ドクウロコイボダイ

Scientific Name / Tetragonurus cuvieri Risso,1810

ドクウロコイボダイの形態写真

36cm SL 前後になる。頭部は小さく、断面は四角く細長い。強い鱗が石畳状に並ぶ。口はショベル状。尾柄部に2本の隆起が縦平行に並ぶ。背鰭棘は16-19。
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36cm SL 前後になる。頭部は小さく、断面は四角く細長い。強い鱗が石畳状に並ぶ。口はショベル状。尾柄部に2本の隆起が縦平行に並ぶ。背鰭棘は16-19。36cm SL 前後になる。頭部は小さく、断面は四角く細長い。強い鱗が石畳状に並ぶ。口はショベル状。尾柄部に2本の隆起が縦平行に並ぶ。背鰭棘は16-19。36cm SL 前後になる。頭部は小さく、断面は四角く細長い。強い鱗が石畳状に並ぶ。口はショベル状。尾柄部に2本の隆起が縦平行に並ぶ。背鰭棘は16-19。口はショベル状。尾柄部に2本の隆起が縦平行に並ぶ。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度


      食用として認知されていない
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目イボダイ亜目ドクウロコイボダイ科ドクウロコイボダイ属

    外国名

    学名

    Tetragonurus cuvieri Risso,1810

    漢字・学名由来

    漢字 毒鱗疣鯛 Dokuurokoibodai
    由来・語源 イボダイの仲間で、鱗が目立つため。阿部宗明が福島県小名浜で揚がった個体で命名した。毒はアントワーヌ・リッソ・リッソの論文による。
    ■アメリカのRandall (ジョン・アーネスト・ランドール/1958)は「ニースの博物学者、Risso(アントワーヌ・リッソ・リッソ)は、地中海で本種を食べて、過去に2回、激しい胃痛と膨張、咽の熱感に悩まされたという。Rissoはこの魚の毒性を、クダクラゲ目であるStephanomiaを餌にしていることに起因するとしているするとしている(1810)。Randall はカリフォルニアの個体では毒性は認められなかったが、胃内容物にクラゲがあったと記載している (1958)。いずれにせよ、胃内容物に未消化の触手があって、それを含めて食べた場合に、未発射の刺胞が発射した可能性がある。あるいはこの魚が刺胞を保有する能力があるのだとしたら、刺胞による上記症状が出る可能性もある。以上、和田英俊さん、国立医薬品食品衛生研究所の大城直雅氏などからの要約。また大城直雅氏問い合わせていただいた本村浩之氏に感謝します。
    〈地中海では有毒であったと記録されているが、日本では試みたことがない。最近アフリカでも獲れてSmith教授が詳しい報告をして居られるが、毒の試験はしていない。我国に更に一種ある。〉『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)
    Risso
    Antoine Risso(アントワーヌ・リッソ 1777年〜1845年)、ニース生まれ。薬学・博物学者。著書に『Ichthyologie de Nice(ニースの魚類学)』がある。多くの魚類の記載をした。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。中層遊泳性。
    北海道北東海域以南、[岩手県宮古沖]、[駿河湾沼津]。
    世界中の熱帯・温帯海域。

    生態

    毒がつくので毒を持つ魚と思いがちだが、毒のあるなしははっきりしない。
    過去に1個体、2022年6月に4個体食べているが、体には異常がなかった。といって無毒とは明言できないでいる。珍魚中の珍魚で、毒の研究もなされていないのが残念である。

    基本情報

    数年に数匹揚がるかどうかという珍しい魚である。当然、一般的な食用魚ではなく、毒のあるなしもはっきりしないでいる。本種を記載したニースのリソは食べて激しい胃痛などに悩まされたといい、アメリカのランドールは毒性はなかったなどしている。結局のところ毒性の科学的な研究はなされていない。阿部宗明は明らかにリソの論文をみて「毒」を冠したものの、別に毒性を確認したわけではない。
    ちなみに個人的に3個体を一度に食べてみたが、問題は起きなかった。ランドールは消化器には未消化のクラゲがあり、それが原因ではないかとしている。今回は内臓は食べなかったので、その点でも不明である。原則的にあまり揚がらない魚の内臓は食べない方がいいということも明記しておきたい。
    現在のところ毒性は不明なので、もしも食するなら自己責任で

    水産基本情報

    市場での評価/流通しない。
    漁法/底曳き網
    産地/岩手県、静岡県

    選び方

    味わい

    旬などは珍魚中の珍魚なので不明。
    鱗は硬く取れない。皮は鱗ともども引いてしまうので不明。骨は柔らかい。
    白濁したマナガツオを思わせる白身で、熱を通しても硬く締まらない。とても脂が多い。
    クラゲ類の刺胞がたまっている可能性があるので、内臓はていねいに取り、洗い流す。

    栄養

    危険性など

    阿部宗明は地中海での個体に毒があったとして、和名に「毒」をいれているが、毒性は不明。
    現在のところ毒性は不明なので、もしも食するなら自己責任で

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ドクウロコイボダイの料理法・レシピ・食べ方/焼く(塩焼き)、揚げる(フライ)、生食(刺身)、煮る(煮つけ)、ソテー(ムニエル)

    ドクウロコイボダイの塩焼き 鱗を取らないで水洗い。内臓は必ずきれいに取り去る。水分をよくきり身側に振り塩をして1時間以上寝かせる。表面から出て来た水分をよく取り、じっくり焼き上げる。焼くと身はやや締まるものの小骨が少なく身離れがいい。独特のうま味があってとてもうまい。うまいので少々食べすぎてしまった。

    ドクウロコイボダイのフライ 鱗をつけたまま三枚に下ろす。鱗ごと皮を引き、腹骨・血合い骨を取る。塩コショウして小麦粉をまぶし、衣(卵・小麦粉・少量の水・少量の油。溶き卵でもいい)をからめ、パン粉をつけて高温で揚げる。熱を通すことで適度に筋肉内の脂がとけくどさが消える。食べやすく、冷えてもおいしい。
    ドクウロコイボダイの刺身 例えるならメダイに近い身質で、脂が非常に強い。鱗はとれないくらいに硬いので水洗いして三枚に下ろす。鱗を皮ごと引き、血合い骨・腹骨を取り、刺身状に切る。毒成分のあるなしを試すために半身全部を食べてみた。脂が強くとろっとして甘味を感じるが少しくどく感じる。
    ドクウロコイボダイの煮つけ 水洗いして三枚に下ろす。皮を引き、湯通しする。冷水に落として表面のぬめりを流して、酒・みりん・醤油・水で煮る。煮ると適度に締まり、嫌みのない味わいになる。
    ドクウロコイボダイのムニエル 水洗いして三枚に下ろし、鱗ごと皮を引く。塩コショウして小麦粉にまぶして、多めの油でじっくりソテーする。仕上げにバターで風味づけする。脂の多い身でソテーしても硬く締まりすぎない。バターとあいまってとてもうま味豊かになる。ややくどい気がするが、好きな人は好きな味だと思う。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田母神真広さん(福島県郡山水産/福島県郡山市 ■http://www.ko-suisan.co.jp/)
    同定/和田英敏さん(神奈川県立生命の星・地球博物館)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 2013年02月26日)
  • 主食材として「ドクウロコイボダイ」を使用したレシピ一覧

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