ナガニシ

Scientific Name / Fusinus perplexus (A.Adams,1864)

ナガニシの形態写真

SL(殻高)20cm前後になる。水管が細く長く擬臍孔がない。各層の糸状の螺肋があり、縦肋が肩で角張る。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    動物門軟体動物門腹足綱前鰓亜綱新生吸腔上目新腹足目アクキガイ超科イトマキボラ科ナガニシ亜科ナガニシ属

    外国名

    学名

    Fusinus perplexus (A.Adams,1864)

    漢字・学名由来

    漢字 長辛螺、香螺、長螺(naganisi)
    由来・語源
    『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 平凡社 正徳2年 1712)、『本草綱目啓蒙』(小野蘭山)より。長細い巻き貝の意味。
    ■ 〈俗に長螺(ながにし)、倍奈太礼(へなたれ)という〉、〈いまは夜啼螺(よなき)、また豆布(つぶ)という〉『和漢三才図会』
    夜泣き貝」の語源・由来
    1 広島県では夜泣きの薬としたため。
    2 千葉県では赤ん坊が引きつけを起こしたとき枕元においた。
    3 岡山県川上町(現高梁市)では夜泣きするとき、これを食べさせる。着物の襟につける。
    4 江戸時代初期に書かれたとされる『料理物語』にも「よなき(夜泣き)」として登場している。
    模式産地 千葉県館山

    地方名・市場名

    生息域

    北海道南部から九州、朝鮮半島。水深の浅い砂泥地に棲息。

    生態

    産卵期は春。20個ほどの「ウミホウズキ(海酸漿)」と呼ばれる卵囊に産卵する。
    孵化してトロコフォア幼生、ベリジャー幼生を経て稚貝になる。

    基本情報

    日本各地の浅い海域にいる。
    本種を三浦半島で見つけて初めて食べたときに、あまりの苦さに驚いた。これは煮て食べたので、えぐみのある内蔵も食べてしまったためだ。貝殻のまま煮る、焼くのは不可だと思う。熱を通すには剥いて身(足)だけにしてから熱を通すしかない。基本的に生で食べるべきであるのは、1990年前後に初めて知る。
    広島県で「夜泣き貝」は好んで食べる。当然、高価である。
    また県内のナガニシの減少によって、島根県など山陰から近縁種であるコナガニシを買い求めている。
    注/内臓は食用不可

    水産基本情報

    市場での評価 調べた範囲では食用としている地域は少なくないが、一般的なものとなっているのは広島市周辺のみ。値段は広島では高く、他の地域では安い。
    漁法 刺し網、底曳網
    主な産地

    選び方

    原則的に生きているもの。

    味わい

    旬/秋から春
    貝殻は薄いが非常に硬い。ふたは薄い。ワタ(内蔵)は苦みを持つ、いがらっぽい。
    調理する際にはむき身にして筋肉部分だけを使う。
    足は食感がよく甘く、味がいい。
    注/内臓は食用不可

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ナガニシの料理法/刺身
    ナガニシの刺身
    ナガニシの刺身 貝殻は割るしかない。食べられる部分は足のみ、ワタには強いえぐみがある。足の部分にはヌメリが少なく、単にもみ上げるだけで生臭みなどは取れる。よく水洗いして水分をきり、これを適宜に切る。強い甘味と巻き貝らしい風味がある。コリコリとした食感が楽しめる。

    好んで食べる地域・名物料理

    広島県

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/出口典夫さん(熊本県上天草市)
    『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)『本草綱目啓蒙』(小野蘭山 東洋文庫 平凡社 文政12 1829)、『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 平凡社 正徳2年 1712)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局)
  • 主食材として「ナガニシ」を使用したレシピ一覧

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