2005年9月23日
糸魚川への旅02
能生漁港
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駅は平凡すぎる建物、そして隣が純粋なお土産屋である「ヒスイ王国」
老舗のそば屋であるが真冬に来て鴨南蛮でも食べたい雰囲気
加賀の井酒造の宝物。大樋焼きの鬼桶が間違いなく高いぞ
京屋分店の店先に置かれた「えごぐさ」と昆布。本家は隣の京屋。こちらはゆべしで有名
 ケータイを入れると家族は『ヒスイ大国館』という場所にいるらしい。糸魚川駅を目差しロータリーに入り、駅の有料駐車場にとめる。ここは30分無料、そして30分ごとに100円だ。
 駅に隣接するのが「ヒスイ大国館」。なかは間違いなく観光客相手のなんでも売ろう精神充満の施設。地元産でなくても、いかにもお土産品でも、雑雑と置いてある。こんなつまらん場所にいる必要はなかろう。と家族を連れだして糸魚川の街を歩く。
 駅から海にまっすぐ続く商店街はヒスイを売る店、お土産屋さん、食堂、食料品店に本屋があり、いたってありふれた風景である。それが雁木のある通りにくると俄然面白くなった。雁木の軒には可愛らしい絵馬が店事にあり、子供達は「猫だ、子供の絵だ」とはしゃいでいる。
 雁木通りに曲がったすぐに食料品店がある。まるで通路のような店で、酒も干物も日常の食料品も置いてある。その冷凍庫にヒメジの干物がありシールに「トチ魚」とある。これが糸魚川での収穫第一号である。そのまま進む店がどれも活気があり、奥が深く楽しげだ。100メートルも行かないのに洋菓子の店が2軒もあるというのも驚かされる。道の前を見ると古めかしいそば屋、赤い大きなロウソクの看板を掲げた、これも老舗。「お昼はお蕎麦に決定」と話していたら。小さな社があり、石像が置いてある。これは街のところどころにあり、七福神なのだ。その石像のある場所が「こだま食堂」という暖簾のない店。その引き戸を開けたくなって進むと自動ドアであった。
 中はがらんとして土間に3卓、小上がりに3卓。メニューを見てがっかり、カツ丼やカレー、ラーメンにチャーハン。まったくありきたりな街の食堂なのだ。空腹からカツ丼、家族はラーメン。太郎がチャーハンと注文すると、「焼きもの(チャーハンもそうなのだ)は出来ませんよ」と奥から声がかかる。このおばさん、思った以上にてきぱきと、客あしらいが気持ちよい。昼時でたて込んでいるのにほどなくやって来たのがラーメン。これを一口もらって、カツ丼を注文したのを後悔する。ラーメンがうまいのだ。店内を見回すと客のほとんどがラーメン丼を抱えている。これを目ざとく確認してラーメンを注文した家人が偉い。カツ丼はふたつき、その上にしょうゆがかかったたくわん。この味は普通だった。
 雁木の商店街を西に歩き、今度は道路を渡って東に歩く。道路を渡ったところに『マルエス酒店』という味噌屋さんを見つける。ここで「宝生みそ」(500グラム)480円、「謙信ワンカップ」200円を購入。そのまま東に向かうと『京屋』というロウソクや熨斗紙、水引を売る店、またすぐ東にも『京屋分店』という同じような店を見つける。この店先に、えご草と昆布を見つける。「えご」はオゴノリやテングサなどと同じく紅藻類の海藻で利用法も同じである。これらを使った料理は法事や葬儀など不祝儀で出すわけで、それで店先に置かれているのだ。ここで昔の水引やえごの話を聞き、その上品で饒舌なおばあさんからおしゃぶり用の昆布をいただいた。
 また東に歩いてすぐに「加賀の井」の酒樽、『加賀の井酒造』である。店内はかなり由緒がありそう。正面にガラスの大きな陳列ケースがあり、真ん中に大樋焼きの水差し。加賀前田家の紋があるのはどうしてだろう。ほどなく出てきたご主人に謂われを聞くと、江戸時代慶安期(1600年代中頃)の創業。また本陣でもあり、加賀前だけの宿所であったのだ。試飲させてもらった純米酒はやや辛口で切れがいいので720ミリリットル1420円を購入した。
 かなり歩いたのだけれど、街が面白くて疲れを感じない。また駅前通りを超えて今度は寺町通りに入る。『加賀の井酒造』で車麩をつくる『かざま屋田鹿麩店』を教えてもらったためである。寺町通りに入ってすぐ相馬御風の旧宅がある。相馬御風は「春よこい」「カチューシャの唄」の作詞者、歌人として有名だ。そこを過ぎてすぐにみそ屋さんを発見。ここで味噌500グラム220円を購入するが、ご主人の「ヒスイ話」があまりに熱心なので店名など撮影しないで来てしまった。使い込んだ「もろぶた」があり店の奥が深い。歴史のありそうな店なので残念だ。
 駅までもどって、駐車代金300円を支払う。2時間以上歩いたことになるのだ。
 駅の側に地元系と思われる『ナルス』というスーパーがある。旅行をすると必ずスーパーには立ち寄ることにしていて、時間が気になったが入ってみた。魚売り場にはニギス、ハツメ、ブリの幼魚、ノロゲンゲ、ツバイが売れれている。ハツメ=「あから」カッコして「がんぞ」、ブリの幼魚、関東でのいなだ=「つばいそ」(これは石川産なので地元の名前ではないかも)、ツバイ=「ばい」、ニギス=「めぎす」、ノロゲンゲ=「げんぎょ」であった。



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