2004年11月11日
浜名湖三河の旅01 浜名漁業協同組合の雄踏支所
2004年11月11日から翌12日まで、浜名湖三河を旅しました。
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新久丸さんからは魚貝類の呼び名や漁のことを聞いた
鈴木瑞穂さん
たった2匹しかいなかった「どうまんがに(トゲノコギリガザミ)」
驚いたのはウシエビがとれていたこと
競りが終わるとすぐに誰でも魚が買える。仲買の海老仙さんにはほんの一握りほどのエビを買った。そのなかにはモエビ、ウシエビが混ざる
04/11.11 浜名湖三河の旅 01
雄踏町

 深夜1時15分に出発。南下する国道も東名も空いている。東名は集中工事で1車線のところも多いというのに、それでも浜名湖西インターを降りたのは3時半を少し超えた時刻。南下してやっと見つけたコンビニローソンに入ったらそこが雄踏町であった。雄踏町は浜名湖東岸にある町。ここで浜名湖の魚貝類を水揚げする市場を探す。浜名湖ロイヤルホテルの東側というのを聞いてぐるぐる回るが見つからない。こんなところで聞こえてくるのはNHKのラジオ深夜便。ちょうど有島武郎の話である。一面の農村というか闇の中では市街地すら見つけられないところに、どこか深とした話ではあるなと、それでもぐるぐる回って、仕方なく雄踏の市場を教えてくれた舞阪の浜名漁協協同組合の一瀬さんのいる舞阪に向かう。
 雄踏から舞阪までは30分足らずで到着する。舞阪の市場は浜名湖を海とつなげる今切り口の東側にある。地図から見当をつけるとなぜか行き着いてしまった。4時だというのに舞阪の市場に人影はない。やっと活魚車に魚を移していた人が一人。その人に雄踏の市場の位置を聞くと車の奥から出てきた人が地図に印を付けてくれる。なんとグルグル回って何度も通り過ぎていたところではないか? ここで底引きなどの競りの時間を聞くと今日はすべての漁が休みだという。
 ふたたび浜名湖に入る新川に架かる橋を渡り雄踏に戻る。浜名湖ロイヤルホテルを正面に見る交差点の角が浜名漁業協同組合の雄踏支所である。ここで少し仮眠をとる。車外から聞こえるのは車の過ぎる音だけといったなかに漁船のエンジン音が聞こえて、見ると小船が岸壁についている。大急ぎでカメラやメモを身につけて飛び出す。着岸していたのは新久丸といい定置網をあげてきたのであるという。生け簀にはコノシロ(大きい)、クロダイ、ニザダイ(稚魚)、ギンポ、ウナギとマアナゴ、クルマエビ、クマエビ、ヨシエビ、タイワンガザミ(ささがに)、ジャノメガザミが泳いでいる。水揚げは少なく寂しいなと思っていたら、ここでの漁は夏が本番であり、寒くなるとほとんど水揚げがないという。
 漁協内の競り場は奥が水槽になっていて、表にコンクリートのスペースがある。漁師さんや仲買のほかに近所の老人や主婦を見かけるのは競りが終わったら、その場で仲買から購入できるからだ。ここにはマハゼ(大きくて刺身になりそうだ)、シマウシノシタ(したびらめ)、キュウセン、スズキ(小さい)、ボラ、クロダイ、シマイサキ、キス、アイゴ。黒っぽいエビがザルに入っていてクマエビだろうかとのぞき込むとウシエビ(ブラックタイガー)ではないか? 30センチほどもある大物もいる。ヨシエビがいちばん多くて、クルマエビ、ウシエビ、クマエビ。カニはタイワンガザミが多く、ガザミとジャノメガザミが少し。
 浜名湖に来る前に「どうまんがに(トゲノコギリガザミ)」は見られますか? と何人かに問い合わせた。「どうまんは夏のもんだけーの。おらんだろ」という。それは最初に魚のことをお聞きした新久丸さんにも言われたことである。ところが競りがはじまってみると黒いザルの中に中型のものが2匹いるではないか? 
 漁獲されてザルに入れられて置かれた魚貝類はどんどん競りにかけられる。そして競り終わったものから一般の方が買っていく。最終的にはほとんどすべてが購入されて仲買が持ち帰るものはわずかなである。これでは中央の市場には行くわけがない。
 浜名湖には白州をはじめいくつかの小さな市場が点在している模様。そのどれもが一般の人が購入出来るのだという。これは雄踏からはじめて全部みたいなと思っている。

雄踏で採取した魚貝類の呼び名
クマエビ=あかあし(新久丸・45歳、市場内多数)
ウシエビ=からす(海老仙・仲買、市場内の男性)
ヨシエビ=ぼそ(市場内多数)
タイワンガザミ=ささがに(鈴木瑞穂さん 75歳)
ジャノメガザミ=上等兵(鈴木瑞穂さん 75歳) 三等兵(新久丸 45歳)
ノコギリガザミ属=どうまんがに(鈴木瑞穂さん・75歳、市場内多数) こうまる(市場内)
イシガニ=こうまる(海老仙・仲買)
スズキ=すずき(大小にかかわらず 市場内多数)
アイゴ=しゃくしゃ(市場内女性、あと何人か)
シマイサキ=しま(市場内女性)
シマウシノシタ=したびらめ(市場内女性)
ギンポ=へいたろう(新久丸 45歳) かみそり(新久丸 45歳)



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