ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

マルタニシ(英名/Mud-snail)

学名:Cipangopaludina chinensis laeta (Martens,1860)

代表的な呼び名タニシ

マルタニシの形態写真

殻高40ミリになる。丸みが強い。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★★★

    知っていたら学者級

    ★★

    地域的な水産物、嗜好品的なもの

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    軟体動物門腹足綱前鰓亜綱原始紐舌目タニシ超科タニシ科タニシ属
    外国名
    英名/Mud-snail
    学名
    Cipangopaludina chinensis laeta (Martens,1860)
    漢字・由来
    漢字 丸田螺
    由来・語源 タニシで丸みがあるものの意味。
    田に棲む貝の王様という意味合いで「田主」が「たにし」になった。
    裸足で入ると足の裏を痛める田の中の石になぞらえて「タノイシ」といったのが「たにし」に転訛。
    地方名・市場名
    ゼゼラタニシ、ターンナ、タニシ、タヌシ、タネシ、タビナ、ツブ、ツブッコ、ツボ、ツボッコ、ツボドン、バア。
    アイヌ語でトル・モコリ。
    タニシ科総称。
    アンビター、イエカルイ、イヤノコトコト、ウスバイ、オツボ、カイツブラ、カサメ、カタッタ、カワニナ、カワミナ、ガンダ、ガンダツボ、カンピィタ、カンピタ、クソビナ、コーチ、コビナ、シタミ、ターインナ、タアアンナ、ター・シィタミ、ター・シタミ、ター・シィダミ、ターシダミ、ターツボ、ターニシ、ターブラ、ターミーナ、ター・ミナ、タームーナ、ターンーナ、タァンナ、ター・ンナ、ターンマ、ターンミャ、タイシ、タイナ、タガイ、タゲ、タゴーナ、タシダミ、タチボ、タチンブ、タッカリ、タッツブ、タッナ、タツブ、タヅブ、タツベ、タツポ、タツボ、タヅボ、ダツボ、タッボー、タヅボー、タツボックリ、タツンボ、タツンボー、タデナ、タナシ、タニイシ、タニーシ、タニシドン、タニナ、タヌシ、タネイシ、タネシ、タネツボ、タノイシ、タノシ、タノシツブ、タノス、タノセ、タノツブ、タバ、タバイ、タヒナ、タミーナ、タミナ、タムシ、タンコロガシ、タンシ、タンシー、タンショ、タンツー、タンツボ、タンナ、タ・ンナー、タンナー、タンニャ、タンヌシ、タンノシ、タンビナ、タンボックラ、タンボロ、タンマ、タンマー、タンミナ、タンミャ、タンヤ、チブ、チバ、ツブ、ツブカイ、ツブケァ、ツブメ、ツブラ、ツブロ、ツボ、ツボサン、ツボドノ、ツボドン、ツム、ツンブ、ニシ、ニシツボ、バア、バイ、ビナ、ビンノジ、ホウジャ、ホウジョウビナ、ミナ、モゴリ、モココリ、ヤサラ。
    生息域
    淡水生。北海道以南、沖縄。
    田や流れのない水路、ため池。
    生態
    雌雄異体。
    触角が長く発達し、右が陰茎になる。
    春に右の触角を雌の膣に挿入し交尾。
    雌は育児嚢を持ち、卵胎生で6月から7月に子貝を産む。
    基本情報
    タニシは古くは日本各地、特に山間部などで貴重なタンパク源、また嗜好品的な役割を担っていた。
    特にマルタニシはタニシの中でももっとも味がよいとされていた。
    まことに慎ましやかな食材だが、タニシの味を懐かしむ声は今でも聞こえる。
    これが農薬や水路の整備などで激減。
    近年では高価なものとなっている。
    また食用としては非常に地域的な産物となってしまって、特殊なものといってもいいだろう。
    産地である滋賀県琵琶湖などでは現在でも魚屋などに売られている。
    水産基本情報
    市場での評価 ほとんど入荷しない。入荷しても剥き身となっている。高価。
    漁法 不明
    産地 滋賀県
    選び方
    むいたものは古くなるとべとつく。
    味わい
    旬は寒い時期
    基本的に一定期間きれいな水のなかで泥抜きする。
    泥抜きすると臭みはあまりなく、旨みが強い。
    貝殻はやや硬く、割って身を取り出すことは難しい。
    一般的にはゆでて、身を取り出す。
    また汁にするときは丸のままという地域も多い。
    体内に子貝を抱えていることが多いが、このガリっとした食感を喜ぶ地域と嫌がる地域がある。
    いいだしが出て、シジミに負けない味わい。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    調理法
    みそ汁、みそ煮、しょうゆ煮(いり煮)、酢みそ和え(ぬた)
    マルタニシのみそ汁みそ汁
    非常に旨みの強い、クセのないだしが出る。子貝を持っている時期と、持っていない時期で味わいが違う。安曇野市豊科では古くから殻つきのままみそ汁にし、子貝の貝殻がガリガリいうのをよしとしていた。
    マルタニシのみそ煮みそ煮
    しょうゆよりもみそで煮て上。筋肉の味は淡水貝ではもっともよく、ほんのわずかに泥臭みを感じる。これとみそが相乗効果的によい味わいを作り出す。しょうがよりも山椒との相性がいい。
    マルタニシの醤油味の山椒いり煮しょうゆ煮
    少量のしょうゆ、酒、みりんなどで炒りつけるようにするのもいい。山椒かショウガをたっぷり風味付けに使う。
    ネギとマルタニシの辛子酢味噌あえ酢みそ和え
    ゆでて辛子酢味噌で和えても美味。ワケギ、白ネギなどを合わせる。
    好んで食べる地域・名物料理
    日本各地。
    みそ汁 長野県安曇野
    ツブとひろこの酢みそ和え 秋田県八郎潟、秋田市。ツブ(タニシ)とヒロコ(アサツキ)をゆでて酢みそで和えたもの。『いなかの食卓 秋田だより』、『聞書き 秋田の食事』
    ツブ貝焼き 秋田県八郎潟、秋田市。ツブ(タニシ)とネギ、山菜などとホタテガイの貝殻(もしくは小鍋)で似たもの。しょう油仕立て、みそ仕立てがある。『いなかの食卓 秋田だより』、『聞書き 秋田の食事』
    つぶの干物 ゆでて干したもの。秋田県横手市。『聞書き 秋田の食事』
    ●タニシ類共通。
    加工品・名産品
    たにし佃煮(たにし煮) タニシのむき身をしょうゆ砂糖などで煮たもの。山椒がきいてうまい。[魚友商店 滋賀県高島市今津、魚三 滋賀県長浜市]
    たにしみそ煮 みそ煮のタニシを瓶詰めにしたもの。[いかだ焼本舗 千葉県香取市]
    釣り情報
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ 春の歳時記、季語。
    【ひな祭りの膳】
    ■ 「あさりご飯につぼのみそ汁と、おかいこ切り干し、里芋、にんじん、ちくわ、油揚げの入った煮しめ、それにうるめいわしの開きとあさり(干もの)の串ざしなどを並べる」[恵那平野]『聞き書 岐阜の食事』
    ■ 「おひなさまには、ちらしずし、わけぎとつぼ(たにし)の味噌あえ、白酒、菱餅……あさりの身の串刺し(アサリを串に刺し干したもの)、はまぐりの吸いもの」[名古屋市紙漉町(西区)『聞き書 愛知の食事』]
    ■ タニシの節句〈4月18日は「タニシの節句(田螺の節句)」といって仕事(農作業)は休みであった。この日、田に入ると怪我をするといって仕事を休み、餅をついたものであった。【千葉県成田市】〉『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)
    ■ 蕪村の俳句に「なつかしき津守の里や田螺あへ」というのがある。
    ■ タニシは鳴くと信じられていた。「タンキ、ポンキ、タンコロリン」と鳴くとされた。
    ■ 「4月27日、鎮守・諏訪神社の祭りにツブとヒロッコの酢みそ和えを必ずつける」秋田県八郎潟周辺。『聞書き 秋田の食事』
    ■ 秋田市のことわざ「ごまとツブの食い合わせは悪い」。『いなかの食卓 秋田だより』
    ■ 滋賀県中主町(野洲市)ではかつて旧暦の桃の節句に、タニシをとってきて、女の子の成長を祝った。
    ■ 山梨県では稲刈りの後にタニシとりをする。そのとき「つぼ採りは窪い処」といいながらつぼ採りを始める。『山梨の郷土食』
    ■ 「たにしもなまぐさの肉」『夢蛤 電子版』(大阪市自然史博物館)
    ■ 「やみ夜にたにし拾い」『夢蛤 電子版』(大阪市自然史博物館)
    ●マルタニシ、オオタニシ共通。
    ■ 「安養寺」というお寺が安原にある。このお寺の開山さんは法燈国師さんと云う中国へ留学した名僧で、信州みその生みの親として有名である。
     後の住職が、開山堂を池の南に建てこの名僧の像を安置した。ある年のこと、中国に大火があった。その時、開山堂の像は池の中に入って、声を立てながら西の方へ水をかけた。集まってきた人々が見たら、開山さんの像のお尻が焼けてしまったと云う。
     それ以来、この池にすむタニシはお尻が焼けたようにとれてしまった! 今も開山さんの像はあるが、お尻は…? 年々、大きくなるという鎌倉石、葵の御紋のある寺宝など謎につつまれている不思議なお寺である。(佐久商工会議所引用)
    ■ 西行とタニシ。
    ■ 奥平神社例大祭は、長篠合戦(1675)の前哨戦長篠城籠城戦において、奥平信昌が籠城中に兵糧が尽き、堀のタニシを食べてしのいだ。この籠城線で家名をあげたことに由来する。武者行列とタニシの奉納などが行われる。
    参考文献・協力
    『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『歳時記語源辞典』(橋本文三郎 文芸社)、『語源海』(杉本つとむ 東京書籍)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『日本産淡水貝類図鑑 1 琵琶湖・淀川産の淡水貝類』(紀平肇、松田征也、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『日本産淡水貝類図鑑 1 琵琶湖・淀川産の淡水貝類』(紀平肇、松田征也、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『日本産淡水貝類図鑑 2 汽水域を含む淡水貝類』(増田修、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『山梨の郷土食』(依田萬代 山梨日日新聞)
  • 主食材として「マルタニシ」を使用したレシピ一覧

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