アサヒガニ

Scientific Name / Ranina ranina (Linnaeus,1758)

アサヒガニの形態写真

体長15cm前後になる。エビとカニの中間的な形でふんどしは完全には折りたたまれない。左が雄、右が雌。
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体長15cm前後になる。エビとカニの中間的な形でふんどしは完全には折りたたまれない。左が雄、右が雌。体長15cm前後になる。エビとカニの中間的な形でふんどしは完全には折りたたまれない。左が雄、右が雌。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    動物界節足動物門甲殻綱十脚目短尾下目アサヒガニ上科アサヒガニ科アサヒガニ属

    外国名

    学名

    Ranina ranina (Linnaeus,1758)

    漢字・学名由来

    漢字 旭蟹、朝日蟹。
    由来・語源 ゆでていないのに赤いことから。

    地方名・市場名

    カブトガニ[兜蟹]
    場所鹿児島県種子島 

    生息域

    海水生。相模湾〜九州、沖縄、八丈島。アフリカ東岸、ハワイ、ニュージーランド、オーストラリア。
    水深20メートル〜50メートルの砂地。

    生態

    雄の方が大形になる。
    一般的に短尾類が横歩きするのに対して前後に動く。

    基本情報

    短尾類ではもっとも原始的。アサヒガニ科のカニが「真のカニ」(短尾類)にはいるのか、疑問を感じる。甲殻類はクルマエビなどの根鰓亜目から抱卵亜目(クルマエビなどをのぞくエビと異尾類(ホンヤドカリ科、ヤドカリ科、タラバガニ科など)へ、そして短尾類(カニ)へと変化する。
    アサヒガニは異尾類と短尾類中間的な位置にある。縦に長い体を折り畳み大きな甲羅に臓器を収納、尾を体の下に張り付けている。これがアサヒガニではやや不完全で、尾はまだ体の後部に伸びている。水槽にいる個体を触ろうとすると後ずさりする。
    琉球列島や四国・九州に多いカニではあるが相模湾、駿河湾でも少ないながら漁獲され、イセエビとともにとても高価である。
    関東の市場では国産ものは少なく値も張るが、オーストラリアなどからの輸入ものはよく見かける。この輸入アサヒガニは大きさも1キロ弱で揃っていて、値段が安く2000円前後である。しかも味もよい。英語では「スパナークラブ(SPANNER CRAB)」である。

    水産基本情報

    市場での評価 関東ではオーストラリアなどからの輸入ものが中心。値段は高値安定。
    漁法 カゴ漁、刺し網漁
    産地 オーストラリア、沖縄県、宮崎県、鹿児島県、タイ
    輸入アサヒガニ 主にオーストラリアから木を薄く細長く切ったものの中に置かれて、生きたまま送られてくる。大きさが揃っていて比較的安い。東南アジアからの輸入もある。

    選び方

    原則的に生きているもの。持って重いものがよい。

    味わい

    旬は不明
    甲羅、脚の殻は硬い。身は詰まっており歩留まりがよい。
    みそは濃厚でしかも後味がいい。汁にすると溶けて奥深さを出す。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    アサヒガニの料理法・食べ方/煮る(塩ゆで、煮つけ)、焼く、汁(みそ汁)、生食(あぶり、湯引き)

    アサヒガニの塩ゆで 基本的な料理法はゆでるだろう。いちばん簡単な料理法だが熱が通ると赤く染まり、身が充実している。甲羅を割ると身が飛び出してくるように思えるほど、身が詰まっている。口に入れるとしまっていて、噛むと適度に繊維質にほぐれ、とても甘くておいしい。みそは濃厚でありながら後味がいい。雌の内子も実に美味。

    アサヒガニの塩ゆで 塩ゆでのアサヒガニでチャーハンを作ると絶品である。みそとほぐした身で普通に炒めるだけだが、みそを入れるとエビとカニの風味もあって独特の味わいになる。エビや真のカニよりもうまいと思う。
    アサヒガニの煮つけ イセエビでいうところの「具足煮」だ。生きているものをぶつ切りにする。ハサミや脚は割る。これを酒・しょうゆ・みりんを合わせた地をからめながら火を通す。大形は少し水を加えると火を通しても焦げ付かない。身自体の甘味にしょうゆのうま味と塩分があいまってやたらにうまい。手づかみで食べて欲しい。

    焼きアサヒガニ 包丁で梨子割りにして炭火でじっくり焼き上げたたもの。オリーブオイルやワインでマリネして焼いてもいい。ただでさえ甘味とうま味が強いのがより濃厚になる。みそとからめて食べると言うに言われぬほどに美味。

    アサヒガニのみそ汁 小振りのアサヒガニを適当に切る。これを水から煮てみそを溶く。たっぶりした頭部のみそと薄い皮膜が適度にみそ汁に混ざって濃厚な味になる。そのくせ後味がいい。
    アサヒガニのあぶり(刺身) 筋肉は脚に繋がっている。脚を引き抜くと筋肉が着いてくる。これをたんに食べても、冷水でしめてもそれほどおいしくはない。湯のなかで振る、表面をあぶると甘味とエビとカニの中間的な風味が浮き上がってくる。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    かぶとがに(兜蟹) 四月三日は、中種子の熊野神社に一晩泊まりでおまいりに行く、帰りには出店が多く並ぶので、かぶとがになどをおもやげに買って帰る。[種子島の食『聞き書 鹿児島の食事』]

    参考文献・協力

    協力/『田中水産』(鹿児島県鹿児島市)、海鮮市場 マルモト(神奈川県伊勢原市)
    『原色日本大型甲殻類図鑑 Ⅰ、Ⅱ』(三宅貞祥 保育社)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)
  • 主食材として「アサヒガニ」を使用したレシピ一覧

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