2004年10月7日
三河の旅 02 一色魚市場
2004年8月7日から翌8日まで、愛知県幡豆郡一色町を旅しました。
三河の旅目次へ! ■市場魚貝類図鑑

市場に入るなり目に飛び込んだシマセトダイ。これは目立たないが珍魚の部類
天然のしかもこれだけ型のいいクルマエビ。築地場内で買ったら2万円以上。とうてい買うことは出来ないだろう
一色で目についたのが三河女の魅力である。目立たぬところでよく働いて、しかも皆、美人揃いではないか? これじゃ三河の男もさぞや働きがいがあるだろう
この日は台風が南海上で北東に向きを変えた日。海はにわかに悪くなって雲行きも乱世とでもいおうか?
04/10.07 02

 港への道に入ってほどなく右手に「一色さかな広場」が見えてきた。そして正面の煌々とした明かりのなかにかなりの人影が黒く立ち働いている。港を左に見てすぐ右手に大きな駐車場がある。ここからは押っ取り刀で駆けつける堀部安兵衛ではないが、長靴を履くのがもどかしい。カメラとメディア、予備の電池、メモ、ペン。必要なものをポケットに入れるその一時の長いこと。
 車を止めて見ると駐車場の奥が、「一色さかな広場」、駐車場の隣、闇に明るく浮かんでいたのがハモニカ状に並ぶ仲買の店舗であった。そしてその前には木の扉を開け放して長い建物があり、開いた扉の先の闇の中に漁船がもやっている。ここが一色の魚市場だ。
 入るやいなや、じゃーじゃー流しっぱなしの海水に木箱を浮かべて漁獲物を選別している。中をのぞくと小エビやクルマエビに、初めて見るエビが混ざる。地元で「みずひき」というこの美しいエビの正体はまだ判明しない(たぶんフトミゾエビではないか?)。市場のあちらこちらで、先の岸壁の闇の中でたくさんの人たちが漁獲した獲物を選別している。それを転々と見て回る。
 小エビやヨロイイタチウオの中に黒っぽい魚が混ざり、これが探していた魚、またぜひとも食べてみたいと思っていたシマセトダイ。これをとった船を探していると親切にもそれをもらい受けてくれた人がいて、その人はそのまま岸壁の闇に消えてしまった。こんど来たらお礼を言わなければ。そのかたわらで飯塚さんはトウヨウホモラをひろい、木箱のなかにザルガイを発見する。魚ではイラ、カイワリ、カワハギ、コノシロ、アカエイにメイタガレイ、ヨメゴチ、ルソンベニテグリ、ギンアナゴ、マアナゴ、タチウオにイネゴチ、アカササノハベラ、マダイ、ゴンズイ、アオヤガラ、ホタテウミヘビ。列挙するときりがない。甲殻類では今ではめったに見ることが出来ない甲羅の幅30センチ近いガザミ、ジャノメガザミ、イボガザミ、サルエビ、ヨシエビ、ナミクダヒゲエビ、今回見た、また今回持ち帰った小エビを同定するだけで年末まで作業が続きそうだ。
 面白いのは、ここ三河一色において女性は社交的で明るく男性はどちらかというと寡黙であるということ。これは何度か来れば印象が一変するかもわからないが、第一印象としてここに留めておきたい。

 これらのほとんどすべてが底引き網で漁獲されたもの。同じ底引き網でもエビをねらうもの。魚をねらうものと時期があるのかも知れない。この日には確定は出来ないが数種類のアカエビ属の小エビがカゴに山と積まれていた。これが一色名物の海老せんべいの原料となる。当地では「あかしゃえび」というがアカエビ属のアカエビだけではない数種類のエビを指すようである。 エビが多い中でも特に驚かされたのは、大きなクルマエビが木箱いっぱいに並べられていること。近年、減少の一途をたどっているクルマエビは東京湾ではまったくの幻のエビになっている。ましてや30センチ近いものが、こんなに並ぶのは壮観ですらある。
 エビやカニ、そして数々の珍魚に驚かせられながらもまったく見つからないものがアサリである。一回りしてやっと2箱見つけたものの、ここには誰もいない。アサリに関しては明日を待つしかない。アサリと反対側にシジミが並んでいる。これは矢作川でとれたもの。
 興奮して、疲れを忘れていたのが、2周ほど巡る内に眠気と腰痛がどっと体を包んできた。市場の岸壁から海を渡る橋が見えてその先が白々と明けてきた。朝焼けに赤く染まってそこには黒雲が立ちこめている。「今日は出船しますか?」と水揚げする方たちに聞いて回ると、何隻かすでに出ているが、出る船は少ないだろうと言う。港の外は台風のうなりが出てきている模様だ。季節はずれの台風22号は急速に東北に進んできている。
「昨日も出たのは3割くらいかな」
 楽しそうに選別していた大夫久丸の女性ふたりが教えてくれた。昨日出たというのは、まさに今選別しているものであって、これで3割っていうのが飯塚さんともども信じられない。
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堀淳さんの
『一色市場へようこそ!』へ!



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