イイダコ 掲載種番号025

 釣りの世界では東京湾のイイダコ釣りは有名である。漁業的にも底引きのある千葉県内房、神奈川県三浦半島東部などで水揚げされておりけっして少なくはない。その意味ではこれもまた「江戸前のさかな」と言える。ただし市場などへの入荷は少なく、値段もやや高いようである。
 市場に多いのは国産では東北太平洋側、瀬戸内海、三河湾、有明海、東シナ海のもの。これが寒くなってくるととたんに市場に入荷してくる。
 秋から入荷してくるものの初期にはけっして飯(いい)を持っているわけではない。やはり旬は年を越して飯(いい)を持つようになってからとなるだろう。なぜだか不思議なのは西日本でとれるイイダコにはたっぷり飯(いい)があり、北でとれるものには少ない。当然、メスであって西日本のものが高値となる。

 これは関東の市場に見られるものは本来は千葉県、茨城県、福島県などのものであったと思われる。この底引きのある産地では秋から冬にかけてまとまってイイダコがとれる。これが厳冬期になるとイイダコのいる浅い場所をひく船が、ヒラメの刺し網になり、また同じく底引きでもズワイやケガニを狙うことが多くなるので産地が西日本に移るのだと思う。当然関東ものの最盛期には飯(いい)を持っていない。だから関東では飯(いい)には無関心とまではいかないがこだわらなかった模様だ。
 関東の一般家庭ではイイダコと言ったら甘辛く煮るものと決まっている。例えば秋から冬にかけての祭礼や寄り合いなどには根菜類と煮染めてしまう。だから一般の魚屋でも比較的“売れる”ものだったという。
 それがオリンピック以後に大量に関西料理が進出してきてからは飯(いい)へのこだわりが出てきた。そこに流通の発達によって西日本のものも入荷するようになる。当然、イイダコ本来の持ち味“飯(いい)”に感心が深まるのだ。

 鮮魚のイイダコにも東シナ海の底引きものがあり、中国から輸入されている。加えるにタイやベトナムのコツブイイダコの大量輸入がある。この値段の安い輸入物のために国産ものの値が低く抑えられている。イイダコにも産地による差別が必要となっているように思える。例えば「アカガイは閖上」というなら瀬戸内、三河とか産地にこだわって売るべきものだ。

■この項書き改めていく
■市場魚貝類図鑑・イイダコのページに
東京のさかな目次へ
↑香川県志度から入荷したもの。太田市場から八王子綜合卸売センター『高野水産』

東京での呼び名/イイダコ
東北以南/青森、福島などから南が産地。特に多いのが底引きのある福島県茨城県など。そして三河湾、瀬戸内海
旬/冬から春
多い/中国などからの輸入も含め多い。またタイなどから別種のコツブイイダコも入荷している
安い/値段は1000円前後。
一般的/関東では甘辛く煮てお総菜にする。また料理屋などでも冬から春にかけてなくてはならない
築地←東南アジアから輸入されたイイダコ。たぶんコツブイイダコだと思われる



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