セイヨウハバノリ

Scientific Name / Petalonia fascia (O. F. Müller) Kuntze, 1898

セイヨウハバノリの形態写真

幅6〜12センチ、幅1.5〜2.6センチになる。

    • 物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    植物界褐藻植物門褐藻綱カヤモノリ目カヤモノリ科セイヨウハバノリ属

    外国名

    学名

    Petalonia fascia (O. F. Müller) Kuntze, 1898

    漢字・学名由来

    漢字 西洋羽葉海苔
    由来・語源 鳥の羽のような形の葉をしたノリという意味。西洋は大西洋にも生息するから。もしくは模式標本が大西洋のものであるためか。

    地方名・市場名

    コナ
    場所石川県輪島 参考文献 
    ハバ ハバノリ
    場所千葉県白浜、神奈川県小田原、京都府 
    ハンバノリ[はんば海苔]
    場所静岡県伊豆 
    カシカメ
    場所島根県出雲地方 

    生息域

    海水生。潮間帯下部の岩や杭。
    日本各地沿岸。朝鮮半島、シナ海、マレー半島、ポリネシア、アメリカ太平洋岸、インド洋、大西洋。

    生態

    基本情報

    日本各地の潮間帯に普通に見られる。ハバノリとセイヨウハバノリを区別するのは非常に難しく、採取している人も区別していない。
    当然、「はばのり」と言われているものは標準和名のハバノリだけではなく、ホソバノセイヨウハバノリ、セイヨウハバノリなどで1種類ではない。地域によって種が違い、また混ざっている可能性もある。
    11月下旬から春までとれる。秋から初冬までのものを上ものとする。これを生で食べることはなく、基本的に板状に伸ばして干す。基本的に葉を刻まないで干す地域が多い。
    あぶって食べるもので、醤油をかけてご飯にのせて食べるのが基本。
    徳島県、島根県、三重県(鳥羽市)などで養殖の研究が進む。


    ハバノリ養殖(セイヨウハバノリ養殖) 鳥羽市水産研究所のセイヨウハバノリの試験養殖。海藻類の養殖は狭義の養殖ではなく、自然に優しく、水質の改善なども望める。

    水産基本情報

    市場での評価 希に乾物として入荷してくる。非常に高価。
    漁法 採取
    産地 日本各地

    選び方

    乾製品の場合、よく乾燥している。触ってごわごわとしたものはダメ。干し上げた葉の小さいものがよい。

    味わい

    晩秋頃から採取が始まる。初期のものが細くあぶって柔らかく質はいい。
    生は産地などで自家消費、もしくは少ないながら売られている。これは、ゆでる、汁にする。
    板状に干したものが普通で軽くあぶって食べる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    セイヨウハバノリの料理法・調理法・食べ方/焼く(あぶる)、煮る(煮る、湯通し)、汁(吸物、みそ汁) ■ハバノリ、セイヨウハバノリは共通

    ハバノリのあぶり(セイヨウハバノリのあぶり) 板状のものをあぶると鮮やかな緑に変わる。くすんだ緑になる場合もあるが、味は変わらないと思う。磯(海藻)の香りが強く、このまま食べても香りと海藻のうまさが堪能できる。[島根県出雲市の「かしかめのり」]


    ハバノリのあぶり(セイヨウハバノリのあぶり) 初冬につんだハバノリで作った干しのり。軽くあぶって食べると香りが高く、ご飯などとの馴染みもいい。
    かしかめのりのばくだん(セイヨウハバノリのおむすび) 島根県ではあぶった「かしかめ」で大きなお握りを包む。これを「ばくだん」というが、温かいご飯と接触したハバノリの香りの高さは官能的ですらある。
    ハバノリの握り飯(セイヨウハバノリのおむすび) ハバノリをあぶり、手でもみほぐしてご飯に混ぜてお握りにしたもの。温かい内は香りが高く、冷めてもおいしい。
    ハバノリの吸物(セイヨウハバノリの吸物) 生のものは希に産地などで売られている。これを吸物に入れると、ワカメなどよりも柔らかく、海藻らしいおいしさも楽しめる。
    ハバノリのみそ汁 ワカメ同様にみそ汁の具にして、適度な海藻らしい食感とうま味がある。適当に切り、温かいみそ汁に放つと鮮やかな緑になる。柔らかくてとてもおいしい。
    ハバノリの湯引き(セイヨウハバノリの湯引き) 軽く水洗いして、水分をよくきる。これを湯に通すと鮮やかな緑に変色する。氷水などに入れて粗熱を取り、水分をよくきる。ポン酢でも生じょうゆでもお好みの食べ方で。
    ハバノリのしょうゆ煮(セイヨウハバノリのしょうゆ煮) 生が手に入ったら軽く水洗いして、砂などを流す。水分をよくきり、しょうゆ・酒でさっと混ぜるようにして煮る。ワカメなどと同様に柔らかくとてもおいしい。

    好んで食べる地域・名物料理

    基本的に干しのりを使う。


    はば飯、かしかめ飯 千葉県、神奈川県、静岡県、三重県、島根県など。板状にして干したハバノリを軽くあぶって、醤油をかけ、ご飯にのせたもの。もっとも一般的な食べ方でもある。
    ハバノリをよく食べる地域では焼いた餅をあぶったハバでくるんで食べる。
    はば雑煮 千葉県、神奈川県などで雑煮の上からあぶった「はば」をのせる。「はば」の香りを楽しむもの。

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真ハバノリのあぶり方
    スレンジで魚焼き器などをのせてあぶってもいいが、最新の機器は熱すると、火が弱まってしまうのでやりにくい。  むしろオーブントースターで火の通り加減を見ながら・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    干しハバノリ 基本的に採取して刻むことなく板状にして干し上げる。日本各地で作られている。
    かしかめのり 島根県出雲地方ではハバノリ、セイヨウハバノリを刻むか、そのまま干す。岩海苔(ウップルイノリ)混じりのものもある。写真はウップルイノリが混ざったもので生産量は非常に少ない。クロノリ(スサビノリ、アサクサノリ)ほどは柔らかくなく、香りも強い。
    はばのり(はば) 千葉県、神奈川県、静岡県では原藻を広げて干し、束ねて売る。年々束ねることがなくなり、1枚ずつになり、値上がりしている。香りが強く、正月にはなくてはならないものだ。

    釣り情報

    冬季にメジナ、ブダイ釣りのエサに利用されている。

    歴史・ことわざ・雑学など

    磯餅海苔 江戸初期延宝年間(1600年代後半)の『いとなみ六ぽう』の「おごうり」の売り声にワカメ、昆布などに混ざって「むぎわらのりいそもちのり」というのが出てくる。この「むぎわらのり」がカヤモノリ、「いそもちのり」がハバノリかも知れない。参考文献『海藻』宮内章 法政大学出版局
    縁起物 千葉県、徳島県などでは「幅を利かせる(はばをきかせる)」にかけて縁起物として食べられている。

    参考文献・協力

    協力/三重県鳥羽市水産研究所、島根県出雲市「出雲市わかめ養殖研究会」、島根県水産技術センタ
    『標準原色図鑑 海藻』(千原光雄 保育社)
  • 主食材として「セイヨウハバノリ」を使用したレシピ一覧

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