ゴンズイ

Scientific Name / Plotosus japonicus (Yoshino and Kishimoto,2008)

ゴンズイの形態写真

18cm SL 前後になる。口の周辺に4対のひげがある。紡錘形で体側に体側に日本の明瞭な黄白色の縦縞がある。鱗はなく表面は粘液で覆われる。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱新鰭区ニシン・骨鰾下区骨鰾上目骨鰾系ナマズ目ゴンズイ科ゴンズイ属

    外国名

    Barbel eel
    言語英名 

    学名

    Plotosus japonicus (Yoshino and Kishimoto,2008)

    漢字・学名由来

    漢字 権瑞
    由来・語源 神奈川県三崎での呼び名。語源などは不明だが「ごずいお(牛頭魚)」が転訛したのではないか? 「牛頭」とは仏教で、地獄にいる獄卒で頭は牛、体は人の姿をしている。これは島根県でマハゼを「ごず」というのと同じではないかと思う。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。沿岸の浅い岩礁域にすむ。
    房総半島〜九州南岸の太平洋沿岸、能登半島以南の日本海には少ない。

    生態

    棘と棘の基底部をこすり合わせて、ググっと鳴く(音を出す)。
    産卵期は5〜7月。
    夜行性。
    大きさの揃った個体どうして濃密な塊状の群れを作り、これをゴンズイ玉という。
    胸鰭、背鰭には強い棘があり毒のある刺毒魚。
    刺されると非常に強い痛みがある。
    ゴンズイの棘1毒のある棘 胸鰭、背鰭に鋭い棘がり刺されると非常に強い痛みがあり、重症になる場合も。刺されたら病院で手当を受けるべきだ。

    基本情報

    国内に生息するゴンズイは1種類とされてきたが、本州、四国、九州にいるものを新種として登録、それまでの標準和名ゴンズイをあて、九州を北限として琉球列島以南に多いものをPlotosus lineatusという旧ゴンズイの種名をあてて和名ミナミゴンズイとした。
    本州、四国、九州の暖かい海域の浅い岩場、港湾などに普通に見られる魚で、堤防釣り(波止釣り)などでもよく上がる。
    一般的には背鰭、胸鰭などに鋭い棘があり、刺されると痛いので危険な魚、有毒な魚とされて、非常に嫌う向きがある。海辺などでも好んで食べる地域と食べない地域がくっきり分かれる。
    なかなかおいしい魚だが流通することは希。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷は希。一般的ではなく、食べ方などがわからないため安い。
    漁法 カゴ漁、定置網
    産地 神奈川県(関東では)、千葉県

    選び方

    体側にある縦筋がはっきりしていて黄色い、もしくは白いもの。悪くなるとぼやけてくる。

    味わい

    旬は春から夏。
    胸鰭、背鰭に鋭い棘がり刺されると非常に痛みがあり、ときに死に至る。
    料理する前に必ず棘を取り去る。
    皮はしっかりしており、粘液は簡単に取れる。
    焼くことで皮に独特のウナギを思わせる風味がある。
    白身で上品でいながら味わい深い。
    肝なども美味。
    ゴンズイの棘2調理の前に 料理する前に必ず棘を取り去る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ゴンズイの料理法・調理法・食べ方/汁(みそ汁)、焼く(蒲焼き)、揚げる(フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ、柳川)

    ゴンズイの蒲焼き 水洗いして、開く。これを素焼きにし、みりん、しょう油を半々に合わせ、煮つめたタレをつけてこんがり焼き上げる。皮目にウナギのような風味があり、なかなかいい味わいになる。


    ゴンズイのフライ 基本的にどんな魚でも我がデータベースではフライ、唐揚げにしているが、本種のフライがこれほどにうまいとは思わなかった。三枚に下ろして腹骨と血合い骨を取る。皮を引いたものと、皮つきで試してみた。どちらもうまいが、皮を引くと、舌平目を思わせる上品な味わいになる。
    皮つきの解説、写真はコラムにて。

    ゴンズイの唐揚げ 水洗いして三枚に下ろす。水分をよくきり、小麦粉か片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。身がふんわりと柔らかくふくらみ、皮目は香ばしい。とてもおいしい。

    好んで食べる地域・名物料理

    ごんずい飯 ゴンズイを薄口しょうゆ味で炊き込んだもの。[長崎県雲仙市小浜富津]
    煮つけ 三重県鳥羽市答志島桃取町では本種の煮つけを好んで食べる。
    みそ煮 三重県鳥羽市小浜では本種を煮てからみそで煮る。
    ゴンズイのみそ汁 千葉県外房の町ではしばしば食用とされる。外房での食べ方は、頭を危険な刺の後ろから切り落とし、季節の野菜、特にカボチャなどとみそ汁にする。不覚にも長く食べようと思ったことはなかった。知人にこの料理法をすすめられ、そのうまいのに驚いた。素朴だが滋味豊か、体がホカホカしてくる。
    ぎんの煮つけ 兵庫県姫路市家島群島坊勢島。ギン(ゴンズイ)は煮つけにして食べるという。調味料は小豆島の富士大醤油(フジダイ醤油)だけ。ただしこのしょうゆが非常に甘い。最近は酒なども使うこともあるとのことだが、関東などのしょうゆを使う場合、みりん、酒、砂糖などを加えるといい。

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真ゴンズイのフライは皮付きか皮なしか?
    不思議なことにゴンズイのゴンズイらしい味は皮目にあるようだ。フライは絶品であるが、皮を引くとまるでシタビラメのフライのように上品な味になる。  皮付きだと、後・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    釣り情報

    夜釣りの防波堤釣り(波止釣り)で釣れる。投げ釣り(ぶっ込み)、浮き釣りなど釣り方に関係なくくる。餌もオキアミ、イソメ類、魚などの切り身でもいい。釣れて思わず手で掴むととても危険。

    歴史・ことわざ・雑学など

    ゴンズイ 樹木にもゴンズイ(Euscaphis japonica)がある。植物に同名の種がある魚のひとつ。他にはアカザはアカザという食用にもなる草(草本)がある。

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    参考文献・協力

    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社)、『マンボウの刺身』(岩本隼 新樹社)

    地方名・市場名

    ズルベ
    場所三重県二木島 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ゴズ(ゴズイオ)
    場所三重県鳥羽市・志摩市和具町・浜島 参考日比野友亮さん/和具の方言 
    ゴンズ
    場所三重県鳥羽市小浜 参考聞取 
    ウラゴ
    場所伊豆半島、伊豆諸島など 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 
    ギンギ
    場所兵庫県明石 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    クグ
    場所兵庫県淡路島福良、徳島県由岐町、高知県高知市 備考釣り上げたときに出す音(鳴き声)から。 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ゴンゼ(ゴンゼイ ゴンゼー)
    場所千葉県君津・富津・館山 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ゴンジ
    場所千葉県館山 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ジルベ
    場所和歌山県 参考水族志 
    ウゲ
    場所和歌山県など 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ユルベ
    場所和歌山県串本 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ユルメ
    場所和歌山県周参見 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ウグ
    場所和歌山県和歌浦・白浜・田辺、愛媛県 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ギギュウ
    場所山口県小野田・下関、熊本県天草市 参考木戸鮮魚店、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    フグ
    場所徳島県海部郡海陽町宍喰 参考長尾桂一郎さん 
    ウミナマズ
    場所有明海 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ギュウギュウ
    場所有明海周辺 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    オチョボガヒゲ
    場所東京都八丈島 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 
    ゴンズリ
    場所東京都大島波浮 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 
    ギギ
    場所東京都式根島、島根県、徳島県北灘、高知県 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、聞取 
    エドミズ(エドミズゴンズイ)
    場所神奈川県三崎 備考〈三﨑では不味のものとし、東京市場には持ち出されないのとの意味から〉 参考『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年) 
    ゴンズイ
    場所神奈川県三崎・江ノ島、駿河湾、新潟県寺泊、秋田県男鹿 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    カラコ
    場所福井県敦賀 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ゴンジイ
    場所長崎県壱岐、福岡県玄海 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ギンギョ
    場所長崎県対馬 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ギギメ
    場所長崎県島原半島 参考大迫一史さん 
    ウルベ
    場所静岡県伊豆妻良、和歌山県太地・勝浦・三輪崎 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分譲、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    ウラゴ
    場所静岡県沼津市 参考菊地利雄さん 
    グジャコ
    場所高知柏島 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ゲンジャク
    場所高知県土佐清水市 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ゲング
    場所高知県土佐清水市清水町 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    グシャコ
    場所高知県柏島 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ググ
    場所高知県高知市 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    グイ
    場所鹿児島 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    グチノイオ
    場所鹿児島県 
    グキウオ
    場所鹿児島県 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ギン
    場所兵庫県姫路市家島群島坊勢島 
    ギギ
    場所山口県長門・仙崎 
    ウミギギ
    場所日本各地 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
  • 主食材として「ゴンズイ」を使用したレシピ一覧

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