命的な忘れ物は無かったのだけれど。夕食をほとんど食べなかったのでコンビニでいつもの寿司(稲荷寿司とか巻きずしがセットになったもの)とサンドイッチ。1リットルの「お〜いお茶」。この1リットルのお茶は大失敗。クルマのペット受けに入らないのだ。
 ラジオからは小堺一機の声。この人、確か私と同年代のはず。才気溢れて、また努力を惜しまない人生を送られている。同年代とはいえ、こちらとは雲泥の人でもある。3時になってNHKの「ラジオ深夜便」にする。この深夜の走行はなぜかしんとして物思うときなのだけど、ここに吉田拓郎の歌が流れるとは思いもしなかった。聞いている内に青春の悔悟の念が噴出してくる。突然、叫びたくなって、それでも暗い富士の裾野は自制せよと何者かの声に満ちている。

 すいすいとクルマの少ない東名を早朝4時前には沼津の市場に到着する。何度か来る内に魚市場の明かりが懐かしく感じられるから不思議だ。
 場内では底引き網の仕分けが行われている。今日もエビ類、ごそ(ハシキンメ)などが中心。ただし底引きの漁期ももうあと3日を残すのみ、量や種類も寂しい。ほどなく菊地利雄さんが来てくれる。今日の漁のことを知らせてくれて、そそくさと仕事に戻って行かれるが、いつも忙しいときに申し訳ない。
 沼津市場は細長く北からサバやイワシなどがあり、ついで各地から陸送された魚貝類、伊豆や静岡県内からのものと続いて、底引きの場所となり、その南がマグロの競り場である。
 底引きの場所を見ては、徐々に伊豆などの魚を見ていく。今日はキンメが多く、また名物とも言えそうなギラギラと輝くタチウオ。「いそもん(磯もの)」であるヘソアキクボガイの経6〜7センチもありそうなのが小山になっている。「これは大島じゃないかな」というが、沼津で見かける「いそもん」は圧倒的にヘソアキクボガイが多くてバテイラ(しったか)は少ない。
 沼津魚市場の山田さんのところにダンベイキサゴ(ながらみ)が置いてある。初めて、ながらみを食べたのは級友の郷里である、静岡県島田であり、「これ昔はおやつみたいだった」という話を聞いた覚えがある。静岡ではそれほどのとれていた、ながらみが今はほとんどとれない。今日のも九十九里から陸送されてきた。こんな立ち話をしている内に若い頃通った島田市の「かに柳」にもう一度行きたくなってきた。私はここで魚の味わいを覚えたと言っても過言ではない。
魚市場の戸田トロール担当服部さんおすすめの多津屋。ラーメンがおいしい



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