エゾメバル

Scientific Name / Sebastes taczanowskii (Steindachner, 1880)

エゾメバルの形態写真

体長25cm前後になる。胸鰭の縁は丸い。眼窩下縁、頭頂に棘がない。背鰭棘13。尾鰭の後縁は白い。
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体長25cm前後になる。胸鰭の縁は丸い。眼窩下縁、頭頂に棘がない。背鰭棘13。尾鰭の後縁は白い。体長25cm前後になる。胸鰭の縁は丸い。眼窩下縁、頭頂に棘がない。背鰭棘13。尾鰭の後縁は白い。体側の鱗は霜降り状。尾鰭の後縁は白、もしくは透明。
    • 珍魚度・珍しさ


      いつでも手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属

    外国名

    学名

    Sebastes taczanowskii (Steindachner, 1880)

    漢字・学名由来

    漢字 蝦夷目張 Ezomebaru
    由来・語源 北方系のメバルの意味。
    『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)にもある魚類学的な標準和名である。。
    目張・目鉢・鉢目 メバル・メバチ・ハチメ(バチメ)は「目が大きく見張っているようである」、「目が鉢(上から見ると丸い器)のようで大きい」という意味。

    ガヤとは 釣り人にとって、おいしいことはわかっていても、あまりも次から次にガヤガヤとうるさいくらいに釣れるのでガヤという。漁師さんは港にも沖にもイヤになるほどいて、ガヤガヤ揚がってくるので、ガヤというのだと教わった。写真はうんざりするほど釣れたエゾメバル。[北海道目梨郡羅臼町で聞取]
    Steindachner
    Franz Steindachner (フランツ・シュタインダハナー/1834-1919)、オーストリア ウイーン生まれ。魚類学・動物学者。

    地方名・市場名

    ゴイチ クロメバル
    場所岩手県 参考岩手県水産技術センター 
    エゾメバル
    場所標準和名 
    カスリガヤ
    場所青森県下北郡牛滝 参考青森県水産技術センター 
    ゴモゾイ
    場所青森県小泊 参考青森県水産技術センター 
    ミノガサ
    場所青森県西津軽郡深浦町岩崎 参考青森県水産技術センター 
    ムギマ
    場所青森県鰺ヶ沢・小泊 参考青森県水産技術センター 
    ガヤ
    場所北海道、青森県陸奥湾・下北、山形県鶴岡市由良漁港 備考北海道などからの荷にはガヤ。荷主(産地仲買人)に聞くと「がやがやたくさんとれるため」、もしくは「がやがやたくさんいるため」。 参考聞取、青森県水産技術センター 

    生息域

    海水魚。希に汽水域。通常200m(ときに水深355m)よりも浅い岩場・人工魚礁の周囲。水深2m前後の浅場にもいる。
    北海道オホーツク海沿岸、北海道〜石川県の日本海沿岸、北海道〜宮城県の太平洋沿岸。
    朝鮮半島東岸中部〜間宮海峡をへてサハリン西岸・南岸・南東岸、千島列島。

    生態

    卵胎生。
    交尾期は秋、春には卵が大きくなり、初夏に仔魚を産む。
    魚類、エビ類、オキアミなどを餌とする。

    基本情報

    西部北太平洋に生息している。
    北海道では「がやがや」賑わしいほどにたくさんとれるので「がや」という。東北・北海道は関東への重要な水産物の供給地であり、食文化的な結びつきも深い。エゾメバルとしての認知度は低いが魚屋や食堂などでは煮つけ用の魚のひとつであり、単に「メバル」として売られていることが多い。知らない内に食べてしまっているといった魚だ。
    とてもおいしい魚だが、東京都内では日常的な総菜魚と考えてもいいと思うが、認知度は低く単に「メバル」でしかないようだ。
    また近年、高鮮度化が行われているらしく、生食可能なものの入荷を見ている。アニサキスの問題はあるものの、生で食べてもそれなりにうまい。
    珍魚度 あまりにも安いので流通しない可能性があるが、漁獲量は決して少なくない。

    水産基本情報

    市場での評価 主に北海道から入荷してくる。入荷量は決して少なくない。比較的安い。
    漁法 釣り、刺網、定置網
    主な産地 北海道、青森県

    選び方

    鮮度落ちは早い。触って硬いもの。目が澄んでいるもの。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は夏から冬。卵胎生なのでわかりにくい。
    鱗は柔らかく弱く取りやすい。皮はやや厚みがあり硬い。
    白身でほどよく硬く、血合いは薄紅色。熱を通すと適度にしまる。
    肝の味がよく、いいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    エゾメバルの料理法・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ)、ソテー(バター焼き)、生食(刺身、焼霜造り)、汁(みそ汁)、焼く(塩焼き)

    エゾメバルの煮つけ関東風 くせのない白身ではあるが、うま味はあまり豊かだとは言えない。ある意味、淡泊な味わい。これを東京下町風にこってり甘辛く煮てみた。水洗いして湯通しする。冷水に落として残った鱗やヌメリを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・濃い口醤油・たまり醤油・水でこってり甘辛く煮る。あくまでもおかずとしての煮つけ。それが本種など淡泊な味の魚には向いていると思う。身離れもよく非常においしい。

    エゾメバルの煮つけ どのように煮つけてもおいしい魚である。ここでは丸々1尾煮つけたが鍋に合わせて切り身にしてもいい。水洗いして湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・醤油(控えめ)・砂糖・水、しょうがを沸かした中で煮る。味つけはお好みで。
    エゾメバルのバター焼き 沖縄の郷土料理、バター焼きにしてみた。水洗いして水分をよくきり、塩コショウ。多めの油でじっくり香ばしくソテーする。仕上げにマーガリン(バター)で風味づけする。表面は香ばしく、中は豊潤。醤油を垂らすととてもご飯にあう。
    エゾメバルの塩焼き 水洗いして切り身にし、振り塩、1時間寝かせて焼き上げた。時季によっては焼くと、強く縮むことがある。本種の旬はいまのところつかめていない。12月に真子・白子を持ち脂が抜けてくるが、身は縮まずふっくらと焼き上げることができた。
    エゾメバルのみそ汁 今回はあらを使ったが、安い魚なので丸々ぶつ切りにして煮てもいい。水洗いして湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり水から煮出してみそを溶く。上品でありながらうま味のある汁で、ご飯に合う。
    エゾメバルの刺身 近年、鮮度のいいものが入荷してくるようになった。活け締めのものを三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取り、刺身状に切る。比較的食感もあり、噛みしめるとじわりとうま味が浮き上がってくる。捨てがたい味である。
    エゾメバルの焼霜造り 身よりもむしろ皮と皮の直下にうま味がある。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮目をあぶり、氷水に落として粗熱をとり、水分をペーパータオルをあてて取る。少し冷蔵庫に入れて皮目を落ち着かせてから刺身状に切る。皮が香ばしく食感もあり美味。熱を通すことで皮下にも味が出てとても味わい深い。

    好んで食べる地域・名物料理


    ガヤの三平汁 三平汁は北海道を代表する郷土料理だ。もともとは寒い時期、保存食である塩漬けの魚や、すしにしん(ぬか漬けのにしん)を、これまた保存性の高い根菜類と一緒に汁にしたもの。魚の塩気とうま味で汁を作っていたのが、塩味の汁に変わっていった。また魚はなんでもいいが、ガヤ(エゾメバル)の三平汁も昔はたびたび作って食べていたようだ。[北海道目梨郡羅臼町 野家]

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真昔はガヤだって大切に食べられていた。三平汁の話
    北海道羅臼町、野家のオバアチャンから、ガヤ(エゾメバル)でも三平汁を作っていたという話を聞いた。 三平汁は古くは保存食である塩漬けの魚や「すしにしん(ぬか漬けの・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    釣り情報

    北海道などでは浅場の釣り魚の代表的なもの。エサ釣り、ルアー。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『北海道の全魚種図鑑』(尼岡邦夫、仲谷一宏、矢部衛 北海道新聞社)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
  • 主食材として「エゾメバル」を使用したレシピ一覧

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